第1年次の研究では,道徳の時間に情報モラルの内容を直接扱ってしまうと,本来の道徳のねらいが達成できないのではないかという課題が残りました。それは,即時的な効果をねらい,道徳的判断力の育成とルールやマナーの指導の両方を同時に行おうとしたからだと考えました。
したがって,第2年次の研究では,道徳の時間は,あくまでもその時間の道徳のねらいを達成することを目的とし,その中でゆくゆくは情報モラルにつながる心情を高めるような発問を工夫することにしました。その際,中心発問に対して情報モラルにかかわる発問をどの程度の比重にするかは,児童生徒の実態から指導者が判断する必要があると考えます。
このような手立てを行うことで,本来の道徳の時間のねらいを達成しながらも,情報モラルを培う授業になったのではないかと考えています。
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大阪教育大学の金光靖樹先生の指導により,ワークシートの記述を分類することで教材の有効性を検証しました。実践9の事例では,主題に即したねらいの評価で,おおむね良好な結果でした。
また,情報モラルの授業として見た場合も全体の97%が達成しており良好な結果であったと判断しました。情報モラルのねらいに沿った発問や切り返しの発問があり,生徒はメディアを媒介とした間接的なコミュニケーションと対面コミュニケーションとの違いを感じることができていたと判断します。
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