「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

3 研究のまとめ                                  
(2)研究の成果と課題
 ア 研究の成果
 
(ア)研究内容に関する成果
  児童生徒の実態や指導内容を考慮し、児童生徒に意思決定を迫るために、社会的な問題を3つのパターンに分類し論題作成の手順を整理することができました。
 
  小・中学校での実践により、両校種において「意思決定を取り入れた討論型の学習」が実践可能であり、社会的な問題を明解にする手立ての効果を検証できました。また、歴史的分野、地理的分野、公民的分野のどの分野においても「意思決定を取り入れた討論型の学習」は、児童生徒の社会的な思考力・判断力・表現力を育成することが検証できました。
 
  これまで、討論型の授業については、先行研究がなされてきましたが、不明瞭であった社会的な問題を把握させる段階において、問題を明解にし、論題を見いださせる手立てやその指導の工夫を明らかにすることができました。
 
(イ)公開授業研究会における成果
 
  2年間で、延べ8校にて、公開授業研究会を開催し、約70名の県内の先生方に参観してもらい、授業提案することができました。また、授業研究会では、貴重な御意見、御感想を得ることができました。詳しくはこちらを御覧ください。
  (ウ)小・中学校で取り組んだことによる成果
 
  小・中学校間で、それぞれの授業を見合ったり、指導法について意見を交流したりしました。これにより、小学校の先生にとっては、中学校での授業で求められる意思決定の述べ方や討論の技能などを把握することができ、単元計画や論題の作成に役立てることができました。また、中学校の先生にとっては、小学校での教師の発問、個別指導や段階的な指導の様子などを把握することができ、発問計画や生徒の実態に応じた指導として生かすことができました。
     
 イ 研究の課題  
 
  社会的な問題を把握させる段階を更に充実させるためには、単元の前半に当たる「教科書を中心にした学習」も含め、総合的な単元計画づくりが必要になります。そのためには、どのような学習問題で追及させるか、どのように調べさせるかなど、単元を見通した教材研究と単元内の各段階の指導法を明らかにする必要があります。
  児童生徒の思考力・判断力・表現力の育成には、児童生徒の討論型の学習や問題解決的な学習の経験により、効果に違いが見られました。1つの単元での取組では、効果が小さいため、小・中学校7年間を見通して、段階的に学期に1、2回を目標に継続して取り組んでいくことが大切です。継続的に取り組むためのカリキュラム作成、思考させる視点の整理などが必要です。
 
 
(3)終わりに
 
  平成25年度は、有田町立大山小学校と鳥栖市立旭小学校において、平成26年度は、白石町立有明中学校、吉野ヶ里町立東脊振中学校、有田町立大山小学校、佐賀市立鍋島中学校、小城市立芦刈小学校、唐津市立西唐津中学校において、「意思決定を取り入れた討論型の学習」の公開授業研究会を開催しました。多くの先生方に参会していただきました。
  貴重な御意見、御感想を頂き、本研究の成果と課題が明らかになりました。本研究の成果を児童生徒の学びに還元していただければ幸いと考えています。多くの先生方の御参会に感謝申し上げます。
   最後に、本研究に御協力いただきました佐賀県小学校教育研究会社会科部会、佐賀県中学校教育研究会社会科部会、公開授業研究会場校及び検証授業校の皆様へ深く感謝申し上げます。 
 

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