「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

              
中学校第1学年 「武士の台頭と鎌倉幕府」 −モンゴルの襲来と日本−(本時の様子)
 
本時の目標
  ミニ論題「弘安の役の後、再び、元の使者が国書を持って日本に来た。幕府(日本)はどのような対応をすべきか」について既習の知識や資料等を生かして考え、小集団での話合いを経て最終的な自分の意見を適切に表現することができる。
本時の展開の概要(6/7)
  映像を見ることで、元軍と日本の武士の戦い方の違いや元軍に対する鎌倉幕府が取った対応について確認した。その際、小学校で学習した内容や史実に基づいたエピソードを紹介することで、学習意欲を高め発言しやすい雰囲気をつくった。その後、3度目の元の使節に対して、自分が執権ならどう対応するかを考えさせた。国書を受け入れた場合と拒否した場合のメリット、デメリットを考え、話し合わせながら意思決定を行わせた(意思決定1)。
本時に取り上げる社会的な問題【社会的な問題のパターン】
  社会的な問題「元寇後に3度目の元の使節がやって来たこと」【研究や論争の材料となる事件】
本時の様子
過程
学 習 活 動
教師の指導・支援
資料


○学習のめあてを確認する。 ○元寇の続きの学習をすることを確認した。  
めあて 二度にわたる元寇の後の、日本と元の動きを考えよう。
○これまでの元寇(文永の役)の様子を、ビデオを見て確認する。
 ・元軍は、てつはう(火器)を使っている。
 ・元軍は集団戦法で戦っている。
 ・日本の武者は、一騎打ちではなく、集団でも戦っている。
 ・激しい戦いだった。
○スクリーンに映し出された映像を見て、元軍戦いの特色を確認させた。
○小学校での学習内容を想起させ、既習事項を確認し、元寇以降の日本と元の動きについて補完しながら説明した。
○当時の史実に基づいたエピソードを紹介し、本時の学習への興味を喚起した。



 
ミニ論題 弘安の役の後、再び、元の使節が日本にやって来た。あなたが執権ならどう対応しますか。














○ミニ論題について、2つの対応のメリット、デメリットを考える。
 ・2つの対応を考える。
  @国書を受け入れて使節を元に送る。
  A国書を拒否し、元を迎え撃つ準備をする。

 ・個人、小集団で2つの対応のメリット、デメリットを
  考える。
 ・学級全体で発表して意見を整理する。
社会的な問題(研究や論争の材料となる事件)
「元寇後に3度目の元の使節がやって来たこと」

○幕府の執権の立場で考え、@国書を受け入れて使節を元に送る、A国書を拒否し、元軍を迎え討つ準備をするの2点のメリットとデメリットを書かせ、その後発表させて整理し、思考の共有を図った。






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○ワークシートのメリット・デメリットの表や資料から、どう対応するかの意思決定をする。(意思決定1)        
                        

○個人で考えさせ、資料等を参考に自分なりの表現で理由を書かせた。
○数名の生徒に考えた内容を発表させた。    
○班での話合いやこれまでの資料などから最終的な意思決定を行う。(意思決定1)
○班の人の意見を参考にして、最終的な自分の意思を決定させた。 【評価】


○学級全体で意見の数を調べ、実際の史実を聞き、次時の論題をつくる。
○出た意見の人数を調べ、支持する対応が分かれたことを確認し、実際の史実「国書を拒否して使者を全員処刑し、戦争の準備が継続されたこと」を説明した。これにより、「それでよかったのか」という反応を引き出させ、論題を導き出させた。
 論題 鎌倉幕府が、元の皇帝の国書を拒否して、元軍を迎え撃つ準備をしたのは正しかったのか。《学習問題U》
実践を終えて
【成果】
 国書を受け取る場合と拒否する場合のメリット、デメリットを整理することで、生徒は様々な状況を把握することができました。さらにそれらを基に比較し、意思決定を行うことができました。
 話合いにおいて、自分の考えを説明し、他者の考えを聞くことで改めて自分の考えを再構成することができました。
 当時の状況に身を置いて考えていくことができました。そのことで国書を拒否した当時の執権の思いなど実感することができました。
【課題】
  討論すべき内容が歴史的に決定している史実であるために、どのようなテーマで討論していくべきかについて考えていく必要があります。
  資料に書かれている情報量が多いため、生徒によっては読み取りの時間を長く確保する必要があります。また、学習課題に合わせて資料を読み取る視点を明確にするなどして、自分の考えを整理しやすくする工夫も必要です。
  授業時数の関係などから、「意思決定を取り入れた討論型の学習」を行うための単元計画を考える必要があります。また、小学校での学習を生かしながら進めることも必要です。
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