話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

1 研究の概要

 (1) 研究テーマ

  互いに認め合おうとする人間関係を形成し、自分に自信をもち、自分の個性を生かすことができる

  児童生徒の育成

      - 学級活動内容(2)における話合い活動の工夫 -

 (2) テーマ設定の趣旨
子どもの現状と課題  今日、少子化や情報化の進展などにより社会性を養う機会が減少し、児童生徒は、望ましい人間関係を築く力を身に付けにくくなっています。そのような状況が対人関係の在り方の未熟さを生み、いじめや不登校、暴力行為などの問題行動の一因となっています。
   
新学習指導要領で求められているもの
  特別活動の充実が児童生徒の資質や能力の育成に十分つながっていない状況や、中1ギャップなど集団への適応に関わる問題が指摘されています。そのような中、新学習指導要領では小・中学校ともに特別活動の各活動・学校行事のそれぞれにおいて目標が新設され、望ましい人間関係の形成と集団の一員としての自主的、実践的な態度の育成が求められています。
   
学級活動内容(2)の指導における課題
 学級活動内容(2)の指導に当たっては、小・中学校ともに個々の児童生徒が自己の生活を見つめ直したり、集団の中で自分の役目を考え、それを果たそうとしたりする態度を育成していくことがねらいとされています。しかし、教師が意図的、計画的に指導し、教師による一斉指導で行われることが少なくありません。そのため、教師による指導的な側面が強調され、児童生徒が集団との関わりの中で自らの考えを深めたり、自己の存在感を実感したりすることができにくくなっていると考えます。
   
研究の方向性@
 
 そこで、児童生徒による話合い活動を効果的に取り入れた学級活動内容(2)の指導の在り方について研究を進めることにしました。学級活動内容(2)の授業の中に、児童生徒が主体的に参加する話合い活動を取り入れることで、児童生徒は集団の中での自己を見つめ直し、自己を自分らしく生かそうとするのではないかと考えます。
  また、話合い活動をより主体的に進めさせるための事前の指導を工夫したり、授業後の実践活動における指導を工夫したりすることで、児童生徒はより主体的に自己決定を行い、実践したことをその他の活動や生活の場に生かすことができるようになると考え、本研究に取り組みました。
   
研究の方向性A
 さらに、小学校と中学校の接続期における題材設定の工夫についても研究に取り組みました。小学校と中学校のなめらかな接続を意識した題材を設定し、共通の授業モデルにより、実践を行うことで、中1ギャップなど集団への適応に関わる問題の解消や望ましい人間関係を築く力を身に付けさせることにつながるのではないかと考えます。
   
 (3) 研究の目標
   集団の中での自己を見つめ直し、自己を自分らしく生かそうとする態度の育成を目指して、次の2つについて研究を行います。
  @ 話合い活動を取り入れた学級活動内容(2)の指導の在り方を探る。
  A 小学校と中学校の接続期における題材設定の工夫について探る。
 (4) 研究の方法と内容
  文献調査及び理論研究
 学級活動内容(2)を題材にした話合い活動について文献を調査し、実感を伴った課題意識をもたせることができるような事前活動の指導方法や題材に応じた振り返りについて理論研究を行います。
  年間指導計画における学級活動内容(2)の位置付け
  小学校と中学校の接続期を意識した、学級活動内容(2)の年間指導計画への位置付け方を提案します。
  主体的に判断し、自己決定する児童生徒を目指した学習指導の工夫
  小・中学校に共通した話合い活動の事前、事後を含めた一連の活動過程の授業モデルを提案します。
  児童生徒が実感を伴った課題意識をもたせることができるような事前活動の指導方法を提案します。
  多様な意見を交わし自己決定を促すことができるような話合い活動を工夫します。 特に、中学校では話合い活動において、個人の意見を引き出す活動を取り入れた指導の在り方について提案します。
  自己を見つめ直し、集団の中での自己を自分らしく生かそうとする意欲を高めるために、振り返りの時間の進め方の提案や振り返りカードを開発するなどの、振り返りの工夫をします。

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