「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

3 研究のまとめ(1年次)                                  
(2)研究の成果と課題
 ア 研究の成果
 歴史的分野において、児童生徒の実態や指導内容を考慮し、児童生徒に意思決定を迫るために、社会的な問題を3つのパターンに分類し論題作成の手順を整理することができました。
 
 小・中学校での実践により、歴史的分野においても「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組みやすくする工夫を見いだすことができてきました。
 
 これまで、討論型の授業については、先行研究がなされてきましたが、不明瞭であった社会的な問題を把握させる段階において、問題を明解にし、論題を見いださせる手立てやその指導の工夫を明らかにすることができてきました。
 イ 研究の課題  
 小・中学校での内容及び指導法などで、連携できる点を見いだすことで、児童生徒の社会科の学習において、学ぶ意識をつなぐ必要があります。
 
 実践数を増やし、より効果的な手立てを探り、指導内容に合わせて使い分けられるようなバリエーションを構築する必要があります。
 
 授業時数との関係を考慮し、単元構成を工夫したり、調査活動やまとめる活動の見直しを図ったりして、指導方法を更に精選していく必要があります。
(3)2年次への研究の方向性
 小・中学校7年間の社会科教育を見据え、より多くの実践に取り組んでいきます。その際、小・中学校において同じような学習内容の単元に取り組むことで、小・中学校での学習が連携できる「つながり」や「共通点」を明らかにしたいと考えます。
  そのために、小・中学校で授業を参観し合い、小学校では、中学校までに身に付けさせておきたい社会的な思考力・判断力・表現力等を明らかにし、中学校では、小学校での学習の指導内容や指導法を生かした指導の工夫を明らかにして社会科における小・中連携のポイントを探っていきたいと考えます。
(4)終わりに
 
  平成25年度は、有田町立大山小学校と鳥栖市立旭小学校において、「意思決定を取り入れた討論型の学習」の公開授業研究会を開催しました。両校共、多くの先生方に参会していただきました。そこで頂いた御意見、御感想の一部を紹介します。
 公開授業研究会で頂いた御意見、御感想 ○評価していただいたもの ●今後の課題となるもの
    学んだ知識や資料などを活用して、自分で考えるということは、子どもたちの生きる力につながっていると思う。また、他の人の考えを聞き、様々な立場や視点からの考えに気付くことができる学習だと思う。
    子どもたちは日々意思決定をしている。それが普段は、自分の利益や小集団の利益に基づいて行っているわけである。社会科において、様々な立場から考え、世の中を見て、判断する経験をすることは必ず役に立つと思う。
    なかなか自分の考えをもてない子どもがいるという実態の中で、非常に意味のある授業だと思う。自分で考える必然性があるので、とてもよいと思う。授業の中でできる限り取り入れていきたい。
    子どもたちの理解力に応じた学習問題の立て方が難しく、いつも困っていた。公開授業を参観し、社会科における思考力・判断力・表現力を重視した学習方法で、興味・関心・意欲を高めるよい方法だと感じた。子どもたちが学んだ知識を活用して考える力、意思決定をする力を大切にしたいと感じている。今後の実践に役立てたい。
    子どもの疑問や葛藤が学習への意欲につながっていると思う。子ども自身が迷い、考える発問は大切だと感じた。発問が1字違うだけ、話し方が違うだけで子どもたちの受け取り方が変わってしまい、子どもによって反応が変わってしまう。本当に発問は日々考えないといけないと改めて感じた。
    初めて社会科の研修会に参加した。とても面白く、今後の参考になることがたくさんあったので、今後も参加して勉強したいと思った。 
    自分の考えを主張と考えると、まず、自分の立場を言う。次に根拠を言う。そして、具体例を示すなど、発言の仕方やワークシートへの書き方を決めたり、教えたりすれば更によいと感じた。   
    小学校の先生の授業を見て、とても参考になった。中学校では、できれば生徒の中から「次はこれを深く討論したい」というような意見が出てくればいいなと考えている。中学校と連携した理論が知りたい。 
    思考力や判断力を育むために効果があると思うが、あまり多くの時間は掛けられないのが実情である。ワークシートの作成や資料の準備も含め、多くの時間を掛けずに取り組めるようになればと感じている。
 
  貴重な御意見、御感想を頂き、本研究の成果と今後の研究への課題が明らかになりました。これらの意見を受け、2年次の研究がより先生方に役立ち、児童生徒の学びに還元できるものにしていきたいと考えています。多くの先生方の御参会に感謝申し上げます。
   最後に、本研究に御協力いただきました佐賀県小学校教育研究会社会科部会、佐賀県中学校教育研究会社会科部会、公開授業研究会場校の有田町立大山小学校、鳥栖市立旭小学校及び実践授業校の皆様へ感謝申し上げます。 
     
 
   

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