児童生徒の思考力・判断力・表現力等を育む観点から、学習指導要領に示された「言語活動の充実」であるが、平成24年度の県調査並びに全国調査で課題とされた「2つの課題」は、平成25年度の調査においてもいまだ解決されたとは言いがたい状況だと考えられる。
1つ目の課題として前述した「『要努力』に位置する児童生徒の増加という課題」についてであるが、到達基準で示す「要努力」に位置する児童生徒の状況は、楽観視できるものではない。教科の特性上、前年度の学習内容を踏まえた上で理解できる知識や内容なども多い。次年度に課題を繰り越すことなく、その学年で取り扱う内容はその年度のうちに定着を図る手立てを取ってほしい。もし、前学年の内容の定着が図られていない児童生徒がいる場合は、個別に対応するなどできるだけ早期に対策を行う必要がある。
また、2つ目の課題として示した「『解釈・考察し、説明すること』や自分の考えや意図を記述することに関する課題」についてであるが、これについては、学年や教科によってその原因や状況が異なる可能性がある。記述式の設問において、解答を書いていない状況であったとしても、この「解答しなかった理由」は、大きく次の3つのケースが考えられる。
① 解答しようと努力したが、問題が難しくて解答できなった。
② 解答を文章で書く設問であったため、解答しようと思わなかった。
③ 解答する時間が足りなかった。
また、上記①のように「問題が難しい」ということで結果的に解答しなかった場合、次の4つのケースが理由として考えられる。
① 問題文に書かれている意味が分からなかったので解答しなかった。
② 問題文の意味は分かったが、何を書いてよいか分からなかったので解答しなかった。
③ 問題文の意味は分かり、何を書いてよいかは分かったが、考えがまとまらなかったので解答しなかった。
④ 何を書いてよいかということの考えはまとまったが、解答に自信がなかったので解答しなかった。
記述式の設問において、何も書いていないことを単純に無解答と捉えるにとどめるのではなく、上記の理由を念頭に指導に当たることが重要である。 |