社会的な見方や考え方を深める社会科学習に取り組んでみよう!

社会科 実践事例その10 中学校第2学年

1 単元名 
    日本開国と欧米のアジア進出  〜幕末までを見る中で日本は開国すべきだった?〜 【A:発展型】
 
 
2 教材観
 日本の開国は、1853年アメリカ東インド艦隊司令長官のペリーが浦賀に軍艦を率いて入港したところから始まり、1854年の日米和親条約、次いで1858年の日米修好通商条約締結となる。
 諸外国と「領事裁判権」「関税自主権」という不平等な内容の条約撤廃に向けて、長い年月をかけて回復に努めることとなる。
 日本にとっては、「鎖国の維持」と「開国」のいずれの方針をとってもプラス面とマイナス面が生じる。
 その当時の様々な場面に生徒自身が身を置き、当事者的立場になって価値判断を行い、更に発展させて、現在の社会の形成者として主体的に社会の在り方を考えさせることは意義あることと思われる。
 
3 生徒観
 小学校6年生の歴史学習において、ペリーの来航や不平等条約については学習してきている。本単元においては、当時の時代背景や世界の様子を関連付けながら学習を進める必要がある。
 課題プリントや確認テストを通して基礎的な知識を身に付け、自分の意見を書くことにも慣れ、思考・判断力も徐々にではあるが向上している。
 積極的に発表したり、自分の意見を主張することに苦手意識をもっている生徒が少なくない。
 
4 指導観
 開国から江戸幕府の滅亡に至るまでの過程を、欧米諸国の動きと関連して理解させる。
 開国することのメリットとデメリットの両面について多面的・多角的に考察させ、判断を行わせる。
 様々な資料を活用して、開国後の貿易の様子や影響を読み取らせ、日米修好条約の内容や開国後の日本の変容について当時の世界情勢を踏まえながら理解させる。
 
5 単元の総括目標
 ペリーの来航と日本の開国に至る経緯やその影響に対して関心を高め、当時の国際情勢の中で多面的・多角的に考察して「開国すべきだった?」かどうか追究させたり公正に判断させたりする。また、開国後の貿易の様子や影響について資料から読み取らせ、日米間の条約の内容や開国後の日本の変容を当時の世界情勢を踏まえながら理解させる。
 
6 単元の評価規準
関心・意欲・態度
思考・判断
技能・表現
知識・理解
ペリーの来航と日本の開国に至る経緯や、 その影響に対して意欲的に追究しようとする。
ペリーの来航と日本 の開国に至る経緯やその影響を、 当時の国際情勢の中で多面的・多角的に考察 し、 公正に判断できる。 当時の錦絵や開国後の貿易高や物価の動きなどに関する様々な資料を活用し、開国後の貿易の様子や影響について読み取り、説明することができる。 日米和親条約 ・修好通商条約の内容や、開国後の貿易について当時の世界情勢を理解している。
 
7 単元の指導計画
主な学習活動
ワークシート・資料
1 産業革命と市民革命の内容について把握し、革命がその後の社会に及ぼした影響を知る。
 
2 欧米諸国が工業製品の市場や原料の供給地を求めてアジア進出を図った過程を調べ、その影響について知る。  
3 ペリーの来航から日米修好通商条約の締結に至る過程と、その影響について知る。  
4 倒幕運動から江戸幕府滅亡に至るまでの過程を様々な角度から考察する。  
5 学習問題「幕末までを見る中で日本は開国すべきだった?」について、1回目の意思決定をする。 
 ・幕末までの学習を基に、資料やワークシートの分析を行い、個人で判断する。
【意思決定1】
ワークシート1
( word様式 一太郎様式 
 学習問題「幕末までを見る中で日本は開国すべきだった?」について、2回目の意思決定をする。 

・前時の分析を基に、グループで、「開国すべき」と「開国すべきでなかった」のそれぞ
   れの立場から理由や目指す社会像を出し合い、自分の意見を深める。

【本時】
【意思決定2】

ワークシート2
( word様式 一太郎様式 
 
8 実践を終えて
【成果】
 小学校6年生の社会科でも取り扱う内容でもあるので、小学校での学習を想起させたり比べさせたりするようにしたため、生徒にとっては取り組みやすく、活発な意見交換を行うことにつながった。
 「開国すべきであった」「開国すべきではなかった」のそれぞれの立場で意見を出させ、相手の主張に対する疑問を考えさせたことによって、多面的な見方をすることができるようになった。
 単元を通して、意図的に意見交換や発表をする機会をつくったことにより、積極的に意見を出し合える雰囲気をつくることにつながった。
【課題】
 生徒の中には、根拠に基づかない自分の一時的な考えで主張する場面があった。調べ活動や意見交換の中で、教師がどう関わっていくべきか考えていく必要がある。。
 今回は単元の最後に実践を行い、事前に課題を与える形をとったが、生徒に資料を集めさせる時間の確保があれば、より深まりのある授業になると考える。
 
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最終更新日: 2010-03-23