意思決定を取り入れた討論型の学習に取り組んでみませんか!

3 研究のまとめ                                  
(1)研究の考察
 考察の視点
 
  本研究では,社会科における思考力・判断力・表現力の育成を目指した授業として,「意思決定を取り入れた討論型の学習」を提案,実践してきました。特に,社会的な問題を把握する段階に焦点を当て、社会的な問題を明解にする手立てを取り入れた研究をしてきました。この手立ての有効性について、実践事例に示した授業(以下、本時)を基に以下のアからウの3点を視点に考察します。
  ア 切実感をもって討論に参加するようになったかどうか
イ 社会的な問題に対する自分の考えを深めることになったかどうか
ウ 説明したり、論述したりする力を育成することになったかどうか
   
 ア 「切実感をもって討論に参加するようになったかどうか」について 
 
  切実感をもって討論に参加するようになったかどうかについては、 本時のワークシートの記述内容や事前、事後の意識調査の回答内容等を基に考察します。切実感をもつことができたかどうかについては、次の3点をめやすにして判断します。
 
・ 合意や打開に向けた考えを付加していること
    判断が分かれる社会的な問題について、児童生徒が合意や打開に向けた考えをもつことは、何とかしてこの問題を解決したいという課題意識が高まっている姿であると捉え、切実感をもつことができたと判断します。
・ 意思決定をしているが判断に悩んでいる記述があること
    児童生徒が、意思決定をした上で判断に悩んでいるということは、判断を迫られたことによる当事者意識が芽生え、社会的な問題について深く考えている姿であると捉え、切実感をもつことができたと判断します。
・ もっと調べたいことや疑問に思ったことについての記述があること
    児童生徒にもっと調べたいことや疑問に思ったことがあるということは、意思決定するために足りない情報や明らかにしたい疑問があることに気付き、解決に向けて、深く調査し判断したいという意欲が高まっている姿であると捉え、切実感をもつことができたと判断します。
 
 イ 「社会的な問題に対する自分の考えを深めることになったかどうか」について
    社会的な問題に対する自分の考えを深めることになったかどうかについては、本時とその前後の時間でのワークシートの記述を基に考察します。考えが深まったかどうかについては、次の2点をめやすにして判断します。
 
・ 複数の立場を考慮していること
    対立した立場やそれらに関わる立場など複数の立場を比較し、意思決定の理由を述べているということは、児童生徒が、多面的・多角的に考えることができてきた姿である捉え、考えが深まったと判断します。
・ 考えの根拠が明らかになっていること
    意思決定の理由について、根拠が明らかになっているということは、児童生徒が、一人よがりではなく具体的なデータや資料、理由付けなどによって裏付られた意思決定をしている姿であると捉え、考えが深まったと判断します。
 
 ウ 「説明したり、論述したりする力を育成することになったかどうか」について
 
  説明したり、論述したりする力が育成できているかどうかについては、思考と表現は表裏一体との考え方から、根拠の述べ方に着目して考察します。説明したり、論述したりする力については,児童生徒を抽出し、どのようなデータをどのように理由付けて表現しているかを視点にして,ワークシートの記述内容の変容を考察します。
   
 エ 考察の詳細
 
  以上ののを視点にした考察により、「意思決定を取り入れた討論型の学習」が社会科における思考力・判断力・表現力の育成を目指した授業として有効であったかどうかを考察しました。
  考察の詳細については、以下の各分野での実践を基にした考察を御覧ください。
  なお、考察のために抽出した児童生徒の記述については、ワークシートの記述を直接引用しています。
 
【地理的分野】での実践を基にした考察
【歴史的分野】での実践を基にした考察
 
【公民的分野】での実践を基にした考察
 
   

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