「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

              
小学校第6学年 「新しい国づくりは、どう進められたの」(本時の様子)
本時の目標
  明治政府の諸政策について、様々な立場や視点を基に調べたよかった点に加え、問題点も踏まえて総合的に考え、自分なりに評価することができる。
本時の展開の概要(10/11)
  明治政府の諸政策についてよかった点を調べ、整理した際に書かせた児童の振り返り文や新たなデータから問題点に気付かせ、本時のめあてを設定した。めあてに沿って問題点を調べ、前時のよかった点と合わせて整理した。その際、教師の問い「○○点は、何を大切にしているのかな?」により、「国家の発展」と「国民の生活」という対立点に気付かせた。問題が明解になったところで「あなたはどちらが大切だったと考えますか」と問い掛け、どちらも大切であるという社会的な価値に触れさせた。最後に、「どちらがより優先すべきだと考えますか」と問い掛け、意思決定を迫った(意思決定1)。
本時に取り上げる社会的な問題【社会的な問題のパターン】
  社会的な問題「 明治政府は国の発展を優先した政策を行ったこと 」【研究や論争になる事件】
本時の様子
過程
主な学習活動
教師の指導・支援
資料


前時に行った明治政府の政策のよかった点を振り返る。

○前時の振り返り(明治政府の改革や政策について、よかった点をまとめて考えたこと)を数名の児童に発表させた。この際、不満をもったり不利益を被ったりした人の立場に触れている児童を意図的に取り上げることで、問題点の視点に気付かせた。
○児童の振り返りの根拠として、全てがよいことばかりに見える近代化政策にも、一揆や反乱などが起きたデータを見せ、本時の学習に対する意欲付けを行い、本時のめあてを設定した。
 
めあて 明治政府の政策についてよかった点(や問題点もふくめて)考えよう。
※よかった点は前時に学習していたため、前時のめあてに( )内が付け加わり、本時のめあてとなった。




T



明治政府の主要な政策について、問題点を調べ、考える。
・小集団での調査活動を行う。

・学級全体で調査したことを確認する。
それぞれの政策の問題点を深く考える時間を確保するため、グループごとに1つの政策の問題点を調べるように割り当てた。また、これにより、学級全体で確認する必然性を設定し、各グループでの調査に責任をもたせ、意欲付けを行った。
○当初は、教科書や資料集だけで調査活動をさせた。調査が行き詰まるグループには、時間を置いて手掛かりになる資料を配付した。
○グループで情報を共有できるように、記録係が確認しながら、まとめていくように指示した。
 

板書(ワークシートと同じ)











次時に明治政府の政策について討論を行うことを課題としてもつ。
 ・社会的な問題を見出し、論題をつくる。
社会的な問題(研究や論争の材料となる事件)
「明治政府は『国の発展』を優先させた政策を行ったこと」

 
○根拠に含まれる立場や視点(費用や時間、不平等さなど)を基に、それぞれの問題点を関連付けた。
○よかった点や問題点について、「誰にとって」や「何に困るの」などと問い掛け、「国の発展を優先し、国民の生活に我慢を強いられた」ことを明らかにし、「国家の発展」と「国民の生活」で価値観が対立していることを理解させた。
○「どちらが大切か?」から「どちらを優先すべきだと考えるか?」へ段階的に問うことで、国家にとって、国民にとっての価値付けから、価値判断に迫るようにした。これにより、どちらを選んでも価値があることを捉えさせ、自分の意思決定へと誘った。

 論題  明治政府は国の利益と国民の生活のどちらを優先すべきだったのか。《学習問題U》
 ・振り返りのポイントを基に、自分の考えを書く。
                       (意思決定1)


振り返りのポイント
○振り返りとして、明治政府の政策について、国の利益と国民の生活のどちらを優先すべきだったかを、よかった点や問題点も踏まえて書かせた。【評価】
○考えが違う児童を指名し、結論(○○を優先すべき)だけを述べさせ、話し合う必要性を感じさせることで、論題へと導き次時への意欲付けとした。
 
実践を終えて
【成果】
政策ごとによかった点と問題点を整理することで「国家の発展」と「国民の生活」という対立点を明確にすることができた。そのことで問題を明解にしていくことができました。
「国家の発展」と「国民の生活」のどちらを優先すべきなのかについて比較することで、社会的な価値に触れることができ、個人の価値観だけの判断から社会的な判断へと高めることができました。
【課題】
当時の立場に身を置いて考える難しさがありました。当時の情報についての理解の程度によって、児童の理解の程度が異なっていました。どのような情報を提供していくのか考えておくことが必要です。
 
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