話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

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(3) 話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業づくり 

    学級活動内容(2)に挙げられているものは、教師が意図的、計画的に指導する必要があるもので、いずれについても自己探求や自己の改善・向上の視点から個に関わることがほとんどです。しかし、この「個」とは「集団活動の中での個」であり、集団を育てることが個を育てることにもつながります。「互いに認め合おうとする人間関係を形成し、自分に自信をもち、自分の個性を生かすことができる児童生徒の育成」のためには、教師からの一方的な指導だけではなく、児童生徒自身が健全な生活態度や習慣の形成を図ることがなぜ必要なのかということについて児童生徒相互に問い直す時間をつくることが大切だと考えました。

 そこで、本研究では、学級活動内容(2)の学習に話合い活動を効果的に取り入れます。自分の問題に対して、話合い活動を通して、問題を解決することの必要性や対処の方法などについて考え、解決方法などについて「集団活動の中での個」を意識しながら自己決定し、強い意志をもって粘り強く実行していく児童生徒を育成することを目指します。話合い活動を取り入れることで、多様な意見を交わしたり、集団の中で自分の意見を受容されたりすることにより、児童生徒は、より主体的に判断し、自己決定することができるようになると考えます。
 また、児童生徒が自分自身の問題として受け止め、その解決に向かって自己決定したことを、その後の活動の意欲につなげたり、自他の活動を認め合いながら、更に自身の活動への意欲につなげたりするために、活動を振り返る場を位置付けてその工夫を行うことが必要であると考えます。

  以上のようなことから、「互いに認め合おうとする人間関係を形成し、自分に自信をもち、自分の個性を生かすことができる児童生徒の育成」を目指し、「1 多様な意見を交わし自己決定を促すことができるような話合い活動の工夫」、「2 自己を見つめなおし、集団の中での自己を自分らしく生かそうとする意欲を高めるための振り返りの工夫」の2点に絞って研究を進めていきたいと考えます。
  1 多様な意見を交わし自己決定を促すことができるような話合い活動の工夫
     話合いの順序を児童生徒の実践意欲の高まり方を考え、次のように設定することにしました。
話合いの柱の工夫
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図1 話合いの順序

 話合いの柱を1、2、3の3つとし、話合いの流れをパターン化します。それにより、どの学級でも、学級活動内容(2)における話合いが、スムーズに進行されるのではないかと考えました。次のことに留意して3つの柱を考えました。
柱1 自分や学級の様子を振り返る
  問題に対する自分や学級を振り返るための話合いです。
柱2 必要性を考える
  問題の解決の必要性を探っていく話合いです。
柱3 解決方法を考える
  問題の解決方法について意見を出し合う話合いです。
各柱をつなぐ教師の話
 児童生徒に対し、問題についての学級の実態を振り返らせたり、実践への意欲付けをしたりするなどについては、教師が指導し、方向性を示すことが大切だと考え、各柱の前に教師の話を位置付けるようにします。
 話合いを始める前の先生の話では
 児童生徒の問題における実態を想起させ、話合いへの意欲をもたせるような話をする。
 柱2に向けての先生の話では
 問題の解決をすることの必要性を児童生徒が感じることができるような話をする。 
 柱3に向けての先生の話では
 柱1と柱2の話合いを想起させ、自分に合った具体的なめあてを考えることができるように話をする。
学級会ノートの活用
  話合い活動に意欲的に臨むために、自分の考えを書いて整理することができる、学級会ノートを使います。このノートには、柱1、柱2、柱3のそれぞれに自分の考えを書いておきます。そうすることで、発表を後押しするものにもなります。
     
  2  自己を見つめなおし、集団の中での自己を自分らしく生かそうとする意欲を高めるための振り返りの工夫
        自己決定したことを実践する中で、振り返りをすることが、実践の意欲付けに大きな役割を果たすと考えます。学級活動内容(2)の学習では自己決定したことを基に事後の活動を行います。その振り返りの方法として、本研究では、日々振り返りをする活動に使用する振り返りカードと、1単位時間を使っての振り返りの時間について提案をします。
     
日々の活動における振り返りカードの利用
  帰りの会などで、自分の取り組みについて振り返らせ、その都度、自己評価をさせるものです。
 実践の継続に向けての意欲付けが主なねらいですが、自己の成長を実感し自尊感情の高まりにつながることも期待しています。
1単位時間での振り返りの時間
  特に個人の問題でありながらも、学級全体の人間関係づくりへの関わりが大きい題材のときなどに位置付けます。例えば内容項目の「ウ望ましい人間関係の育成」(小学校)などはその一つです。
 実践活動でのお互いのよさを見付け合い、高め合っていけるように進めていきます。

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最終更新日:2011-03-30