話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

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(4) 学級活動内容(2)における授業モデル(小学校・中学校)

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『小学校学習指導要領解説 特別活動編』 では

『小学校学習指導要領解説 特別活動編』 では、「(2)日常の生活や学習への適応及び健康安全」における「話合い活動」の事前、事後等の一連の活動過程をこのように示しています。

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「本時の活動」での話合い活動の位置付け
   上に示した『小学校学習指導要領解説 特別活動編』の活動過程を基に、本研究では、児童生徒が解決すべき問題を自分自身の問題として受け止めていくような手立てとして、その問題を解決する必要性をもたせることが重要であると考え、本時の活動を4つの段階の流れで進めることとしました。
 
 
小学校学習指導要領解説 特別活動編

プロジェクト研究での提案





問題の状況や原因の把握
問題の状況の把握
価値の意識化(必要性を考える)
解決や対処の仕方などについて共に考える
解決や対処の仕方などについて共に考える
自分としての解決方法などを自己決定する
自分としての解決方法などを自己決定する。
 
  本研究では、話合い活動となる「問題の状況の把握」と「解決や対処の仕方などについて共に方法を考える」の間に、問題を解決することの価値を意識する段階、「価値の意識化(必要性を考える)」を加えました。この3つの流れを授業モデルや授業実践の中でそれぞれ「柱1、柱2、柱3」としています。
  「4自分としての解決方法を自己決定する。」については、柱1から柱3までの話合いを基に自分自身で解決方法を考える段階です。
  問題の状況の把握【柱1 自分や学級の様子を振り返る】
   

まず、問題に対する自分や学級の様子を振り返り、自分たちの状況を把握することが大切です。自分たちの状況を把握できなければ、問題の本質に気付くこともできませんし、解決に向かうための考えが形骸化したものになりかねません。それぞれに振り返ったことを話合い活動の中で出し合うことで、問題点を共有化し、共に考え解決していこうとする意欲に結び付くと考えました。

  価値の意識化(必要性を考える)【柱2 必要性を考える】
     問題を解決するには、まずその問題の原因を考えます。問題の原因を追究することで、それを解決するための必要性も生まれ、その結果が解決方法につながっていくからです。しかし、原因追求を話合いで行ったときに、学級がマイナスの雰囲気になってしまうことがあります。そこでプラスに向かわせる気持ちのよい話合いであり、さらに、深まりのあるものにするために「原因追究」ではなく題材の意図することはなぜ大切なのかという「価値の意識化」を2の段階に位置付けました。
  大人から見ると当たり前のことであっても、中にはその必要性が分からない児童生徒がいることもあります。また、児童生徒相互にその必要性を出し合わせることにより、身近な友達から出た言葉でその必要性を主体的に再確認することができ、実践への意欲につながると考えました。
  解決や対処の仕方などについて共に方法を考える【柱3 解決方法を考える】
     ここでは、問題の解決方法について、意見を出し合います。「自分で実践していくのだから、出し合わなくてもよいのでは」と考えがちですが、ここで解決方法を出し合わせることで、それぞれが学級の友達の前で自分はどう考え、どう実践していこうとするのか、宣言することになり、それが実践への意欲につながります。また、友達の考えを聞くことでそれが自己決定のヒントとなって自分の考えを振り返り、より具体的なものへ、より効果的なものへと自己決定の質を高めることにもつながります。
  自分としての解決方法などを自己決定する。
      一人一人の問題について、実際に解決に向けて努力することを具体的に決める自己決定をさせます。柱1から柱3で意見や考えを交換し、互いに参考にしていくための話合いをさせることを通して自己決定をさせることが大切です。
授業モデル
 

今回のプロジェクト研究では、本時の効果的な話合い活動の流れを提案することがねらいですが、学級活動内容(2)の学習では、本時に向かう事前活動や、振り返りの時間も大切と考えています。そこで、事前活動、事後活動を含めた一連の活動過程を「授業モデル」として以下に示します。

 
事前活動、事後活動を含めた一連の活動過程を示した「授業モデル」
学習の流れ
指導上の留意点



☆話合いや、実践への意欲を高めさせる。
学級の問題に気付かせる。
○  教師と全児童生徒で題材を決定する。
計画委員会(司会団、教師などで編成されるもの)で話合いの計画を立てる。
  <司会団編成例>
司会・進行・黒板記録・ノート記録
問題の意識化を図る。
 
児童生徒は、話合いに向けて、学級会ノートに考えを記述する。
     
児童生徒に問題の状況を把握させ意識化させる方法として次のことが考えられる。
 
アンケート
 
ビデオ視聴
 
児童生徒の作文、日記
学級の問題の状況を把握させた上で、どのような題材で話合いをするか、教師と児童生徒で決定する。教師だけで決めるのではなく、児童生徒とともに考えることで、児童生徒が自分たちの問題として捉えることができ、解決へに向けて話し合おうとする意識が高まる。
計画委員会では、教師と司会団で、話合いの柱や話合いのめあてなどを決め、原案を書かせる。
   
学級会ノートには、柱1、柱2、柱3それぞれについて記述させ、自分の考えをもって話合いに臨むことができるようにさせる。
 
本時の

☆話合い活動を生かし、個人目標の自己決定をさせる。
司会団の進行により、話合い活動を進める。
柱1に向けての先生の話
柱1 自分や学級の様子を振り返る
   
柱2に向けての先生の話
柱2 必要性を考える
   
柱3に向けての先生の話
柱3 解決方法を考える
   
実践することを自己決定する。
 
各柱の前に教師が話をする。ここで、事前に取ったアンケートや、児童生徒の様子が分かるビデオ、作文などを効果的に使うことで、問題の意識化を図ったり、解決に向けての意欲を高めさせたりする
児童生徒に問題における実態を想起させ、話合いへの意欲をもたせるような話をする。
柱1で児童生徒から出された意見を整理したり、柱2で問題を解決させる必要性を考えさせる上でポイントとなる意見を取り上げたりして、柱2の話合いへの意欲を高めさせる。
柱2で児童生徒から出された意見を基に、もう一度問題を解決させることの必要性を確かめ、柱3で自分に合った具体的なめあてを発表し合うよう意欲付けをする。
自己決定の場面では、柱3で出された友達の考えを参考に、それぞれの児童生徒に、自分にできる具体的なことを決めさせる。




☆自己決定した解決方法を実現させる。
一人一人のめあてを掲示する
実践
振り返り活動
学級の中でそれぞれのめあてを共有化させて実践への意欲を高め合ったり励まし合ったりできるよう、それぞれが実践することを、教室に掲示する。
自己決定したことを一定期間実践する。
自分が決めたことについて適宜振り返りをさせる。帰りの会などで、振り返りの時間を取り、友達と励まし合ったり実践方法の改善などをアドバイスし合ったりさせることで実践への意欲が持続したり、めあて達成の助けとなったりする。

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最終更新日:2011-03-30