支援者の持ち味を生かそう

 不登校の子どもを支援していく時には、親や担任をはじめとして、いろいろな立場の人たちが連携してかかわることが有効な支援につながります。

 例えば、教室では担任、相談室では教育相談担当、部活動に参加できていれば、その担当教師、時には学校外の人たち等、いろいろな場でいろいろな人がその支援者として、一人の子どもにかかわっています。

 これらの連携に必要なのは、「子どもの今」の状態についての共通の理解と、それぞれの場に応じた様々なかかわり方です。場が違えば、一人の子どもがそこで見せる表情や状態も違うかもしれません。したがって、いろいろな場面で見られる子どもの情報を支援者間で共有して、「子どもの今」を理解する。そして、それを基に、支援者の持ち味を生かしたかかわりをその場に応じて行っていくことで、子どもへの支援はだんだんと充実したものになっていくことが期待できます。

 そこで、情報を共有し、連携した支援につなげるための手立てとして、「個別支援シート」を作成し、その活用を図ることを考えました。




 個別支援シートを利用しよう

 昨年度より、佐賀県学校適応指導教室「しいの木」では、「心の窓」からの支援を円滑に進める手立てとして、「個別支援シート」を使っています。また、子ども本人やその保護者からも「心の窓」の情報を得るため、子どもや保護者自身の振り返りも兼ねて、「子ども用アンケートシート(マイカウントダウン)」や「保護者用アンケートシート」も作成しました。

 この3つのシートは、同じような視点(「学習面」「心理・社会面」「進路面」「健康面」)から構成されており、いろいろな立場からの情報を共有しやすくしています。また、これらはすべて、ファイルに保存され、継続的な支援に生かしています。

 以下、これらのシートの活用ポイント等を示します。


個別支援シート(支援者用)
個別支援シート活用の目的
 ●支援者の得た情報を記録する
 ●子どもに対するかかわり方を支援者自身が振り返る
 ●支援者同士が情報を共有するための資料にする

連携の会における個別支援シートの活用法
 @それぞれの支援者が、自分の立場で記入し、連携の会に持ち寄る。
 A情報を共有すると共に、今後の支援方針についての共通理解を図る。
 Bその方針に基づいて、それぞれの立場での支援について確認する。

※記入上の留意点及び記入例(PDFファイル)

子ども用アンケートシート「マイカウントダウン」
「マイカウントダウン」の活用法
●子どもが記入することにより、自分自身のよさについて考えたり、振り返ったりする。
●子どもが記入したことを支援者の情報の一つとして取り入れ、支援者の立場に応じて、かかわるきっかけとする。

「マイカウントダウン」の活用上の留意点
▼子どもによっては、「自分のよさ」や「自分自身」を見つめたり、表現したりすることに抵抗感や困難さがあることもある。記入例を示したり、子どもの状態に応じて、記入する場(時間や周囲の環境)を配慮したりすること。
▼子どもが記入した内容を支援者が共有する時には、あくまでも子どもの立場を尊重し、細心の注意を払うこと。

※「マイカウントダウン」(PDFファイル)
※「マイカウントダウン」記入例(PDFファイル)

保護者用アンケートシート
保護者用アンケートシートの活用法
●保護者が、「保護者から見た子ども像」について記入することにより、保護者自身の子どものとらえ方について考えたり、振り返ったりする。
●保護者が記入したことを支援者の情報の一つとして取り入れ、支援者の立場に応じて、かかわるきっかけとする。

保護者用アンケートシートの活用上の留意点
▼保護者によっては、「子どものよさ」を挙げたり、表現したりすることが苦手なこともある。記入することそのもの(内容や量)が、保護者への評価につながらないということを、きちんと伝える必要がある。
▼保護者が記入した内容を支援者が共有する時には、あくまでも保護者の立場を尊重し、細心の注意を払うこと。

※保護者用アンケートシート(PDFファイル)