学習の見通しは
  立ちましたか。   

方眼紙に写し取って確かめる
図形を切って確かめる
1 単元名 「面積」(対象 佐賀市立開成小学校 5年3組,35名)

                                          授業実践者:山口 恭子

2 単元設定の理由

 5学年の内容B「量と測定」(1)に示された指導内容の内,三角形及び平行四辺形の面積の指導のために設定されたものである

(1)教材観
    面積に関する学習としては,第学年では,広さを単位とする正方形のいくつ分かを表して面積の
   意味について理解し,cu・uなどの単位を用いて正方形や長方形の面積を求めることができるよう
   になっている。これらの学習を基盤として,本単元では,基本図形である三角形や平行四辺形の求積
   方法を考え,面積の概念の理解を深めることを主なねらいとしている。また,基本的な図形の面積の
   求め方を学習した後に,公式を活用したり,工夫して面積を求めたりするなど,学習を深めさせたい。
(2)児童観(児童の実態)
    学校生活を中心としたコミュニケーションについて作成されたアンケートを分析してみると,「自
   分の考えをはっきり言うほうだ」を「いいえ」と答えた児童は,全体の3/4ほどいる。また,「自
   分がどんな印象を与えるか,とても気になる」,「人が自分のことをどうみているかとても気になる」
   や「人前で話をするのはひどく苦手だ」と思っている児童が全体の過半数を占めていた。さらに,
   「何をするにも上手くいかないのではないかと不安になる」,「いざというときに力を発揮できなく
   なる」と思っている児童が全体の半数近くいることがわかった。
    本単元ではある求積については,広さや量などの概念や面積の考え方は理解できていても,人前で
   発表できなかったり,面積の求め方を操作と結びつけてうまく説明できなかったりすることが予想さ
   れる。

(3)本単元の主張点及び指導方法
    これまで自分自身のことを考えたり,自己を見つめたりする機会をほとんどもたなかった児童がア
   ンケートなどを通して自分自身を客観的に見つめようとするとき,漠然と不安感を抱いたり,自信が
   持てない自分に気が付いたりした。思春期の入り口にある高学年児童に多く見られる傾向だと感じて
   いる。そこで,教科や道徳・特活などの学習活動の中にカウンセリング等の知恵を取り入れることは
   学習効果や成果が向上し,自信につながると考える。
    本単元の指導にあたっては,面積の求積方法を筋道を立てて考え,自分の学習及びクラス全体の学
   習の共有,つまり学びの共有や分かち合いができる場を随時設定していきたい。そのために,グルー
   プ学習を多く取り入れることで学びの共有を意識させ,学習活動の振り返りではシェアリングの工夫
   を行い,学びの分かち合いや友だちの認め合いなどの場とする。シェアリングの工夫として,導入時
   に子どもが学習課題に沿って関心や態度に対する個人めあてを立て,立てた個人めあてのよさをグル
   ープで交流する。また,終末時に振り返りカードによるグループシェアリングを行い,自分の心の動
   きを意識化させたい。そして,グループで分かち合ったことをクラス全体でも交流する活動を通して,
   個が集団を集団が個を認め合う場としたい。展開時では教具や教材などを工夫し,操作活動を多く取
   り入れたいと考える。
    これらのことを通して,一人一人が,授業の中において学習する喜びや達成感を味わうことで学校
   生活の中での充実感を高めたいと考える。
   

3 単元の目標

(1)三角形や平行四辺形の求め方に興味を抱き,既習の図形と関連付けて考えようとする。
                                       (関心・意欲・態度)

(2)三角形や平行四辺形の面積は,既習の図形に変形したり,分けたりすれば求められることに気付く。
                                       (数学的な考え方)


(3)三角形や平行四辺形・台形などの面積を求めることができる。(表現・処理)

(4)三角形や平行四辺形の面積を求める公式が分かる。(知識・理解)

4 指導計画(10月〜 全13時間)

 (1)本時の目標
   ○三角形や四角形の面積の求め方に興味を抱き,既習の図形と関連付けて考えようとする。
                                    (関心・意欲・態度)

   ○四角形の面積は,三角形に分割して考えればよいことに気付く。(数学的な考え方)


   ○直角三角形の面積の求め方や四角形の面積の求め方について理解することができる。(関心・知識)

 (2)準備するもの
   ○教師:教科書p2〜3の敷地図を拡大したもの,児童用敷地図(ワークシート)
        長方形・直角三角形・四角形の紙(掲示用と児童用)


   ○児童:三角定規・30cmものさし・はさみ・筆記用具

 (3)本時の展開
  手立て  
  
  児童同士のグループシェアリングを取り入れる。
   
b インフォームド・コンセントを取り入れた導入をする。
   
c コミュニケーションを促す交流活動を,取り入れる。
   
★学習指導案 小学校第5学年 「算数科」★


★子どもの言動への応答には,カウンセリング等の知恵である繰り返し・賞賛・受容などを
取り入れ,自分への自信と友達への評価を高めるように配慮した。

学習活動 教師の支援 カウンセリング等の手立て
1 問題の把握をする。 ○ 敷地の形と面積に着目させて,どれがどれだけ広いかに関心をもたせる。 ○ 身近な問題を提示し,各グループで考えや気付きを発表させることによって,活動の方向性を子ども自身が,納得して進められるようにする。
   
 インフォームド・コンセント

・ 個人めあてを立て,立てためあてを交流する。

○ 関心や態度に対する個人のめあてを立てさせ,授業に対する子どもの姿勢を明確にし,それぞれの子どものめあてのよさを交流させる。

○ 交流することによって,お互いを認め合い,励まし合うことによって,授業に対する意欲を歓喜する。
          
シェアリング

2 サッカー場のしき地の面積を求める。 ○ サッカー場は,長方形の形であることに気付かせ,4年生での学習を想起させる。 ○ これまでの学習を友達からの情報提供によって,それを手掛かりとして進められるようにする。
3 公園のしき地の面積を求める。 ○ 直角三角形に方眼紙をあてても,方眼の目にかかってしまう場合もあることに気付かせたり,方眼ではしきつめられないことをグループで気付かせる。
○ グループで話し合うことによって,問題点を明確にさせ,見通しをもちにくい子どもにも,問題を共有しながら活動できるようにする。
        交流活動
・ 長方形と結びつけて考える。 ○ グループで,長方形と結びつける考えが出るように支援する。 ○ サッカー場のしき地を求めたことに着目させ,そのことが手掛かりとなることを情報提供する。
・ 長方形の面積を基にして,公園のしき地の面積を求める。 ○ 長方形を対角線で切ると,合同な2つの直角三角形になることに着目させ,長方形の紙を切って操作させる。 ○ グループの中で操作活動を行うことによって,操作活動に戸惑っている子どもが,グループの他の子どもの活動に目を向け,修正していくことができるようにする。
            
4 競技場のしき地の面積を求める。 ○ 一般の四角形の面積の求め方を考えさせる。グループで,求める方法を考えさせる。 ○ ヒントカードなどを提示し,三角形も四角形の面積が分かれば求められることが,発展させて考え進め られるようにする。
5 本時のまとめを二人でシェアリングする。 ○ 二人組のシェアリングの時間を設定し,学びの分かち合い及び学習仲間の意識づけを支援する。 ○ 学習して初めて分かったことや楽しかったこと,また難しかったことや理解しにくかったことなど,子どもが自分の思いを安心して表現することができるような雰囲気をつくる。
           
シェアリング

(※10/13時間目の
  
シェアリング(動画)へ
・ 自己評価を行う。 ○ 振り返りシートで振り返らせ,本時の自己評価につなげる。 ○ シェアリングしたことをもとに,自分の心の動きを意識化させる。
6 次時の学習内容を知る。 ○ 次時学習内容を紹介して,具体的なイメージを膨らませることによって,次時への意欲へとつなげる。 ○ 子どもの意欲的な学習や協力している姿,発言を受けとめる姿など,本時の子どもへの感想を述べ,次時への意欲付けをはかる。
サッカー場や公園のしき地の面積を求めましょう
ぼくの考えは


こうすればいいんじゃないかな。

2枚目のヒントカードでやっとわかったよ。

なぁ〜んだ。わりとかんたん。

  友達が書いたヒントカードの答えを
   参考に考える
    数枚のヒントカードを参考にしながら,
    グループで教え合う