【高校家庭】保育における学習者主体の授業づくり

 〜心理劇を始める前に〜

少しの時間でも,共にすることで自分も生き生きし,人も生き生きし,活動全体も生き生きできます。
その日・その時で,一人一人気持ちが違うので,同じウォーミングアップを何度しても,感動の仕方や心の動きが異なります。
長く休んだ生徒が久しぶりに出てきたときは,その生徒が前にしたことがあるのを選ぶと,集団になじみます。
3 つ の 効 果
気持ちが動く(ワクワクする)
その人らしさが出る

人とのつながりができる

時 間 配 分 の 目 安
50分授業の場合 10分
100分授業の場合 20分


ウォーミングアップ ね    ら    い
空気のボール投げ
みんなで協力して,見えない物が見えてくる楽しさを感じる
自己と人の間に見えない物でも,物が入ると人間関係が発展することを感じる

みんなでなわとび
みんなで協力して,見えない物が見えてくる楽しさを感じる
目に見えないなわでも見えてくると,持ち手になった人が「上手に飛ばせてあげたい」と思いやりの心が芽生える
相手と呼吸を合わせようという気持ちが芽生える

波  紋
演じる楽しさを感じる
関係が見える
動作をだんだん大きくして,気持ちが発散する心地よさを感じる
自分が発した行為が,予期しない大きさになって返ってくるおもしろさを感じる

みんなで行こう!
言葉がなくても,心が通い合う楽しさを感じる
ねらいについては,生徒の実態やクラスの人数に応じて選んでください。一つに絞ってもいいでしょう。
ウォーミングアップが終わったら,必ず感想を述べ合わせます。グループごとに円になって座り,気付きの交流をします。先生も生徒も感想は必ずプラスの感想にします。
このウォーミングアップは,家庭科の授業に限らず,「人とかかわる喜び」「共に育つ喜び」を感じさせたい学習活動にも使えます。

 空 気 の ボ ー ル 投 げ  
ね  ら  い ●みんなで協力して,見えない物が見えてくる楽しさを感じる。
●自己と人の間に見えない物でも,物が入ると人間関係が発展することを感じる。
 グループの人数  7〜10名
進 め 方 @見えないボールを生徒に見せる。「今日はボールを持ってきました。今からこのボールで遊びましょう。」
A前列の生徒にボールを渡す。「後ろの人に渡してください。一番後ろの人はボールを受け取ったら,手を挙げてください。」
B全部の列が終わったら,「ボールを前に戻してください。次は競争します。」「ヨーイドン!」
<生徒の動き>
@一人ずつ丁寧に後ろの人に渡したり,とばして一番後ろの人や横の人に投げたりと,列によって投げ方にそれぞれ特徴が出る。
A終わったら感想を述べ合う。
応   用 @距離を離して投げさせる。
A2人組でキャッチボールをさせる。
Bボールを変化させる。
「これは紙風船です。みんなで遊びましょう」と言ってみんなで遊ばせ,しばらく遊ばせたら,「紙風船がサッカーボールになりました」と言ってみんなで遊ばせる。しばらく遊ばせたら,「あっ,バレーボールになりました。」 
解   説 相手を見て投げ方や声掛けを変える必要があるので,ボールを投げ合う行為の中で,相手を思いやったり,相手のいろいろな行為が自分の行為や気持ちを変えたりすることを実感できます。
ボールを投げる劇を演じることで,人や物の大切さと,そこでかかわりが生まれてくることが分かると思います。

  みんなでなわとび
ね  ら  い ●みんなで協力して,見えない物が見えてくる楽しさを感じる。
●目に見えないなわでも見えてくると,持ち手になった人が「上手に飛ばせてあげたい」と思いやりの心が芽生える。
●相手と呼吸を合わせようという気持ちが芽生える。
 グループの人数  8〜10名
進 め 方 @グループごとになわを回す役の2人を決めさせる。
A教師は見えない長なわを生徒に渡す。
B場所を示して「なわを回してください。」
<生徒の動き>
@回す役の2人は見えないなわを回す。他の人は列を作って待ち,順になわをとぶ。
A10回ぐらいとんだら,なわの持ち手を交替する。
B次々となわを回す役を交替して,全員が必ず一回は,なわを回す役を体験する。
C終わったら感想を述べ合う。
解   説 「みなさん,なわとびは楽しかったですか?」と発言を促すように生徒に問いかけます。
「跳んでいて,なわにひかかりましたか?ひっかかったと思う人は,なわが見みえていたのですね。」
周りを見回しても,自分と友達がいて,そこに机や椅子があって,ノートや鉛筆もあって生活しています。それらの物は,自分も友達も一緒にいるという状況を作ってくれています。
目に見えない大なわも(目に見えない物でさえ),跳びはねるという行為を誘い,みんなとなわを跳んで楽しいという体験をさせてくれます。

  波    紋
ね  ら  い ●演じる楽しさを感じる。
●関係が見える。
●動作をだんだん大きくして,気持ちが発散する心地よさをを感じる。
●自分が発した行為が,予期しない大きさになって返ってくるおもしろさを感じる。
 グループの人数  4〜5名
進 め 方 @グループごとに円陣を作らせる。
Aスタートの人を決めさせ,時計回りに順番を確認させる。
B元気のあるグループに実演させながら,説明をする。
<生徒の動き>
@Aは,なるべく小さい動作を,手足を使ってする。(たとえば,指を回す
ABは,Aの動作をなぞりながら,少し大きくする。(たとえば,手首を回す
  *完全なまねではなく,その人の動作を受けながら,大きくすること
BCは,Bの動作をなぞりながら,少し大きくする。(たとえば,両腕を回す
CDは,Cの動作をなぞりながら,少し大きくする。(たとえば,両腕を回しながら,くるりとひとまわり
DEは,Dの動作をなぞりながら,少し大きくする。(たとえば,両腕・首を回しながら,くるりとひとまわりして,ジャンプ
E終わったら感想を述べ合う。
解   説 左隣の人をなぞって,自分らしく付け加えて新しくして,右隣の人に示します。これをすると,自然に”その人らしさ”が表れます。
連続写真のように,だんだん大きい動作になるので,人のを見ていて,気持ちもだんだん広がっていきます。
隣の人がなぞりやすいように,自分の行為を考えることで、他者へ思いやりも育ちます。

 みんなで行こう!  
ね  ら  い ●言葉がなくても,心が通い合う楽しさを感じる。
 グループの人数  5〜7名
進 め 方 @「グループで一つの輪になり手をつなぎます。」
A「行きたいところへ,言葉を使わずに,手をつないだまま,場所移動します。」
B「誰からでも構いません。行きたいところにみんなをひぱって連れて行き,リーダーは背中を付けてください。」
C「誰がリーダーになるかも言葉を使わずに決めて,全員が必ずリーダーになります。」
<生徒の動き>
@Aはみんなを黒板へ引っ張って行って,黒板に背中を付ける。
ABはみんなを出入り口のドアへ引っ張って行って,出入り口のドアに背中を付ける。
BCはみんなを掃除用具入れへ引っ張って行って,掃除用具入れに背中を付ける。
C終わったら感想を述べ合う。
解   説 他人の中で言葉でかかわるのが苦手な人も,グループみんなで手をつないで移動しているうちに,気持ちがひとつになります。

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