国語科授業の「あったらいいな!」を形にします。

 授業展開案2  〜授業づくりの基本構想に基づく実践の提案〜  (「読むこと」の指導)
単元名 
  構成と論理の展開に注意して読もう
教材名(出典)
  「モアイは語る〜地球の未来〜」(光村図書 中学校2年)
生徒の実態と指導のねらい
   佐賀県の生徒の実態として、平成21年度佐賀県小・中学校学習状況調査の結果から、「読むこと」、「書くこと」、「言語事項」の2領域1事項に課題が見られました。特に「読むこと」では、「論理の展開を押さえて正確に理解し、ものの見方をとらえる」ことに、「書くこと」では、「資料から必要な情報を取り出し、伝えたいことを明確にして書く」ことに課題があるため、年間指導計画の立案や単元構想に当たってはこの課題の克服を常に頭において考える必要があります。そこで、この単元では、説明的な文章の構成や展開を目的や条件に応じて読み取った事実を整理したり要約したりすることで理解させる学習活動を行います。そして、適切に要旨をまとめることで内容や筆者の表現の仕方について自分の考えをもつ言語活動を通して「目的に応じて論理の展開を押さえ、正確に理解する力」を、教材文と同じテーマで意見文を書く言語活動を通して「文章の構成を工夫して伝えたいことを明確にして書く力」を付けることをねらいとしています。
学習内容の系統性
  《既習単元》
 
学年
単元名
既習の学習内容
1年生 「未来を開く微生物」 ・段落の役割に着目して文章の構成を読み取る
・ 説明的な文章の構成や言葉の意味を正確にとらえる
「手紙を書こう」 ・目的や相手に応じて書く
2年生 「文化を伝えるチンパンジー」 ・事実と考察を区別して読み取る
「説得力のある依頼状を書く」 ・説得力のある文章を書く
 
 
  ◆課題
自分の意見を明確にし、それを相手に分かりやすく適切にまとめることに苦手意識をもつ生徒が少なくない
  《本単元》
○既習の力を使って、情報の取り出しと整理や要約を適切に行い、全体の要旨をまとめる活動を通して事実と意見の関係を読み取らせ、各段落が文章全体の中で果たす役割をスモールステップによる学習活動によってとらえさせたいと考えます。
○ その表現の仕方の特徴について自分の考えをもつという言語活動を設定し、説明的な文章の構成や表現の仕方についても理解させたいと考えます。
○「モアイは語る」の構成や論理の展開を利用して、自分の意見文を書くという言語活動によって、説明的な文章の構成や論理の展開について習得した知識・技能【「読むこと」(1)イ、ウ「書くこと」(1)イ】の定着を目指します。
 
     
  《系統性をもたせる単元》
 
学年
単元名
発展させる学習内容
3年生 「生き物として生きる」 理由や根拠に着目し、論理の展開をとらえる
言語活動について
   本単元では、「筆者のものの見方や考え方がどのように表現されているか」「どのように文章が構成されているか」ということについて考えさせるために、全体の要旨をまとめ、その内容や表現について自分の考えをもつという言語活動を位置付けました。さらに、構成や論理の展開について身に付けた知識・技能を活用し定着させるために意見文を書くという言語活動を設定しています。
【読むこと(2)イ「説明や評論などの文章を読み、内容や表現の仕方について自分の考えを述べること」の具体化】
【書くこと(2)イ「多様な考え方ができる事柄について、立場を決めて意見を述べる文章を書くこと」の具体化】
単元の指導目標
(1)
文章の構成や論理の展開をとらえ、書かれている事実と筆者の意見を的確に読み取らせる。
(2)
自分が伝えたい事実や事柄を明確にして、文章の構成を工夫させる。
評価規準
ア 国語への関心・意欲・ 態度
1 問題意識をもって課題に取り組み、筆者の意見を読み取ったり、文章の構成を工夫して分かりやすい文章を書いたりしようとしている。 【C 読むこと(1)イ】
イ 書く能力 1 伝えたい事実や事柄を明確にして、文章構成を工夫した文章を書いている。 【B 書くこと(1)イ】
2 書いた文章を互いに読み合い、文章の構成や材料の活用の仕方などについて意見を述べたり、助言をしたりして自分の考えを広げている。【B 読むこと(1)オ】
ウ 読む能力 1 文章全体と部分との関係、例示や描写の効果について理解しながら読んでいる。 【C 読むこと(1)イ】
2 文章の構成や論理の展開について理解し、筆者の意図を読み取っている。 【C 読むこと(1)ウ】
3 説明や論評などの文章を読み、内容や表現の仕方に沿ってまとめている。 【C 読むこと(2)イ】
エ 言語についての知識・理解・技能 1 目的に応じて文章の構成や論理の展開に違いがあることを理解している。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項オ】
単元の計画(全7時間)
主な学習活動
指導上の留意点
指導計画
ワークシート
1 単元の学習目標を知り、この後の学習の見通しをもつ。

2 「モアイは語る」を読む。



3 文章の構成と論理の展開をとらえる。
○学習の流れを示した学習計画表を用いて、単元の学習目標を確認し、単元の学習の見通しをもたせる。


○「モアイは語る」という題名に比喩(ひゆ)表現が使われていることを押さえ、 「モアイが私たちに何を語っているのか」という問い掛けをして、読みへの意欲をもたせるようにする。

○文章が序論・本論・結論から構成されていることを確認し、3つの意味段落に分けるように指示する。
指導計画1/7
学習計画表
ワークシート@見本
 word様式
 一太郎様式
4 第一段落と第二段落の内容をとらえる。


5 モアイについての事実が書かれている部分を抜き出して整理する。

6 モアイについて抜き出した事実をモアイが語っているように書く。
○内容をとらえる際に、本文を「問題提起」「根拠(事実)」「問題提起に対する答え」の部分に分けて、考えさせる。

○ワークシートを用いて、条件に応じて必要な情報だけを抜き出してまとめさせる。



○モアイが実際に語っているような口調で書くように指示する。
指導計画2/7
学習計画表
ワークシート@
ワークシートA
ワークシートB
7 第三段落を読み、筆者の意見を理解する。

8 筆者の意見を要約する。




9 全体の要旨をまとめる。

 

○本文中で、筆者の意見の中心となっていると思われる部分に線を引くように指示する。


○線を引いた部分を基にして、筆者の意見を要約させる。

○要約をする前に、要約の仕方の手順を、学習の手引きを使って確認する。

○モアイが語った事実と筆者の意見を要約したものを合わせて全体の要旨とすることに気付かせる。
指導計画3/7
学習計画表
ワークシート@
学習プリントB
(段落の要点)
解答学習の手引き
ワークシートC
ワークシートD
10 筆者の意見や表現の仕方について考える。

11 意見文を書くために情報を収集する。
○前時に学習した「文章の構成や論理の展開の大切さ」を確認するために意見文を書くことを知らせる。


○「地球の未来」というテーマに沿って、自分で決めた題で意見文を書かせるために、インターネットや図書室の資料から必要な情報を収集する時間を設ける。
指導計画4/7
学習計画表
ワークシートE
12 意見文を書くために集めた情報を整理する。

13 意見文の構成を考え、下書きをする。
○集めた情報の中から、必要な情報だけを抜き出すよう指示する。


○「モアイは語る」の構成について読み取ったことを想起させ、活用を促す。
指導計画5/7
学習計画表
ワークシートE
ワークシートF
14 下書きを推敲(すいこう)し、清書をする。
○友達同士で相互評価する際に、
  @誤字脱字はないか
  A文章構成は正しいか
  B相手を納得させる意見文になっているか
などのポイントについて、あらかじめ確認する。
指導計画6/7
学習計画表
ワークシートG
15 意見交流会をし、自分の意見に生かす。


16 学習全体を振り返る。
○友達の意見文を読んで、よかったところやアドバイスを発言しやすいような雰囲気を作るように配慮する。

○学習計画表などを基に「モアイは語る」の学習を振り返らせて、身に付いた力や気付きなどを学習計画表や事後のアンケートに記入させる。
指導計画7/7
学習計画表
ワークシートH
事後のアンケート
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※学習計画表は、単元を通して同じものを使用しています。また、同一番号のワークシートはすべて同じ内容です。

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最終更新日: 2009-08-31