1 研究の概要 |
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(1) 研究テーマ |
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科学的な思考力・表現力の育成を目指した理科学習指導の在り方
―言語活動の充実とものづくりの指導の工夫―
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(2) テーマ設定の趣旨 |
<理科の学習に求められていること> |
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子どもたちの自然体験の不足や理科離れが言われて久しくなります。本来子どもは自然の中で遊ぶことが好きであるし、日本各地で開催されている科学教室等にみる子どもの目は輝いています。学校の理科の学習においても、多くの児童生徒は、楽しそうに取り組んでいるように見えます。それなのに、なぜこのように理科離れが言われるのでしょうか。
小学校では、平成23年度から、中学校では平成24年度から全面実施となる新学習指導要領においては、見通しをもって主体的に問題解決を行う能力や実感を伴った理解が求められています。またTIMSS調査やPISA調査などの国際調査の結果からは、科学的な手続きに基づいた、自然の事物・現象の解釈や、それによって得られる考えを表現することに課題があることが示され、科学的な思考力・表現力に課題があると指摘されているのが現状です。科学的な思考力・表現力を育成するためには、児童生徒が、自然に対して感じる「なぜ、どうして」を大切に、それを科学的に探究していくことの楽しさ、すばらしさを感じることができるような学習を展開していくことが必要だと考えられます。特に、小学校では見いだした問題に対して、予想や仮説をもち、それらを基にして観察・実験などの計画や方法を工夫して考えること、中学校では生徒が見いだした問題から自ら課題をもち、解決へ向けて目的意識をもって探究活動を行うことが求められていると考えます。
これらのことから分かるように、小・中学校の理科の学習を通して、自ら学ぶ意味を考えさせながら学習へ取り組ませることが、科学的な思考力・表現力の育成につながると考え、本研究に取り組むこととしました。 |
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<新学習指導要領の小学校・中学校理科の教科の目標> 下線部は新学習指導要領で新たに示されたところ |
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小学校理科の教科の目標 |
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自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。 |
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中学校理科の教科の目標 |
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自然の事物・現象に進んでかかわり、目的意識をもって観察、実験などを行い、科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。 |
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小学校理科の教科の目標では、従前の目標に「実感を伴った」という文言が付け加わり、教師は実感を伴って理解することができるように支援することが求められています。児童は、自らの観察や実験に取り組む前に、その内容や方法は適切なものになっているか、自分の頭で考え、さらに適切な方法に改良したり、自ら学習の対象となる事象に働き掛けたりして、自分の力で問題解決を図ることを通して、自然の中のきまりを理解していくことで、実感を伴った理解ができるようになると考えています。
中学校の理科の目標では、従前の目標の「自然に対する関心を高め」から新学習指導要領では「自然の事物・現象に進んでかかわり」へ、また「科学的に調べる能力と態度」から「科学的に探究する能力の基礎と態度」へと文言が変わっています。特に、「進んでかかわり」や「探究」などの言葉に変わったのは、これまで以上に生徒の主体性が求められているからだと考えています。
このように、理科の目標は、小学校、中学校にそれぞれありますが、小学校と中学校の接続を考えると決して別々に存在しているものではありません。本研究委員会では、「小学校は中学校を見据えて」、「中学校は小学校を踏まえて」という立場で考え、それぞれの目標が目指す方向性は同じであると考えて研究テーマを設定しました。 |
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(3) 研究の方法 |
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@科学的思考と表現をつなげる指導法に関する文献調査及び理論研究を行う。
A科学的な思考力・表現力を高めるための教材開発を行い、授業での有効性を考察する。
B理科の小・中学校の学習内容の系統性を踏まえた授業実践を行う。 |
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(4) 研究の内容 |
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@新学習指導要領における小・中学校の理科学習の方向性 |
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A科学的な思考力・表現力の育成を目指す理科学習指導の考え方 |
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B科学的な思考力・表現力を高めるためのワークシートの開発 |
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C科学的な思考力・表現力を高めるものづくりの活動の位置付け |
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最終更新日:2011-03-30 |
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