プロジェクト研究 道徳を通して培う情報モラル

研究情報トップへ

心豊かなコミュニケーション力をはぐくむ情報モラル教育の在り方


情報社会の進展

 情報社会の進展は,私たちの生活に大きな変化をもたらしました。人々の生活の中に情報機器が深く入り込み,多様な情報通信ネットワークが社会を支え,これまでとは異なる様相を呈してきています。一方,子どもたちに目を向けると,コンピュータやインターネット,携帯電話等の情報ツールは手軽なコミュニケーション手段として低年齢層にまで普及し,一部では,チャットやメール,掲示板への書き込みなどコミュニケーションにおけるトラブルが増加傾向にあります。そして,それらのトラブルは,ネットワークマナーが身に付いていないことや情報モラルが問われる場面での判断力不足に起因するものが少なくありません。情報モラル教育については,文部科学省の情報教育の枠組みの中に「情報社会に参画する態度」として位置付けられていますが,子どもたちへの指導が情報化の進展に追いついておらず,対症療法的な指導で根本的な解決にはなっていないのが実情ではないでしょうか。

 文部科学省では,情報モラルを「情報社会において,適正な活動を行うための基となる考え方と態度」と定義しています。そして,その教育の内容は,情報社会のルールやマナーを教えることに加え,道徳性を含めた人格の形成と深くかかわっているととらえることができます。21世紀を担う子どもたちにとって,情報ツールを豊かに活用しながら情報社会を生き抜く資質を身に付けることは不可欠なものです。これまで,一般的に行われてきているルールやマナーを重視した情報モラル教育では,確かにトラブル回避の知識や情報ツールの使い方は学ぶことができるでしょう。しかし,それだけでは情報ツールを豊かに活用できるとは限りません。子どもたちが,情報ツールの向こうには人がいるということを意識して,相手の立場に立ったコミュニケーションができるようになるために,道徳的な判断力や実践力の育成が必要であると考え,2か年の研究を進めてきました。

心豊かなコミュニケーション

 本研究では,心豊かなコミュニケーション力をはぐくむ情報モラル教育について,小学校から中学校までの発達段階に応じた指導資料として具体的な授業実践事例,開発した道徳の教材等を提案しています。各学校における情報モラル教育に御活用いただければ幸いです。

道徳の時間の位置付け

 本研究では,各教科,特別活動並びに総合的な学習の時間等にルールやマナーの指導を行い,道徳の時間では心を耕す指導を行うというように役割を明確にしました。道徳でもルールやマナーに関することを考えますが,ここでは,「思いやり」「友情」等の内容項目を中心に実践しています。道徳の時間の後,子どもたちが自発的に「〜していきたい」という気持ちになるような心情や意欲の高まりを考えています。 
すなわち,心豊かなコミュニケーション力を育成する基盤となるように道徳の時間を位置付け,子どもたちが思いやりの心をもって前向きに情報ツールを使っていけるように心を耕すことをねらっています。


道徳を通して培う情報モラル委員会

研究目標・内容・方法

1 研究の目標
 道徳の時間において,情報ツールを通した相手の立場に立ったコミュニケーション力をはぐくむことのできる教材開発及び指導の在り方を探る。

2 研究の内容
(1)情報モラルにかかわりのある道徳的価値の自覚を深めるための発達段階に応じた道徳教材を作成し,授業実践する。
(2)作成した教材を用いて授業実践を行い児童生徒の変容を分析することで,教材の有効性を検討する。
(3)心を耕すことを道徳で,ルールやマナーの指導を各教科等で授業実践し,道徳の時間の役割を明らかにする。

3 研究の方法
(1)研究対象

小学校中学年・高学年及び中学校全学年
(2)研究期間
平成17年4月〜平成19年3月(2か年)
(3)研究組織
@理論研究 : 教育センター所員(道徳・情報)
A授業実践 : 研究委員(小・中学校教諭)

マクロメディア(アドビ)フラッシュがインストールされていない環境では御覧いただけないことがあります。環境に合わせて,ダウンロード・インストールしてください。 flash
PDFファイルを見るには,プラグインが必要です。環境に合わせて,ダウンロード・インストールしてください。
※研究報告書(PDFファイル)のダウンロードはこちらから

Copyright(C) 2005-2006 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.