話合い活動のよさを生かした学級活動内容(2)の授業を提案します。

2 研究の実際

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(5) 授業実践【学級活動内容(2)】

  本研究が提案する授業モデルを基に中学校で行った実践例を示します。
【中学校第1学年】学級活動内容(2)における授業実践…6月題材

題材 

わたしたちの毎日と食生活

  ケ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成
 
  指導案
段階 活 動 過 程



指導
○ 題材決定
1 教師で今回の題材名、柱などを考える。
○ ペア活動
1
次の4つのテーマについて互いの考えを聞き合わせる。
@ あなたにとって食事の時間とはどんな時間ですか。
A 家での食事や食事の時間に気にかけていることは何ですか。
B 給食もふくめた食事のときに大切にしたいことは何ですか。
C 1−○のみんなが、給食の時間をお互いに楽しく気持ちよく過ごすために   は、あなたは何をすればよいと思いますか。
   題材に対する自分の意見を学級会ノートに記入させる。

【ペア活動記録用紙の例】

↑詳しくはここをクリック
○ 計画委員会(司会団、教師などで編成されるもの)
1 ペア活動で出た意見を基に実態を分析させ、話合いの流れを把握させる。
提案理由を検討させるとともに、本時の活動計画を作成させる。




題 材 食事の大切さを考え、給食の時間を楽しくしよう。
提案理由  1学期の頃は給食の時間にみんなが食事のマナーについてあまり考えていなかったり、後片付けのときのルールをきちんと守れず先生に注意を受けたりしたことがありました。しかし、2学期になって○組は給食の時間に準備や片付けを早くできるようになりました。これからもっと給食の時間がより楽しいものとなるように、今よりもマナーや給食の時間をよくするためにこの題材を提案します。
話合いのめあて ・自分の意見をはっきり発表しよう。
話合いの流れ
1 はじめの言葉
2 司会グループの紹介
3 題材と提案理由、話合いのめあての確かめ
   

【議長の挨拶】

【提案理由の説明】
4 話合い
  柱1 「給食も含めた食事のときに大切にしたいことはなんですか。」
先生の話
 
はい、皆さんいいでしょうか。柱1は「給食も含めた食事のときに大切にしていることは何ですか」という柱になっています。給食を含めた食事のときに対する考えはオープンクエスチョンで自分の考えをもっていると思いますけども、同じ意見でもいいですのでたくさん出してほしいと思います。給食を含めた食事の時間とありますので、食事全般を通して、特に給食の時間はどうか考えてほしいと思います。


【柱1の教師の話】

 
主な生徒の意見
・気を付けたいことは食事のときに行儀よくするです。
・大切にしていることは食事のマナーを守ることです。
・食事中に他の人を不快にさせないようにする。
・食事のときに変なことを言わない。
・姿勢を正しくして食べることです。
・(議長)食事のマナーを守るとありますが、どんなマナーを守るのですか。
・行儀よくして食べることです。
・はしのマナーを守る、姿勢を正しくするです。
・○さんと同じではしのマナーを守るです。
・作った人のことを考えて食べることが大切だと思います。
・○さんと同じで食事のマナーを守る。
・出されたものは残さず食べることです。

【挙手して発表する】

【発表の様子】

【板書は二人で協力して】
   
  柱2 「給食の時間を楽しく、気持ちよく過ごすために、お互いにどんなことを大事にすればよいと思いますか。」
先生の話
 まだなかなか発表をどうしようかなと思っている人がいるようですね。少しずつみんなで温かい話合いの雰囲気をつくってほしいと思います。柱2です。「給食の時間を楽しく、気持ちよく過ごすために、お互いにどんなことを大事にすればよいと思いますか」ということですが、先ほど柱1で出た意見をもとに、まあ、出てない意見もあるかもしれません。自分の意見で出しそびれたという人もいるかもしれませんが、柱1の他の人の意見も聞いたと思いますので、そこから自分の考えを述べてもらってもかまいません。

【柱2の教師の話】
 例えば他の人を不快にさせないと意見を言ってくれましたが、じゃあ、どういうふうにお互い大事にすればそういったことがおきないかというのを考えていってよろしいと思います。それからもう一つですけど、他の人の意見でどういうことかなとわからないのがあったら質問をしてもらってもかまいません。そういった意見をどんどん出してほしいなと思います。よろしくお願いします。  
 
主な生徒の意見
・食事のときに班の人と話をすれば楽しくなると思います。
・一緒に食事する相手がいやだと感じることをしない。
・食事中によくないと思ったときはきちんと注意する。
・食べ物を食べながら話をしないことです。
・姿勢を正しくして食べるといろんな話をすることが大事だと思います。
・食事中に変な話をしないことです。
・(教師)○君はそれできていますか。
・はいできてます。
・いろいろな話題を決めて話をするようにすればいいと思います。

【発表の様子】

【ときには笑顔で 】

【発表の様子】

  柱3 「1−○のみんなが、給食の時間をお互いに楽しく気持ちよく過ごすためには、あなたは何をすればよいと思いますか。」
先生の話
 今意見を何回か発表した人もいます。柱3です。今ね、柱2の意見、同じ意見だった人多いんじゃないかなと思います。みんなの学級会ノートをちょこっと見たんですが、みんな同じ思いを抱いているようです。それを受けてですね、今度は1−○のみんながお互いに給食時間を、お互いに楽しく気持ちよく過ごすためには、あなたは何をすればよいと思いますか。

【柱2の教師の話】
 あなたたち自身、自分自身ができること、これできてないな、やってないな、給食時間に、これは頑張っているんだけどこれできてないな、もしかしたら・・・ということがあればですね、それをぜひ発表をしてもらいたいなと思います。今できていることを続けることも大事ですけども、今できていないなということを発表してほしいなと思います。  
 

【挙手して発言する】

【発表の様子】

【発表の様子】
主な生徒の意見
・班で食事をしているときに、自分から話しかけるとよいと思います。
・ぼくも同じ意見で、周囲と積極的に話すとよいと思います。
・いろいろな話題で話を広げると楽しくなると思います。
・班のみんなで楽しく会話しながら食事をする。
・みんなが不快になるような汚い言葉を言わないです。
・準備や食事の時間、後片付けの時間を守って行動するとよいと思います。
・みんなが嫌になるようなことを言ったりしないほうがよいと思います。
・班を作る時に机と机の間にすき間があるときがあるので、すき間をつくらないようにするとよいと思います。
・マナーを守って時間内に食べるです。

【学級会ノートの例】

↑詳しくはこちらをクリック
5 話合いの確認
 柱1〜柱3で出た主な意見の確認をノート書記が発表します。

【ノート書記による確認】
 
6 話合いの気付き・自分のめあて
 みんなが、給食の時間をお互いに楽しく気持ちよく過ごすために、自分が取り組む活動をめあてに書きましょう。

【話合いの振り返り】

【めあての記入】
 
7 意見を上手に聞いていたで賞ときちんと自分の意見を伝えていたで賞の発表
 人の意見を聞き上手に聞き返していた生徒、きちんと自分の意見が伝わるように発表していた生徒を司会団が選び、表彰します。

【表彰の様子】

8 先生の話
   書き終わったらペンを置いてください。今日の題材は給食の時間を楽しくしようということで話合いをしてもらいました。最近、給食時間には班で食事をしています。みなさんに質問です。給食の時間に班で楽しく過ごしている、食べているという人はどのくらいいますか。手を挙げてください。はいおろしてください。班で食事をしているときに、もうちょっとこうしたいな、みんなにこうしてほしいな、あるいは自分がこれができていないなという人はどのくらいいますか。今みなさんも見て分かるように、楽しく過ごしているという人は半分くらいだったと思います。今日の話合いで決めためあてをみんなが実践することで、全員が給食の時間に楽しく過ごせていますという状態になったら素晴らしいなと思います。4月当初から比べると給食の時間の過ごし方はよくなっていると思います。毎日、振り返りをしますので頑張ってほしいなあと思います。
9 終わりの言葉



指導
めあての確認
食事前に、自分のめあてについて確認させる。めあてを実践する場面を意識させる。
実践活動
めあてを意識させながら食事をとらせる。また、他の生徒の実践の様子にも注意を向けさせる。
振り返り活動
食事後にめあてに対する自分の実践を振り返らせ、振り返りカードに向上した点や課題について記述させる。めあてをよりよいものに変更させることも考えられる。

【振り返りカードの例】

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 生徒は話合い活動を経て自分のめあてを設定し、実践に取り組んだ後、最後に振り返りを行いました。振り返りカードの記録や担任の生活記録等で、次のような生徒の態度や意識の変容が見られました。
  生徒の様子から見る意識の変化
  ・全体的に生徒のめあてを見てみると、その生徒の実態に合っためあてを立てていたように思う。例えば給食を時間内に食べるのが苦手な生徒は「時間内に食べる」をめあてにしていた。食事中によく、行儀のことで注意を受ける生徒は「行儀よく食べ、変なことを言わない」をめあてにしていた。学級会の中で意見を発表することができていない生徒も、担任から見て自分に合っためあてを書いていた。
・ 議長や副議長を総務などにお願いして実践してきたが、生徒から司会は総務だけなのかという質問を受け、話合いを進める役目に取り組んでみたいという意欲をもった生徒が増えてきたと感じた。以前に運営を経験した生徒が話合いの前の打合せに参加して助言したり、黒板担当の生徒が主な意見をまとめ、短冊を自主的に作ったりするなどの話合い活動を円滑にしたり更に高めようとしたりする行動が自主的に行われるようになった。計画委員会を運営することを通してよりよい話合いになるように生徒が協力し活動をする場面が見られた。
  ○教師から見る、話合い活動を取り入れた指導のよさ
  ・この研究の説明を聞いて、実践に取り組む前には果たしてどのくらいの生徒が、ペア活動で互いの意見を聞き合ってくれるのだろうか、話合い活動で意見を言ってくれるのだろうか、めあてを実践して振り返りをきちんと記入してくれるのだろうかと少し不安に思っていた。しかし、実際に取り組んでみると、自分が予想していた以上に前向きに捉えて事前活動、話合い活動、実践や振り返りに取り組んでいると思う。学級や学校の生徒の実態から考えてみると、個々の生徒は明るく、自分の考えも相手に伝えることができる生徒が多いと思う。しかし集団になると意見を言いにくい雰囲気があったように思う。また、答えが合っているとか間違っているとかが分かるものは発表するが、合っているかどうか分からない自分の意見はなかなかみんなの前で言いにくい雰囲気があった。しかし、この実践に取り組むことで自分の意見をはっきり言ってもいいという自信につながったと思う。自分がこんな意見を言っても周囲の人が聞いてくれるのだろうかという雰囲気から、言ってもいいんだという雰囲気に切り替わっていった。

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