「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

              
小学校第6学年 「『徳川の世』は、どんな世の中だったの」(本時の様子)
本時の目標
  《学習問題T》のまとめを基に3つの観点で家康と家光を比較し、江戸時代が長く続いたことに、より大きく貢献したのはどちらかについて、討論会に向けた自分の考えをまとめ表現することができる。
本時の展開の概要(5/6)
 家康、家光が行った江戸時代の政策や事業について、「大名の力をおさえる」、「外国(キリスト教)との関係」、「お金をたくわえる」の3つの観点で両者を比較しながらまとめた。その後、既習の他の時代と比較することを通して、「江戸時代が平和で260年という長い間続いたことに対して、家康と家光のどちらの功績がより大きいか」が問われた。この問いに対して児童は、両者を3つの観点から自分なりに評価を行い、より大きく貢献したと考えられる人物を決定し(意思決定1)、討論活動への準備を行った。
本時に取り上げる社会的な問題【社会的な問題のパターン】
  社会的な問題「既習の他の時代と比べ、江戸時代は平和で安定し、260年間という長い間続いたこと」
                                                           【答えさせるための問い】
本時の様子
過程
学習活動 教師の指導・支援
資料


○本時のめあてを確認する。
○これまでの学習を振り返り、《学習問題1》のまとめをすることをめあてとした。
    
めあて 家康と家光はどのような政治を行ったのかまとめよう。




T



○《学習問題1》「家康や家光はどんな政治を行ったのだろう」のまとめをする。

調べる観点
「大名の力をおさえる」
「外国(キリスト教)との関係」
「お金をたくわえる」
○江戸時代が、中世で長く続いた時代であることを知る。
社会的な問題(答えさせるための問い)
「他の時代と比べ、江戸時代は平和で安
定し、260年間という長い間続いたこと」
○家康と家光による政策や事業について、それぞれ調べる観点ごとに板書に視覚的に分かりやすいように整理した。
これにより、大名統制や貿易統制、経済政策を通して、武士による政治が安定したことを振り返らせた。
○政策をカードにして、黒板に貼らせることで、児童の発表意欲を喚起した。

○年表のテープ図を使い、時間的な長さを比較させることで、江戸時代が長く平和で、安定していたことを視覚的に捉えさせた。また、家康、家光それぞれが行った政治と関連させ、社会的な問題を見いださせ、意見の対立が出やすいようにした。 

















○江戸幕府が長く続くことに貢献した将軍は家康か家光かを考える。
教師の発問(・)、児童の反応(→)
・江戸時代が長年続いたことに貢献したのは誰だと考えますか?
→家康!
→家光!
→両方?
・両方活躍していますね。では、より大きく貢献したと考えるのは誰ですか?

友だちとの意見の違いに気付き、討論会の論題をつくる。

○これまで学習した政策や事業が、どれだけ有効だったかを考えるきっかけとして、教師から課題を問い掛けた。
○どちらかを答える児童やどちらか決めきれずに悩む児童がおり、「両方」と答える児童もいたため、さらに、「より大きく貢献したのは」と問い掛けた。

自分なりの判断へ導く工夫
・教科書を色ペンで色分けさせておく。
・ワークシートを使って、自分なりの評価をさせる。


○それぞれの政策について、「江戸時代が長く続くことにどれだけ有効だったか」を視点に考えるように支援し、これまで学習した内容を振り返らせた。
○ 数人に発表させ、それぞれを支持する考えがあること、同じ考えでも根拠が違うことなどから、討論する必要性を感じさせた。

    
  
   
 論題  平和で安定した世の中だった江戸時代が、260年間も続いたことに、より大きく貢献したのは家康と家光のどっちだろう。《学習問題U》
討論会の意義について知る ○討論会を通して自分の考えを深めることが大事で、討論会後に自分の考えを論述することを知らせた。 これにより、討論会で学ぶ目的について共通理解を図った。
○討論の観点を確認し、自分の考えを深めるためのツールの使い方について知る。
○考え方(判断の仕方)を教えるために、10点満点の割合点数化して評価させるツールを使い、考えをまとめさせ、意思決定1を行わせた。
○討論会に向けて、自分の考えをまとめる。
                  (意思決定1)
○必要に応じて教科書や資料集を使って、追加調べを行わせ、根拠を明らかにするように促し、ワークシートに記述させた。 【評価】
○本時のまとめと次時の見通しをもつ。
○討論会を行い、考えを深めることを確認し、本時のまとめとした。
実践を終えて
【成果】
  家康と家光の行った政策や事業を、大名統制、貿易統制、経済政策の観点から振り返らせ、家康と家光の貢献度を点数化し評価することで、どちらがより大きく貢献したかという論題が見いだされました。それぞれの児童の判断の違いから討論への切実感をもたせることができました。 
  討論の目的を明確にする手立てとして、本時から「友達や先生の話を聞くと、自分の考えが深まる」ことを話し合うめあてとして提示しました。これにより児童は、なぜ話し合うのか、話し合うとどんなよいことがあるのかを理解した上で話合いに参加していました。受容的、支持的風土ができてきました。 これにより、児童は安心して自分の考えを表出することができました。
【課題】
  判断の仕方で戸惑う児童が見られました。原因は合計点数で判断するのか、観点ごとの優劣で判断するのかで児童が迷ってしまったことでした。考え方を指導するという意味で判断の仕方を提示する工夫が必要です。
 歴史的事象を取り扱う際に、語句が難しいと感じる児童もいます。 知識・理解のレディネス調整をどうするかというところも工夫を考える必要があります。あわせて、家庭学習や日記指導など日常の学習習慣と関連させる工夫も考えられます。
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