【高校家庭】保育における学習者主体の授業づくり
 〜保育学習ですぐに使えます〜

心理劇のテーマ ね    ら    い
1
あいさつできるかな
様々なタイプの親を演じ,親の役割について考える
大人が手本となり社会的なルールを教えることの大切さに気付く
2
おもちゃで遊ぼう おもちゃによって心や体の育つ部分が違うことに気付く
3
幼稚園で遊ぼう
集団遊びの楽しさ・大切さを感じる
遊びは発達を助長し,集中力を培うことに気付く
子どもの気持ちを考える
保育者の役割について考える
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難度レベルが上がります。
 3について 生徒は乳幼児と触れ合った経験がないとなかなか動けません。乳幼児の発達や特徴を学習した後がいいでしょう。
保育園や幼稚園での保育実習の事前・事後指導にも使えます。保育園実習に行く場合は心理劇のタイトル・内容を「保育園で遊ぼう」に替えます。
心理劇をする前に,乳幼児の発達の特徴をディジタルコンテンツでビジュアル的に理解させておくと,生徒の動きがよくなり,気付きや発見が増えます。
  あいさつできるかな
設 定 ○ 2人組になる。(例 父と子,母と子,祖母と子)
○子どもは4〜6歳。子どもは全員あいさつができない子を演じる。
○どんな家庭にするかグループで話し合う。
  例 しつけに厳しいお母さん など。
指 示 これから,子どもにあいさつの仕方を教える場面を演じます。2組の親子が出てきて,お互いにあいさつをします。あいさつしない子に親はどう対応しますか?
進め方 @「ここからここまでが舞台です」と教室の中のステージとするところをはっきりさせます。「最初の班の人はステージに出てください,残りの人は観客です。」
A「これから演じる自分の役について短く説明してください。」
教師の合図(手を打つ)で3〜5分間演じさせ,合図でやめさせます。
B「演じ終わって感じたことを発表してください」と投げかけ,心理劇が終わったら,各グループごとに円になって座り,感想を一人ずつ発表させます。
C観客へは,時間の許す範囲で感想を聞き,話合いを広げたり,深めたりしていきます。
D劇を基に様々な感じ方や考え方があることに気付かせ,自発的に自分を振り返らせます。
解  説 あいさつは親がきちんとして見せていれば,やがて子どももできるようになります。子どもの頭を押さえて無理にさせると,自分からあいさつする子になりません。4.5歳児はおとなしく,親のすることを真似てあいさつしますが,6歳児は恥ずかしいという気持ちが出てできなくなることがあります。小学校へ入ると,先生や近所の人にもあいさつできるようになります。大きな声で,相手の目を見てあいさつすることを教えましょう。
生徒の
感  想
● すごく恥ずかしかったです。うまく子どもの立場が表現できなくて大変でした。でもみんなの演技を見てちょっとずつ分かってきたり,先生の話を聞いていろいろな人の気持ちを知ることができました。
● 人の気持ちや人の意見,自分がもっていないものを見付けることができるとてもいい機会なりました。
● まだ母親になったことはないから「どんな気持ちで子どもに接するのか,どんな言葉を掛けてあげたらいいのか」など分からなくてすごく考えました。自分で考えて演じることは難しかったけど,楽しかったのでまた違う役をやりたいなと思いました。

  おもちゃで遊ぼう
設 定 ○ 3種類の遊びを体験する。(ままごと遊び,縄跳び遊び,ジェトコースター)
○クラス全体を3グループに分ける。
指 示 これから,3つの遊びをします。
進め方 @「3グループとも,最初はままごとです。ここにままごとの道具が置いてあります。さあ!みんなで遊びましょう。」
A「大縄跳びの縄があります。2人で縄を持って回します。縄を持っていない人は跳びましょう。」
B「最後はジェトコースターに乗ります。 みんな腰掛けて(前の人の肩に手をかける),一列に並んで動き始めます。」先頭の人は,カタカタ昇っていくところ,一気に下るところなどを表現して,後ろの人はこれに従う。
C「演じ終わって感じたことを発表してください」と投げかけ,心理劇が終わったら,各グループごとに円になって座り,感想を一人ずつ発表させる。
D劇を基に様々な感じ方や考え方があることに気付かせ,自発的に自分を振り返らせます。
解  説 3種類の遊びをして,道具(おもちゃ)によって,遊びやおもしろさがずいぶん違うということが体験できたでしょう。
ままごと 社会的役割などがある想像遊び。
長縄とび 体を動かす運動遊び。集団遊びの楽しさ。
ジェトコースター 道具(機械)に遊んでもらう。

3  幼稚園で遊ぼう  
設 定 ○ 2〜3グループに分ける。クラス全体でもいい。
○先生と3才児・4才児・5才児の子どもたちを決める。
○どんな遊びをするかグループで話し合う。  
指 示 ここは幼稚園の朝です。子どもたちが「先生おはよう!」と登園してきます。先生にあいさつしたら,好きなことして遊びましょう。ここからこちらは園庭で,こちらは園舎です。
進め方 @「ここからここまでが舞台です」と教室の中のステージとするところをはっきりとさせます。「最初の班の人はステージに出てください,残りの人は観客です。」
A「何歳ですか」「どんな子どもになりますか」「ではどうぞ」
教師の合図(手をたたく)で3〜5分間演じさせ,合図でやめさせます。
Bしばらく遊んだら,教師は時間を止めて(手をたたく),グループごとに「あなた方は何をしていますか」と聞き,一人遊びの子どもにも「何をしていますか」と聞きます。
C時間を戻して(手をたたく),「また遊んでください。」
D「演じ終わって感じたことを発表してください」と投げかけ,心理劇が終わったら,各グループごとに円になって座り,感想を一人ずつ発表させます。
E観客へは,時間の許す範囲で感想を聞き,話合いを広げたり,深めたりしていきます。
F劇を基に様々な感じ方や考え方があることに気付かせ,自発的に自分を振り返らせます。
100分授業の場合は,先生と子ども役を入れ替えたり,1回目は2グループに分け2回目はクラス全体でと人数を増やしていったりするなどいろいろな展開が見られます。
解 説 今どんな遊びをしましたか?遊んでいてどんな能力を使いましたか?
遊びを通して,子どもたちは,社会性や情緒や言葉や運動能力・知的能力を発達させていきます。子どもにとって遊びは大切です。
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※ 参考文献 「家庭科における心理劇の実践」浜田駒子著

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