平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ 教師意識調査の結果の分析


教師意識調査の結果の分析

3 家庭学習の関与状況

○ 宿題については予習的な学習と復習的な学習をバランスよく組み合わせていくことで、学習事項の定着や家庭学習の習慣化のみならず、学習への意欲向上へも効果があがると考えられる。

                                    

 
この節では、宿題を出している頻度及び出している宿題の質(予習的宿題・復習的宿題)について問うことにより、宿題の出題状況を分析する。

 

「宿題を出していますか」という設問については、「多くの時間で出している」と回答した小学校教師の割合は53.2%、「どちらかといえば出している方が多い」と回答した小学校教師の割合を合わせると約8割となっている。これは中学校教師の意識調査の結果よりも高くなっている。[図1]


 
この設問においてAグループとBグループの平均正答率を比較すると、小学校では明らかな特徴は見られないものの、すべての教科においてAグループの方がやや高くなっている。中学校でもすべての教科においてAグループの正答率が高くなっており、特に、数学と英語においては顕著な傾向が表れている。[図2]
 
 


「予習的な宿題を出していますか」
という設問については、「多くの時間で出している」と回答した小学校教師の割合は1.5%、「どちらかといえば出している方が多い」と回答した小学校教師の割合を合わせると9.1%になっている。これは中学校教師の意識調査の結果よりもかなり低くなっている。[図3]


この設問においてAグループとBグループの平均正答率を比較すると、小学校では明らかな特徴は見られないものの、すべての教科においてAグループの方がやや高くなっている。中学校でもすべての教科においてAグループの正答率が高くなっており、特に、数学、理科、
英語においては顕著な傾向が表れている。[図4]
 


  「復習的な宿題を出していますか」という設問については、「多くの時間で出している」と回答した小学校教師の割合は60.5%、「どちらかといえば出している方が多い」と回答した小学校教師の割合を合わせると約8割になっている。これは中学校教師の意識調査の結果よりも高くなっている。[図5]

この設問においてAグループとBグループの平均正答率を比較すると、小学校では明らかな特徴は見られないものの、すべての教科においてAグループの方がやや高くなっている。中学校でもすべての教科においてAグループの正答率が高くなっており、特に、英語においては顕著な傾向が表れている。[図6]
 
 


<これからの指導に向けて>
予習的な宿題と復習的な宿題

小・中学校共に、多くの教師が宿題を課しており、その多くは復習的な内容の宿題である。宿題が授業における学習事項の定着や学習の習慣化を目的とされており、これらの結果から効果を挙げているといえる。一方で小学校においては、中学校と比べて予習的な内容の宿題を課す割合は極めて少ないことが分かる。予習的な内容の宿題は、授業における児童の主体的な活動を促す手立てとして、児童の自己学習力を育てる上においても、大切な要件であると考えられる。
平成19年6月に公布された学校教育法の一部改正により、学力の重要な要素 [※3参照]として、①基礎的・基本的な知識・技能の習得、②知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等、③学習意欲の三点が明確に示された。予習的な宿題を工夫し、その宿題と授業における学習活動をうまくかかわらせることによって、授業への関心や意欲を高め、主体的な学習活動に結び付けることが学習意欲を喚起するための手立ての一つとして有効であろう。また、復習的な宿題においても、基礎的・基本的な知識・技能の定着を図るとともに、知識・技能を活用して課題解決を図るような視点での内容について検討されることが望まれる。

※3 学力の重要な要素

中央教育審議会『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校学習指導要領の改訂について』(答申)

平成20年1月17日 10ページ

   


最終更新日:  2011-1-31