話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

サイトマップ

(5) 授業実践

  本研究が提案する授業モデルを基に小学校で行った実践例を示します。

【小学校第4学年】学級活動内容(2)における授業実践

題材

協力して行う掃除

 
エ 清掃などの当番活動等の役割と働くことの意義  
段階
活 動 過 程
下のアイコンを
クリックしてください





○ 題材設定
 
教師が児童の日頃の実態より題材を設定した。
 
 第1回計画委員会
【原案】
教師と計画委員会で、題材名、話合いのめあて、柱などを考えて原案に書く。
役割分担をする。(司会、進行、黒板記録、ノート記録など)
 原案の配布
原案に自分の考えを前もって書き込ませる。

 第2回計画委員会
話合い活動の準備と打合せ をさせる。
 

本時の

題材
むごんそうじをみんなと協力して、まじめにいっしょうけんめいとり組む方法を考えよう。
提案理由
今までと比べて、さいきんそうじのたいどが悪くなったように思います。もう少しがんばってほしいのでていあんします。
話合いのめあて
・ そうじをきちんと協力してやれる方法をくふうして考えよう。
・ 友達の意見を参考にして、自分のめあてを決めよう。
話合いの流れ
1 はじめの言葉
2 運動会での応援歌
3 役割の紹介

4 題材の確認

5 提案理由

6 話合いのめあての確認
  7 話合いの柱の確認 

8 話合い
柱1を話し合う前の先生の話

   

柱1 そうじを協力してまじめにできているでしょうか。
<学級のこと>  
3班と8班はすみずみまで掃除をしていると思います。
○○さんは、そうじ場所のすみっこをぞうきんが真っ黒になるまで頑張っていました。
きつい仕事を進んでしている人がいたので、感心した。
かげひなたをする人がいます。
雨の日に遊んでいる人が多いです。気持ちがそわそわしているからだと思います。
特別教室掃除の人は、他の先生から注意されることが多いようです。  
<自分のこと>  
黙想タイムでは、きちんとめあてを決めて頑張っています。めあては大事だからです。  
掃除の時間3分前には、掃除場所に行くようにしています。みんなに迷惑が掛かるからです。  
ほうきの使い方を○○先生に褒められて嬉しかったです。  
早く終わらせたくて、雑にすることが多かったです。  
時間に遅れることがありました。昼休みに遊びに夢中になっていたからです。
 
     
柱2に向けての先生の話
柱2 そうじをまじめにすることは、なぜ大切なのでしょうか。
掃除をしたら心もきれいになって気持ちがいいからです。
学校がきたなかったら、お客さんが来たときにはずかしいからです。
掃除をまじめにやると時間いっぱい頑張ることができるようになって、その分きれいになるからです。
掃除をしたらみんなの心が明るくなって、笑顔になるからです。
   
柱3に向けての先生の話




柱3 そうじを協力してまじめに取り組むためにはどうしたらいいか。
友だちにやさしく注意をする 
一人一人目標をもつ。
掃除の前にみんなで真剣に黙想する。
掃除のさいごに振り返りをする。
無言掃除なので、ジェスチャーで注意をする。
真剣に掃除をする自分をイメージをする。
○○先生の話を思い出しながら掃除をする。
前日にできなかったところを思い出して、そこを集中してする。
人の気持ちを考えながら掃除をする。
喜んでいるみんなの顔をイメージする。
   
めあてを決める前の先生の話
9 めあてを書く
10 話合いの気付き
11  ○○賞の発表 
12
  先生の話
 

 
13 終わりの言葉





○ めあての掲示

具体的なめあてを振り返りカードに記入させ、教室に掲示する。

 
○ 実践活動
階段の隅々まで掃除しています。 一人一人が仕事を見付けて頑張っています。
   
○ 振り返り活動
日々「ふり返りカード」で実践の振り返りをします。
一週間実践したらペアで振り返りをし、2週目の実践に生かします。
 

1週目のめあて
1週目の
日々の実践の振り返り
1週目の振り返りと
ペアによるコメント
1週目の反省を踏まえて変更する児童は記述する
2週目のめあて
2週目の
日々の実践の振り返り
2週目の振り返りと
ペアによるコメント
   
<ふり返りカード>
 児童は話合い活動を経て自分のめあてを設定し、日々の振り返りを行いながら実践に取り組みました。ここでは、話合い後のアンケート、実践後のアンケート、「ふり返りカード」、学級会ノートの記述及び教師に観察により児童の変容を見ました。
○ 意欲の高まりの感じられる児童の感想
 
「ふり返りカード」が全部○だったから、そのカードを見るだけで心がすっきりして毎日無言でがんばることができました。先生から「そうじをしなさい」と言われてするより、自分でめあてを決めてする方がいいと思いました。
 
ふだんめんどくさがっていたそうじがめあてを決めると自分のそうじがふり返られて、しっかり集中してできました。今度は、めあてを決めるときがなくても自分のめあてを自分で決めてしっかりそうじをしたいです。そしてがんばりりたいです。
 
1週目と比べて、2週目はあまりしゃべらなくなったし、そうじの仕方もていねいになって、このめあてを達成できたからうれしかったです。これからも使う人、通る人の気持ちを考えてやっていきたいです。
○ 教師の感想から見る、話し合い活動を取り入れた指導のよさ
 
1学期は、内容2において、自分たちで話し合い、解決していくというスタンスはまだ難しいかとも思いましたが、慣れるのにそう時間は掛かりませんでした。保護者にも協力してもらいました。「なぜ自分たちで掃除をすることが大切なのか」家庭で話し合ってもらい、自分の意見として学級会ノートに書き込ませる活動を取り入れ、意見の内容に厚みができました。
 
普段は人ごとのように感じていた男子も柱1の振り返る場面で、あてはまることがいくつもあったことに気づき、真剣に反省していました。直接注意をされるより、話合いの中で「自分のことに気づかされる」という流れが、素直な気持ちとして吸収できるようでした。
 
柱3では、心情面の意見もいくつか見られ、具体的なめあてとして適当か少し疑問も残りました。しかし、児童が自分の考えとして道徳的心情を話合い活動で訴えるという行為は、教師主導よりも大きな影響を与えると感じました。
  ペア活動で振り返りをする取り組みは、同じめあてに向かって共感できるよい時間だったと思います。

Copyright(C) 2012 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.