「生徒生徒一人一人が居心地のよさを感じる学級集団づくり」について提案します!

               
現在の位置: 2 研究の実際  (5) 対応策の実施 エ 中学校(学級)における実践 (ア) 生徒理解
                   
エ 中学校(学級)における実践          
互いの個性を認め合う集団を目指した学級での取組
 
 (ア) 生徒理解
 
1 本事例の学級の様子(1年生、5月下旬)
 本校は、1学年3〜4学級の中規模校です。 男女とも仲がよい学年です。しかし、男子生徒の中には、その時の感情に任せた発言をする生徒もいたり、女子生徒の中には、友人からどのように思われているのか分からないという不安から友人との距離を取り、気を遣い過ぎて誤解を招く生徒もいたりします。これからの学校生活において、生徒一人一人が言葉遣いや自分の行動に責任をもち、友人に自分の考えや気持ちを上手く伝えることが必要であると考えます。また、学校生活のルールやマナーを意識して、 安心して生活できる学級集団づくりを目指します。
               

2 アンケート(「Q−U」)結果(5月下旬)

 


:態度や行動が気になる生徒

:アンケートの結果と担任の日常観察が一致しない生徒

C:態度や行動が気になる生徒

(D、E、Fは小グループ)
D:アンケートの結果と担任の日常観察が一致しない生徒
E:アンケートの結果と担任の日常観察が一致しない生徒
F:アンケートの結果と担任の日常観察が一致しない生徒


      図5−エ−1 アンケート(「Q−U」)結果(5月下旬)
 
3 本事例の「学級把握シート」
本事例の「学級把握シート」は、個人情報が含まれているためプライバシー保護の観点から省略します。
→「学級把握シート」についてはこちら
 
4 チームによる実態把握(研究委員、学級担任)
【集団について】
アンケート(「Q−U」)結果より
学級担任の日常観察より
学級生活満足群の割合が64.6%と全国平均35.0%に比べて、高くなっている。


・一部の生徒が学校生活不満足群に位置している。

・リレーションが定着していない。
・小集団が多くあり、小集団同士のかかわりは少ない。行事や学級活動のときなどは、積極的な発言が少なく、行事などに協力して取り組もうとする意欲が低い生徒がいる。

・落ち着きのない生徒が数名見られる。

・学級委員や班のリーダーとしての役割が十分に果たされていない。 
学級がこのような状態になった要因として考えられること
積極的な発言が少なく、協力して取り組もうとする意欲が低い生徒がいる要因としては、小集団が多いことに加えて学校生活における生徒同士のコミュニケーションの未熟さから誤解を招き、互いに敬遠したり対立し合ったりして、小集団同士がつながらないことが考えられる。

落ち着きのない数名の生徒については、日頃の生活の中でほめられた経験や認められる経験が少く、承認感が低いことが考えられる。

・学校生活のいろいろな場面でリーダーとして活躍できる場が少なく、成就感や達成感を経験できなかったことが原因として考えられる。

・友人とかかわることが苦手な生徒については、話し方や話の聴き方等のスキルが未熟であると考えられる。
 
【個人について】
アンケート(「Q−U」)結果より
学級担任の日常観察より
・Aは、学級生活不満足群の中央の下に位置している。「いごこちのよいアンケート」で、7つの問いに「全くそう思わない」の回答をしている。「学校内に自分の本音や悩みを話せる友人がいる」に「全くそう思わない」の回答をしている。

・Bは、学級生活不満足群の右の中央に位置している。「いごこちのよいアンケート」で2つの問いに「全くそう思わない」の回答をしている。「学校内に自分の本音や悩みを話せる友人がいる」に「全くそう思わない」、「学校に行きたくない」に「とてもそう思う」の回答をしている。

・Cは、侵害行為認知群の中央に位置している。「いごこちのよいアンケート」で3つの問いに「とてもそう思う」の回答をしている。「休み時間にひとりでいることが多い」に「とてもそう思う」の回答をしている。




・Dは、学級生活不満足群の中央の上に位置している。「いごこちのよいアンケート」で、「自分の考えが学級や部全員の意見になることがある」に「全くそう思わない」、「学級の人から無視されるようなことがある」に「少しそう思う」の回答をしている。

・Eは、学級生活不満足群の右上に位置している。「いごこちのよいアンケート」で、「学校内で私を認めてくれる先生がいると思う」に「全くそう思わない」の回答をしている。

・Fは、学級生活不満足群の右の中央に位置している。「いごこちのよいアンケート」で5つの問いに「全くそう思わない」と「とてもそう思う」の回答をしている。「私は、クラスの中で存在感があると思う」に「全くそう思わない」、「学校に行きたくない」に「とてもそう思う」の回答をしている。
・Aは、周りの友人と馴染むことができずに、友人からの声掛けにも消極的に応じる。友人から陰口を言われているような感じをもっている。学校内には、気持ちを許すことができる友人がいない状態であると考える。


・Bは、自己主張が苦手で大人しい。周りの友人が自分をどのように思っているか、不安を感じている。




・Cは、周囲の様子を気にして見ていることがあり、友人に不信感を抱いている様子が見られる。また、友人からきつい言葉を掛けられることが多く、学級では一人でいることが多い。

( D、E、Fは仲はよいが、それぞれ友人とのかかわりが苦手で、会話が成立しない場面がある。

・Dは、Cとトラブルことがあり、Cの様子を観察している状態がしばらく続いた。




・Eは、友人とのかかわりに、戸惑う様子が見られることがある。コミュニケーションを取るのが難しい生徒である。


・Fは、小学校時代に登校をしぶることがあった。今のところは登校することができている。


抽出した生徒がこのような状態になった要因として考えられること
・Aは、小学校高学年のときに転校してきた。しばらくは学級に馴染むことができずに、新しい友人関係を築くことができなかった。対人関係に不安を感じていると考えられる。

・Bは、日常の観察から不安傾向が強い様子が見受けられる。本音が話せる友人がいないと感じ、消極的な態度で友人と接していると考えられる。

・Cは、思ったことをそのまま口に出してしまうことがあり良好な友人関係を築くことが難しい。友人との話題が合うことが少なく、次第に友人から距離を置かれるようになったと考えられる。

・Dは、友人とのかかわり方に不安を感じているのではないかと考えられる。友人からの視線が気になり、相手がどのように思われているか分からないと訴えてくることがある。友人の言葉に敏感になり、対人関係に不安を感じていると考えられる。

・Eは、友人とのかかわり方に不安を感じているのではないかと考えられる。教師や大人に対しての不信感があり、認めてられていないと感じていると考えられる。

・Fは、友人とのかかわり方に不安を感じているのではないかと考えられる。相手の気持ちを察して行動することに苦手さを感じていることから、集団での活動に距離を置くようになったと考えられる。
 
 
 

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