「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

                                      

 実践事例14  中学校第2学年 【地理的分野 日本の諸地域】
           「九州地方」 −自然環境を視点の中心にして−
     
 
単元について
   この単元では、九州地方について、地形や気候などの自然環境に関する特色ある事象を中核として、人々の生活や産業などと関連付けて学習していく。九州地方の学習を通して身に付けた産業の発展と交通インフラの整備との関連性との視点から、私たちの街、嬉野を見つめるとどのようなことが見えてくるか、身近な題材を取り扱うことで具体的な思考力の深まりにつながると同時に、自分の街の将来について具体的な意見をもつことができると考える。
   生徒は、社会科に対する関心が高く、真剣に授業に取り組んでいる。第1学年の「世界の諸地域」で世界の州ごとに地域的特色を大観した上で、主題を設けて授業を行う。世界の各州の学習に興味をもって取り組んでいたが、基本的な学習内容の理解力や資料を読み取る力に個人差があり、話合い活動では十分にその内容を深めることができなかった。
   九州地方の地形や気候、土壌などの自然環境における地域的特色と、農業や工業、自然災害を、地図帳や各種資料から生徒に調べさせる。 次に、自然環境と人々の生活や産業との関連を考察させ、各授業の中で、嬉野市との共通点と相違点について自分の考えを表明させる。このような過程を通して、嬉野市の現状の理解と将来的な展望について自分の考えをもたせていきたい。生徒にとって身近な地域を教材として取り上げることで、具体的なイメージをもちやすくなり、話合い活動が活性化されることを期待している。
単元の目標
(1)
  九州地方や嬉野市の自然環境と生活、産業との関係について関心をもち、九州地方や嬉野市の特色を意欲的に追究し、捉えようとさせる。
(2)
  自然環境を中核として、人々の生活と産業の関係、嬉野市の現状や将来について多面的・多角的に考察させ、その過程や結果を適切に表現させる。
(3)
  地図や資料から、九州地方や嬉野市の自然環境の特色や産業、災害や防災への取組を読み取ったり図表などにまとめたりさせる。
(4)
  九州地方や嬉野市の地形や気候などの自然環境に関する特色や、人々の生活や産業と自然環境との関わりについて理解させ、その知識を身に付けさせる。
単元の評価規準
社会的事象への
関心・意欲・態度
社会的な
思考・判断・表現
資料活用の技能
社会的事象についての
知識・理解
○九州地方や嬉野市の自然環境と生活、産業との関係について関心をもち、九州地方や嬉野市の特色を意欲的に追究し、捉えようとしている。 ○自然環境を中核として、人々の生活と産業の関係、嬉野市の現状と将来について多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。 ○地図や資料から、九州地方や嬉野市の自然環境の特色や産業、災害や防災への取組を読み取ったり図表などにまとめたりしている。 ○九州地方や嬉野市の地形や気候などの自然環境に関する特色や、人々の生活や産業と自然環境との関わりについて理解し、その知識を身に付けている。
単元の指導計画(全8時間)
過程
主な学習活動
教師の指導・支援
時配







《自然環境を中核とした考察》
  自然環境を生活や産業に生かしている九州地方は、どのような特色があるのだろう。
○九州地方の地形や気候、位置などをおおまかに捉える。
○九州地方の地域的特色について、雨温図や地図などから読み取らせる。
○自然環境を生かした産業や災害、防災への取組みについて調べたことをまとめる。 ○地図帳や資料で九州地方に火山が多いことに気付かせる。
○火山が地域に与えるメリット、デメリットを考えさせる。
 自然環境を生活や産業に生かしている九州地方の特色を基に、嬉野市の現状と将来について考えよう。《学習問題T》
調

○九州地方の工業の特徴を、地理的条件や自然環境との関連付けて考察する。
○嬉野市の工業の様子と比較し、共通点と相違点についてまとめる。
○嬉野市の工業の現状について知る。
○アジア諸国との距離が近いことと工業の変容から、九州地方の工業の特徴について考察させる。
○交通網の発達と工場分布の関連性を資料から読み取らせる。

○嬉野市との共通点・相違点を考えさせる。
○九州地方の農業の特徴を、気候や火山に関係した地形と関連付けて考察する。
○自然環境を生かした嬉野市の農業について確認する。
○嬉野市の農業の様子と比較する。
○農産物の収穫量の資料から、温暖な気候を生かした二毛作が盛んなことを読み取らせる。

○促成栽培やシラス台地の農業の特徴の資料から、気候や地形に合わせた農業が盛んであることを読み取らせる。
○嬉野市との共通点・相違点を考えさせる。
○九州の観光地の特徴を、気候や自然と関連付けて考察する。
○嬉野市の観光や産業の様子と比較し、共通点と相違点についてまとめる。
○湯布院・日田・阿蘇の観光に関する資料から、各市の観光の特徴を読み取らせる。
○嬉野市との共通点・相違点から嬉野市の観光・産業の特徴について考えさせる。






○人口の推移等の資料から、嬉野市が抱える課題を読み取り、表現する。
○自然環境と人々の生活や産業との関連を基に、嬉野市の活性化のためには何が重要か、どのようなモデルが有効か考察する。     (意思決定1)
○人口推移等の資料から、予測よりも速いスピードで人口が減少している様子を読み取らせる。
○これまでの学習を振り返り、嬉野市の活性化のためには何が重要か、どのようなモデルが有効かを考えさせる。
○嬉野市で実現可能な活性化のプランを考え、資料等にまとめ表現する。
○観光を通して町おこしに成功している自治体の取組を参考に嬉野市はどのようなことに取り組めばよいのかを具体的なプランとして考えさせる。
 論題  嬉野市の観光は「湯布院型」・「日田型」・「阿蘇型」のどれを目指すべきか。
《学習問題U》
○自分たちが考えたプランを紹介し合い、そのプランが一番有効であるか判断する。
(討論)                   (意思決定2)
○活性化プランの有効性を判断する上での視点(裏付け・実現可能であるか)を共通理解させ、自分が支持するプランについての意思決定をさせる。
 
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