話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

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(4)  「話合い活動」の事前、事後等の一連の活動における指導の工夫

  ア 学級活動内容(2)に学級会の手法を取り入れるときの留意点

【中学校】   

   学級会の手法を取り入れて学級活動内容(2)の授業を展開することを提案していますが、学級活動内容(2)で取り扱う内容すべてがその展開で行うと効果がある訳ではありません。
  例えば、「キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成 」の中の、「喫煙、飲酒、薬物乱用などの害」や、「ク 性的な発達への適応」の内容は、教師の指導性の強い内容で、しっかり知識として理解させなければならない内容です。クラスで励まし合ったり、認め合ったりしながら活動を進めることには適していません。
  学級会の手法を用いて授業を展開すると効果的な題材選びをするときには、次のような3つの要件を満たしているかということを考えるとよいでしょう。
題材選びの3つの要件  
○  生徒の共通の体験を通して意見をもつことのできる題材
  共通の体験の中から設定した題材の場合、話合いにより意見を出し合ったときに共通のイメージをもち、実感を伴って考えることができます。
○  他者との関わりのある内容の題材
  自分自身が頑張ることで、友達もよい気持ちになるなど、自分自身のことでありながら友達にも影響があるような題材だと、話合いにより共に考えることがとても効果的です。
○  励まし合いながら実践できる内容の題材
  実践する場が家庭や地域社会であるなど、他の生徒との関わりがほとんどない題材では、お互いの実践の様子が見えないので、互いの実践のよさを感じたり認めあったりすることが難しく、話合うことのよさを感じにくいです。
     
 次の表の左側に示しているのは、中学校学習指導要領解説から抜粋した取り扱う内容例です。それを参考に、本研究委員会で、学級会の手法を用いて授業を展開すると効果的だと考えられる題材を挙げ表の右側に示しました。
学級会の手法を取り入れて授業を行うと効果的な題材  
(2)適応と成長及び健康安全
中学校学習指導要領解説より抜粋した
指導内容例
プロジェクト研究で提案する、学級会の手法を用いて授業を展開すると効果がある題材例
(学級の実態に応じて題材を考えてください)
ア 思春期の不安や悩みとその解決
○ 自分が不安に感じること
○ 悩みとその解決方法
○ 身近な人の青年時代
※ 個人の悩みなどの内容は個人の内面にかかわることなので、その方法や話された内容の扱いについて十分な配慮が必要であると考えます。学級全体で話合うことに適していないと考えます。
イ 自己及び他者の個性の理解と尊重
○ 自分の長所・短所
○ 友人への期待と励まし
○ 自他の個性を知り、それを生かす方法
○ 卒業生や社会人などの講話
○ 自分や友達の個性を見いだそう
○ 友達それぞれの違いを認め合おう
ウ 社会の一員としての自覚と責任
○ 集団生活におけるルールやマナー
○ 自由と責任及び権利と義務
○ 情報化社会におけるモラル
※ 実践する場が家庭や地域社会であるなど、他の生徒との関わりがほとんどない題材が多く,学級全体で話合うことに適していないと考えます。
エ 男女相互の理解と協力
○ 男女相互の理解と協力
○ 人間の尊重と男女の平等
○ 男女共同参画社会と自分の生き方
○ 男女それぞれのよさを生かして協力しよう
オ 望ましい人間関係の確立
○ 望ましい人間関係の在り方
○ 豊かな人間関係づくりと自己の成長
○ 自己表現とコミュニケーション能力
○ 学級成員等の親睦を深める活動
○ 友達と仲良く
○ 言葉遣いを考えよう
○ 気持ちのよい挨拶をしよう 
カ ボランティア活動の意義の理解と参加
○ 社会福祉活動
○ 環境保全・保護活動
○ 地域のコミュニティづくり
○ ボランティア活動についての講話
○ 生徒のボランティア体験談の紹介
○ 学級活動として行うボランティア活動の
  企画・実行
○ 身近なボランティア活動に取り組もう
キ 心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成
○ 心の健康や体力の向上
○ 口腔の衛生
○ 生活習慣病とその予防
○ 食事・運動・休養の効用と余暇の活用
○ 喫煙、飲酒、薬物乱用などの害
○ ストレスヘの対処
○ 防犯を含めた生活安全
○ 登下校や自転車運転時の交通安全
○ 事故の発生状況や危険箇所の調査結果を
 基にした話合い
○ けがのない安全な学校生活にしよう






○ 安全な登下校について考えよう
ク 性的な発達への適応
○ 思春期の心と体の発育・発達
○ 性情報への対応や性の逸脱行動
○ エイズや性感染症などの予防
○ 友情と恋愛と結婚などについて
※ 個々の生徒間で、発達の段階や置かれた状況の差異が大きいことから、集団指導として行う内容と個別指導との内容を区別して実施する必要があります。学級全体で話合うことは難しいと考えます。
キ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
○ 楽しく食事をする 
○ 栄養の偏りのない食事のとり方
○ 食中毒の予防にかかわる衛生管理の在り方 
○ 奉仕や協力・協調の精神を養うこと
○ 望ましい食習慣の形成
○ 食事を通した好ましい人間関係の育成
○ 食文化
○ 食料事情 
○ 自然の恩恵などへの感謝
○ 感謝の気持ちをもって給食を食べよう



○ 給食時間のマナーについて考えよう
学級活動内容(2)を学級会の手法を取り入れて行う場合の生徒への説明
  学級活動内容(2)を学級会の手法を取り入れて行うと、生徒によっては、学級活動内容(1)と区別がつかなくなってしまい自分自身の自己決定ではなく、学級全体で一つのことを取り組む集団決定をしようとすることがあります。
  そこで、次のようなポイントを押さえて生徒に説明する必要があります。
学校生活を送る中で一人一人が心掛けていかなければならないことを、自分を振り返って考える時間であること
普段行っている学級会は全員で一つのことを決めるが、内容(2)の話合いは、自分自身が頑張ることを決めるということ

また、生徒に話合い活動の経験が少ない場合には、1学期に十分学級活動内容(1)の話合い活動を行い、学級会のスタイルに慣れた上で行うと効果的です。 

 
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