話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

3 研究のまとめ

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(1) 研究の成果

小中の接続期を意識した学級活動内容(2)の年間指導計画への位置付け、題材を開発することができた。
 
 小学校と中学校の接続期の発達の段階を「接続前期」「接続中期」「接続後期」と分けて考え、それぞれの時期にねらうことを整理したことにより、接続期を意識した学級活動内容(2)の題材を年間指導計画に位置付けることができました。
  接続前期では、自立についての題材と学習態度の形成についての題材を設定しました。それにより、中学校へ向けての心構えや、自分自身で頑張らなければならないことを意識付けることができました。また、実践をしたことで、自分にもできるという自信や実践していくための自分なりの方法を考えることができ、中学校への心の準備となりました。
 接続中期では、生徒の個性が新しい環境でも互いに認められ、受け入れられるように「個性の尊重」についての題材を設定しました。また、実践したことで、学級の中で今まで知らなかった自分や他者の個性に気付くことができ、互いのよさを生かしながら学校生活を送ろうとする意欲につなげることができました。
 接続後期では、中学校の生活に慣れたころが、人間関係のトラブルが起こりやすい時期でもあるため、「望ましい人間関係」についての題材を設定しました。また、実践したことで、お互いの気持ちを大切にするコミュニケーションの在り方について考えさせることができました。
 
学級活動内容(2)に学級会の手法を取り入れたことは有効であった。
自己を見つめ直し、自己決定することができた。
 
 児童生徒が自己を見つめ直し、自己決定する過程を授業モデルとして位置付けました。事前の指導、事後の指導を含めたそのモデルは、児童生徒の意識の流れに沿っており、集団の中で意見を交わし合いながら、自己決定へと結び付いていきました。事前の指導においては題材設定を教師が一方的に行うのではなく、児童生徒と共に実態を振り返りながら設定するようにし、話合い活動の前にペア活動を行うことで、具体的な場面を想像して振り返ることができ、話合い活動の意見の深まりにつながりました。また、学級会の手法を用いて、児童生徒の進行によって話合い活動を進めたことで、より自分たちの課題として捉えることができ、それを自分たち自身で変えていこうとする集団の意思も含めた自己決定となりました。
 このプロジェクト研究で示した授業モデルは、小学校中学年、小学校高学年、中学校のそれぞれにおいて自己を見つめ直し、自己決定をする思考過程に沿っており、効果的であったと考えます。
問題を解決し、自分を生かそうとすることができた。
 
 学級会の手法を用いた話合い活動によって自己決定をするため、学級の全員が同じ方向に向かって努力をする雰囲気が高まり、個々の実態に応じためあてを立てることができるようになりました。そのため、事後の実践において励まし合いながら実践する姿や、自分自身のみならず、学級の友達のことも考えた上で努力をする姿が見られました。また、日々の振り返り活動の時間をしっかり取り、ペアでの振り返りを取り入れたことや、それぞれのめあてを掲示し、可視化したことも成果につながったと考えます。自分の問題であり、集団の問題でもある題材を選んでこの授業を行ったため、友達との関わりの中で、自分がしなければならないこと、自分にできることを考え、問題を解決していく姿となったものと考えます。

(2) 課題と展望

小・中学校で継続的に話合い活動の経験を積むこと
   複数の小学校から集まって中学校に進学する場合、小学校の話合い活動の実態によっては、中学校で話合い活動の進め方から指導しなければならないことが課題です。小学校の実態を小中連絡会などで把握し、その実態に合った進め方をすることで、小中のつながりがスムーズになるものと思われます。小学校においても話合い活動がよりいっそう充実するように取り組んでいくことが必要です。本授業モデルを取り入れることで比較的スムーズに小中共通して実践できます。話合い活動による学級活動内容(2)の指導の方法がこれから県内の学校に広く浸透していくことを期待しています。
事前の指導や計画委員会の指導などの時間の確保
    児童生徒に課題意識をもたせ、実践に取り組ませるために、学級会の手法を取り入れて授業を展開することは効果があるものの、年度当初は事前の指導や計画委員会の指導などに時間が掛かることが課題です。児童生徒が活動に慣れることで、あまり時間が掛からなくなったり、児童生徒だけで進めることができるところが増えてきたりします。小・中学校を通して実践に取り組むことが時間の軽減につながると思われます。
日常生活における児童生徒の実践の定着
   学級活動内容(2)において、児童生徒の課題を解決するための授業を行い、改善を目指しますが、実践の継続が難しいというところが課題です。そこで、事後の指導における実践活動後も、繰り返し教師が指導をしたり、実践活動をもう一度行うなどの工夫が必要です。
   

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