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〈評価の実際〉 5/9

本単元では、「読む能力」と「書く能力」とを関連付けた指導を行います。したがって、単元の評価計画については、以下のように考えました。
 
国語への
関心・意欲・態度
書く能力
読む能力
言語についての
知識・理解・技能
第1時
〔WSの記述と発言内容〕
     
第2時     ○ ウ
〔WSの記述内容〕
 
第3時     ○ ウ
〔WSの記述内容〕
 
第4時     ○ ウ
〔WSの記述内容〕
○ イ(オ)
〔WSの記述の仕方〕
第5時     ○ オ
〔観察、WSや付箋の記述内容〕
 
第6時   ○ ア
〔WSの記述内容や付箋の整理の仕方〕
   
第7時   ○ ウ
〔解説文の記述内容〕
  ○ イ(オ)
〔解説文の記述の仕方〕
第8時
第9時
〔振り返りカードの記述内容や発言内容〕
     
※ ア、イなどのカタカナ表記は、各領域の指導事項を示している。
※ WSは、ワークシートを示している。
※ 〔 〕は、評価方法を示している。


ここでは、第5時の評価を中心として、「読むこと」(1)オの指導事項に関わる学習評価をどのように進めたかについての実際を述べます。
第5時の目標は、 「筆者の絵の見方や『読み取ったことや感じたことを表す表現』を基にして自分の言葉で絵を読み取り、交流することで自分の考えを広げたり深めたりすることができる」と設定しています。これは、「読むこと」領域の指導事項(1)オに対応しています。この指導事項に関わる評価場面は、単元の中で第5時のみに位置付けていることから、次の2点に留意して指導と評価を進めました。
  @ 第2時から第4時にかけての「読むこと」(1)ウの指導事項に関わる学習内容の定着が第5時の前提となることを踏まえ、各時間の記録に残す評価については、授業後のワークシートの記述で評価することとし、各時間においては、ワークシートの記述に至るまでの学習活動において、形成的評価とそれに基づく支援を丁寧に行うことで、学習内容の定着が図られるように努めました。
  A 第5時では、交流活動の充実を図ることが本時の目標を達成するための必要な要件であるということを踏まえ、グループ(少人数)での活動を細やかに観察し、形成的評価とそれに基づく支援を丁寧に行うことで、交流が充実するように努めました。また、グループによって活動の充実度に開きがあることも想定し、全体の交流においては、一部のグループに見られた新たな観点や評価の言葉などを取り上げるなどして、学級全体での気付きとなるようにしました。
その上で、活動4「話し合ったことを基に自分の評価に付け加えをする」という学習場面でのワークシート及び付箋の記述について、以下のような判定基準を設定して評価を行いました。

※ ◇は【最初の自分の考え】、◎は交流後の【最終的な自分の評価】の記述内容を示しています。
評価規準
「おおむね満足できる」状況(B)
「十分満足できる」状況(A)
「努力を要する」状況(C)
絵を見て読み取ったことを基に絵を評価し、交流することで自分の考えを広げたり深めたりしている。 ・一人一人の着眼点のよさや感じ方の違いを見付け、交流して気付いたことを参考にしながら自分の考えをまとめている。


(例)
◇風景が細かく描かれている。


筆づかいでは、風景や服のしわなどが細かく描かれている。
(自分の見方を広げている)

◇動物たちの表情が正確に描かれている。

◎動物たちの表情が正確に描かれていて、祭りをして喜んでいるみたいに見える。
(自分の考えを付け加えている)
・一人一人の着眼点のよさや感じ方の違いを見付け、交流して気付いた新たな絵を評価する観点や評価の言葉を付け加えながら、自分の考えをまとめなおしている。

(例)
◇動物たちの表情が個性豊かに描かれている。

◎表情がとても生き生きしていて、今にも動物たちが動き出しそうなほど細かいところまで見事な筆さばきで描かれている。
(評価語彙の見直し、評価する観点の付け加えをしている)

◇背景や動物たちの楽しそうな様子をしっかりと描いている。

◎ 筆づかいが見事で、動物たちの表情や背景など何から何まで、のびのびとしなやかに描いている。
(評価語彙の見直し、評価する観点の付け加えをしている)

・交流した後、自分の考えの変容・考えの深まりが見られない。




(支援)
◆【最初の自分の考え】から変容が見られない児童に対しては、【最初の自分の考え】と交流して出てきた考え【グループ、みんなで話し合ったこと】との相違点を付箋紙に書かせ、それを基にしながら、【最初の自分の考え】に付け加えをさせる。

◆何を変えてよいのか分からない児童に対しては、「評価語彙を変える」、「評価する観点を増やす」のどちらかを参考にするよう、アドバイスをする。

上記の判定基準に基づき、具体的には以下のように評価しました。
【児童1】  「おおむね満足できる」状況(B)の例
【児童1】は、【最初の自分の考え】右の欄で、評価する観点「想像したこと」「筆づかい」の2点について評価しています。交流後の【最終的な自分の評価】左の欄でも、その2点について評価しています。
また、記述内容を見ると、【最初の自分の考え】右の欄で、例えば「想像したこと」について「この絵は、まるでおまつりをしているように考えられる」、「筆づかい」について「この絵の風けい(周りの様子)がすごくこまかく書かれている」と評価しています。交流後の【最終的な自分の評価】左の欄では、それぞれ「この絵は、動物たちみんなで楽しくおまつりをしているようだ」「筆づかいは、きちんとうしろの風景や服のしわなどをこまかく書かれている」と記述しています。
このように、一人一人の着眼点のよさや感じ方の違いを見つけ、交流して気付いたことを参考にしながら自分の考えをまとめて記述しているので、「おおむね満足できる」状況(B)と判断しました。

【児童2】  「十分満足できる」状況(A)の例
【児童2】は、【最初の自分の考え】右の欄で、評価する観点「かっこう」「筆づかい」の2点について評価しています。交流後の【最終的な自分の評価】左の欄では、「身に付けているもの」の観点が加わっています。
また、記述内容を見ると、【最初の自分の考え】右の欄で、例えば「かっこう」について、「何かにぎやかにお祭りをしているように感じられる。動物達はいかにも人間と同じように描かれている」と評価しています。交流後の【最終的な自分の評価】左の欄では「動物達がえんかいやお祭りを楽しそうに行っているように感じられる。右と左で何か楽しげな話をしているのが聞こえてくる。本当は、絵に書かれている動物たちは、仲がいいわけではないが、この場合、どの動物も仲良くユーモアがあり、まるでにぎやかなその場にいるような気持ちになれた」と記述しています。
このように、交流後に新たな絵を評価する観点や評価の言葉を付け加えながら、自分の考えをまとめなおして記述しているので、 「十分満足できる」状況(A)と判断しました。
     
なお、活動3で、すでに深い読み取りに基づく記述ができている児童や、交流の中では自分の考えを広げたり深めたりする発言が見られていたにもかかわらず、活動4でワークシートや付箋にうまく記述できなかった児童がいることも想定されるので、グループでの交流活動を行っている様子の観察の結果も補完的に取り扱い、ワークシートや付箋の記述の評価と合わせて評価することとしました。
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