「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

2 研究の実際                                         
(2)  取り組みやすい「意思決定を取り入れた討論型の学習」の単元構成と単元作りの
    ポイント
 ア 「意思決定を取り入れた討論型の学習」の単元構成についてどう考えればよいのか

「意思決定を取り入れた討論型の学習」の単元構成は、平成20・21年度のプロジェクト研究で取り組まれた「意思決定を取り入れた討論型の学習」によると、意思決定の取り入れ方により4つに分類されています(図1)。

図1 意思決定型の学習の4分類

児童生徒の発達段階や単元の内容に
よって4つに分類されています。

4つの主な特徴は以下の通りです。

A 発展型

 教科書を使った学習から発展させる

B 問題発見型

 児童生徒に問題点を発見させる

C 問題解決型

 問題そのものを学習内容として
   取り扱う

D 重点型

 トピック的に短時間で取り扱う

佐賀県教育センター 平成20・21年度のプロジェクト研究より














 イ 取り組みやすい「A 発展型」の単元構成

本研究では、「考えさせる学習はどうすればよいの?」、「時間が掛かり、難しそう」、「ペーパーテストに出ないので、どう評価していいか分からない」など、先生方から寄せられる疑問や質問に答える提案を目指しました。このため、知識、概念や技能の習得に重きを置く教科書を使った学習から発展させた型として、比較的取り組みやすい「A 発展型」に限定して研究を進めました。そして、より多くの先生方に取り組んでもらえるよう、単元構成と内容を具体化して研究に取り組みました(図2)。


図2 「意思決定を取り入れた討論型の学習」の単元構成と内容例

 
  ※ 今回、教師の取り組みやすさに特化し、現状の教科書中心の学習からの発展が可能な「A 発展型」を取り上げています。
   単元の内容によって、「B 問題発展型」、「C 問題解決型」、「D 重点型」の選択も可能です。
 ウ 単元計画づくりのポイント
 

「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組む際、教科書を使った学習から発展するので、単元計画を立てる必要があります。「教科書を使った学習」と「意思決定を中心にした学習」のそれぞれの学習において、どのような学習活動を展開すればよいのかを「単元計画づくりのポイント」として以下の図3のようにまとめました。

図3 単元計画づくりのポイント


 単元計画づくりのポイントを意識して、単元計画を作成します。単元計画作成の手順は図4に示すとおりです。


図4 単元計画作成の手順
@  学習指導要領の目標、内容に照らして、単元の目標を設定します。設定した目標の達成に向けて図3の単元終末において期待する(求める)児童生徒の姿を明確にします。
  例えば、「地域の祭りを続けていく課題について、祭りの保存会の方へ、地域の一員として、提案文を書くことができる」や「大久保利通の秘書になり、明治政府の国家の発展を優先した政策について、国民の立場を考慮しながら、外国との関係や国民の安定した生活を視点に意見文を書くことができる」などが考えられます。
A  何についての意思決定を迫るのかを考えます。以下の2点について設定しておく必要があります。
 ・ 意思決定の対象となる「社会的な問題」
 ・ 討論や話合いの論点となる「論題」
※ ここが先生方にとっての悩みどころの1つだと思います。本研究では、ここに焦点を当てた研究をしています。詳しくは、(3)社会的な問題を把握する段階を参照ください。
B  単元の流れを具体的に構想します。実際に行われる意見交換について以下の2点に留意して児童生徒の思考の流れを予想します。
 ・ 児童生徒は、どんな意見をどんな言葉で表現するか?
  (何を考え、何を基に表現させるべきか)
 ・ 学習内容から活用させたい知識、概念、データは何か?
  (教科書の内容に加え、どのような資料を準備すべきか)
C  全体の流れが構想できたら、的確な発問、板書計画を立てます。児童生徒が考える時間を大切にして時間配分を計画し、ワークシートや補助資料を準備しましょう。
 
     



Copyright(C) 2014 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.