「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

中学校第2学年 「九州地方」 −自然環境を視点の中心にして−(本時の様子)
本時の目標
 資料から人口減少などの嬉野市が抱える課題を読み取り、嬉野市の活性化のために何が重要か、どのようなモデルが有効かを考えることができる。
本時の展開の概要(6/8)
 嬉野市の人口減少から、嬉野市の現状や課題について知る。その後、嬉野市が実現可能な活性化プランを「湯布院」、「日田」、「阿蘇」をモデルに考える。
本時に取り上げる社会的な問題【社会的な問題のパターン】
社会的な問題「嬉野市に来る観光客の宿泊が減ったこと」【解決すべき課題】
本時の様子
過程
学 習 活 動
教師の指導・支援
資料


○前時の学習を振り返る。
○嬉野と湯布院・日田・阿蘇の観光の共通点として「温泉」があることを確認した。
 
○「嬉野市地域公共交通総合連携計画」と嬉野市の人口の推移を比較し、読み取ったことを発表する。
  ・嬉野市の見込みよりも速いスピードで人口が減少している。
○嬉野市の人口が予想より速く減少していることに気付かせるために、電子黒板で嬉野市の月ごとの人口の推移をグラフと計画に示されている人口推移の予測と比較させた。
    
 
めあて 嬉野市の今を見つめよう











○人口が減少するとどのようなデメリットが生じるか 考える。
  ・少子高齢化
  ・学校が廃校になる
  ・税収が減る
○「人が減ると困ることは」と問い、個人で考えさせた。
○自由な発言を促すために、税・医療・福祉・教育などの考える視点を与えた。
○嬉野市の人口が減少すると、どのようなデメリットが生じるかを考えさせることで切実な問題であることに気付かせた。
○農業・工業・観光で学習した「九州地方と嬉野市の共通点・相違点」を振り返る。


農業 共通点 二毛作、気候に合わせた作物
相違点
大規模な施設園芸農業・促成栽培輸送手段の発達
工業 共通点 IC付近に工場団地
相違点 工業生産額、自動車、先端技術産業
観光 共通点 温泉、街並み
相違点 宿泊客が少ない


○嬉野市の活性化のために、工業・農業・観光のうちでどれが生かせるかを考えさせるために、前時までに学習してきた九州地方と嬉野市の工業・農業・観光について調べさせたことを発表させ、嬉野市との共通点・相違点を表にまとめた。










○嬉野市の活性化のためには「農業」「工業」「観光」のどれが重要か、優先順位を考える。


解決すべき事項(社会的な問題)
・ 嬉野市に来る観光客の宿泊が減ったこと
○生徒の発表や表にまとめたことを参考にしながら、嬉野市の活性化させるには、「農業」「工業」「観光」の3つのうちどれが重要で実現可能なものかを考えさせ、優先順位をつけさせた。
       ↓ワークシートと同様の板書
     
○生徒の意見から「観光」の視点に絞り、嬉野市の活性化について考えていくことを確認した。
○グラフから嬉野市に来た観光客が、宿泊が少ないことを確認し、論題を導き出させた。
論題 嬉野市の観光は「湯布院型」・「日田型」・「阿蘇型」のどれをめざすべきか。《学習問題U》
○観光を生かした町おこしに成功している自治体を 紹介し、嬉野市も活性化のためには湯布院型・日田型・阿蘇型のうち、どの型をモデルとするのが有効かを考える。


○湯布院型・日田型・阿蘇型をそれぞれ「温泉」・「町並」・「自然」というキーワードで示し、どんな特色があるかを確認させた。
○嬉野市を観光で活性化するためには、湯布院型・日田型・阿蘇型のどれがよいか考えさせ、ワークシートに支持する型とその理由を記述させた。【評価】
○次時の予告を聞く。
○選んだ型を、嬉野市ではどのように実現していくか、資料を集め、具体的なプランを提案できるように準備することを知らせた。
 
実践を終えて
【成果】
 嬉野市の人口や観光客の減少という問題に対して、これらの問題がなぜ深刻であるのかを明確に理解し、嬉野市の地域的特色と関連付けさせながら、問題を解決していくための方策について、考察していくことができました。
 嬉野市の活性化プランを提案することで、地域社会へ参画していく意識を高めることができたと考えます。
 地域の社会的な問題を取り上げ、解決に向けて学習していく過程は、小学校においても行われており、小学校と中学校の連携を意図する教材の1つとして意義あるものです。
【課題】
 嬉野市の状況と他県の状況(湯布院型、日田型、阿蘇型)が同じではなく、オリジナル型(嬉野型)の作成も必要でした。
 少人数の学級でも「意思決定を取り入れた討論型の学習」を展開することができました。しかし、考えの深まりや広がりに限界があるので、他学年や保護者、行政機関などを交えて考えを深めたり広げたりすることも考えられます。その場合は、総合的な学習の時間への発展を視野に入れて計画することも考えられます。
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