生きて働く言語能力を育てる「国語科学習指導の具体策」を提案します!

「生きて働く言語能力」の育成を目指した中学校国語科における学習評価の進め方

学習評価の進め方と評価規準の設定の仕方
 

平成24年度から、学習指導要領が全面実施となりました。学習指導要領の趣旨を反映した学習評価の考え方については、平成23年11月に「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」(以下、参考資料と表記)が、国立教育政策研究所から示されました。
  学習指導要領の下での学習評価については、生徒の「生きる力」の育成を目指し、生徒一人一人の資質や能力をより確かに育むようにするため、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況をみる評価(目標に準拠した評価)を着実に実施し、生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすことが重要です。併せて、学習指導要領に示す内容が確実に身に付いているかどうかの評価を行うことが求められています。

評価の進め方を簡単にフローチャートで示すと次のようになります。右側には評価規準を設定する場面を具体例を挙げて説明しています。詳しい内容については、参考資料や教育センターの手引き「新学習指導要領における学習評価の進め方」をご覧ください。

     
1 単元の目標を設定する


2
@
単元の目標に照らして、評価の観点を設定する。

例:第2学年「読むこと」領域、言語活動例イ「評論の文章を読み、内容や表現の仕方について自分の考えを述べる言語活動を通した指導」との関連で単元を構想した場合
「国語への関心・意欲・態度」と「言語についての知識・理解・技能」の観点はどの単元にも必ず設定します。
指導する領域に応じて、それぞれ「話す・聞く能力」、「書く能力」、「読む能力」の観点を設定します。
1単元1領域に絞ることが多いですが、領域を関連させた方がより高い指導の効果を得られる場合には、2領域以上で単元構成します。
国語への
関心・意欲・態度
読む能力
言語についての
知識・理解・技能
筆者の表現の工夫を読み取り、その効果について自分の考えをもとうとしている。 文章の展開に着目し、表現の工夫とその効果について読み取り、根拠を明確にして自分の考えをまとめている。 筆者の意図に応じて、表現の工夫や展開に違いがあることを理解している。

A
単元の言語活動に即して、評価規準を具体化します。


例:授業展開案(中2・読む)「筆者になりきって文章を書き、読み合おう」
:取り扱う教材「神奈川沖浪裏」赤瀬川原平(東京書籍 第2学年)
:教材の特性(浮世絵について表現を工夫して詳しく説明した文章)
:取り入れた言語活動「筆者になりきって文章を書き、読み合う(表現の工夫を読み取る)」
単元の目標に照らして、おおむね満足できる生徒の状況(B)を具体像で示すことが大切です。
上記の例において、「読む能力」の評価規準は、「参考資料」の【「C 読むこと」の評価規準の設定例】から指導事項ウの評価規準「評論の文章を読んで、文章の構成や展開の工夫について、根拠となる部分を挙げて自分の考えをもっている。」を参考に、単元で取り扱う教材の特性や焦点化した指導事項に応じて「文章の展開に着目し、表現の工夫とその効果について読み取り、根拠を明確にして自分の考えをまとめている。」としました。
上記の例において「言語についての知識・理解・技能」の観点では、教材の特徴や指導内容に応じて、「筆者の意図に応じて、表現の工夫や展開に違いがあることを理解している。」としました。
※平成24年度に工夫改善を行う授業展開案や上記の具体例は、「十分満足できる」状況(A)、「おおむね満足できる」状況(B)と判断した生徒の具体的な状況の例を示しています。また、「努力を要する」状況(C)と判断した生徒への指導の手立てや働きかけを示したり、「努力を要する」(C)状況に至ることのないよう配慮した点を示したりしています。
 これらの例は、評価規準や評価の目安を設定していただく際の参考となるように作成しています。そのため、評価規準や評価の目安を設定する際は、各学校において生徒の実態と単元の指導のねらいに応じて、適切に設定することが大切です。
 
2
評価規準を設定する
 
3
評価規準を「指導と評価の計画」に位置付ける
 
 
4
評価の方法やどのような目安で評価するかを明確にする。
 
 
5
評価結果のうち「記録に残す場面」を明確にする
 
 
6
指導と評価を行う
 
 
7
観点ごとに総括する
 
   

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最終更新日:2012-08-20