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衣生活

  衣服の選択と手入れ 内容A(3) − 関連項目 内容B(4)イ


 衣服の製作に当たっては,ただ材料を加工する技術を身に付けるだけでなく,原料やエネルギーなどが費やされていることに気付いたり,衣服を大切に着用し,不用になったものは再利用や処分の仕方を工夫したりすることは大切なことです。また,衣類を長持ちさせるために手入れや補修の方法を身に付けることも必要であると考えます。
 そこで,「思い出の服をリメイクしよう」という単元を組み,事前調査の結果を受けて,生徒が興味・関心をもって学習に取り組めるよう,自分の不用になった衣服を利用させることにしました。同じ製作手順でできる複数の小物を用意し,実生活で活用できるものを各自で選択させることにより,「作ってみたい」という生徒の意欲を喚起させたいと考えました。また,製作手順の中に,「アイロンかけ」「まつり縫い」「スナップ付け」「ミシン縫い」などの基礎的な学習事項を取り入れるようにしました。


製作教材
ポケットティッシュカバー
作り方【PDF】
お弁当袋
作り方【PDF】
リコーダー入れ
作り方【PDF】
リメイクバッグ
作り方【PDF】
片方の端の始末に,アイロン接着のバイアステープを使用することにより,製作時間を短縮しています。 ふたの部分の始末にアイロン接着のバイアステープを使用しています。スナップ付けは2箇所です。 お弁当袋の応用です。製作手順は同じでも,用途に応じて様々な大きさのものを製作することができます。 口の部分にまつり縫いをし,スナップを付けました。持ち手は時間短縮のため,市販のテープを利用しています。
製作支援教材
まつり縫い拡大模型 スナップ付け拡大模型
不織布を使用し,実際に縫えるようにしました。大きさは50cm×50cmです。針には竹串を利用しています。針を刺す位置が分かるように事前に穴を開け,パンチラベルで補強しています。 フロアマットを利用してスナップ付け拡大模型を作りました。上前・下前が分かるように突起を付けています。大きさは45cm×45cmです。スナップを付けるための布として,不織布を用意し,針を刺す位置には事前に穴を開け,パンチラベルで補強しています。



授業の実際
題材 思い出の服をリメイクしよう        〜中学1年生で実施(平成19年7月)〜      指導案はこちら
教材 製作教材(ポケットティッシュカバー・お弁当袋・リコーダー入れ・リメイクバッグ)  まつり縫い・スナップ付け拡大模型
ねらい ・不用になった衣服のリメイクに関心をもって取り組む。
・不用になった服からデザインを工夫し,リメイク作品を考えることができる。
・しるし付け,裁断,アイロン掛け,まつり縫い,スナップ付け,ミシン縫いができる。
・不用になった衣類の再利用や処分の仕方を理解する。 
指導
計画
時配 主な学習事項(学習課題) 教師の主な支援
リメイク作品を考えよう(本時) ・作品の用途やデザインを考えやすいように,完成見本やリメイク作品例を示す。
・製作手順を段階標本を用い説明する。
リメイク作品を作ろう ・まつり縫いやスナップ付けを拡大模型やコンテンツを用いて説明する。
作品発表会をしよう ・各自のアイデア・作品に対する想いを発表し合うことにより,再利用する利点を確認する。
授業の実際 過程 学習活動 教師の指導・支援 評価・資料
課題の把握 @持参した不用になった衣服を確認する。
※その服の思い出は?
・母さんがいつもはいていた(ジーンズ)
・遊びに行くときによく着ていた(Tシャツ)
・日焼けしないように着ていた(長袖Tシャツ)


A本時の学習目標を知る。
リメイク作品を考えよう。
・持参した服の思い出を記入させることにより,服への愛着をもたせる。






・不用になった衣服の活用法として再利用(リメイク)する方法があることを確認する。
・生徒が持参した服
ワークシート




・本時の作業手順表
課題
解決の準備・実行
B持参した服が活用できるデザインを考える。
 例)
  イラスト(模様)
  ポケット
  ボタン など
※その小物を製作しようと思った理由は?
・はさみやのりなどがふでばこに入れにくいから
・リコーダー入れが欲しかったし,挑戦してみたかったから
・絵柄がかわいかったので、それをいかしたいと思ったから


C製作する作品の,出来上がり図と製作手順を記入する。
 ○出来上がり図
 ○寸法
 ○服のどの部分を使うのか。
 ○製作手順
・再利用の例として身近な小物入れを示し,各自で選択して製作することを伝える。
・デザインの参考に完成見本やリメイク作品示す。
・衣服の特徴を生かして作品を製作するよう促す。

・ポケットティッシュカバー
・お弁当袋
・リコーダー入れ
・リメイクバッグ
・その他(筆箱など)

<実物投影機を使った説明>
・段階標本を用いて説明する。その際、製作におけるルーブリックを示し、作業内容を確認する。


   <当日の板書>
・完成見本
・リメイク作品例

【工夫・創造()
衣服の特徴を生かした工夫をしている。〈ワークシート〉
・何を入れるための小物か考えさせる。






・製作手順
ルーブリック


【関心・意欲・態度()
衣服の再利用を考え,製作計画に,取り組んでいる。<観察>
→・完成見本や段階標本により確認させる。
評価・
実践化
Dワークシートにより、学習内容を確認する。

 ○自己評価をする 
・丁寧につくりたい
・難しいと思うけど,一生懸命がんばる


E次時の活動を確認する。
・服をリメイクすることにより,思い出の服に新しい役割が生まれることを確認し,資源の有効利用につながることを伝える。




・次からの作業の見通しをもてるように,段階見本を示す。

<生徒ワークシート>
授業を振り返って
<授業を終えての生徒の感想>
・制服のスナップが取れたら,自分で付けたい。
・着なくなった服はすぐに捨てないで,もう一度リメイクをしたい。
・家でいらなくなった服とかがあれば,また何かを作りたい。なるべく資源や環境
のことを考え,いろんなものをリサイクルしてみようと思う。
・服のリメイク以外にも,環境や資源のことを考えて行動したい。
・学校では友達の力を借りたから,今度は自分の力で作りたい。
・家にミシンがあるから,着なくなったのはリメイクしてお母さんにあげたい。

   <製作の様子>

などの感想があった。これらから,実際に製作するという体験的な学習を取り入れ,生徒自身に必要性のあるものを
選択させることにより,「やってみたい」という今後の意欲付けにつながったと思う。
 また,不用になった衣服を利用したことにより,資源を大切にしようという意識を高めることもできた。


成果と課題
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