生徒のやる気を引き出す「国語科授業の具体策」を提案します!

   

新学習指導要領の全面実施に向けて

 学習指導要領の改訂により、中学校では平成24年度から学年進行で、新たな学習指導要領に基づく教育が実施されることとなります。このことを踏まえて、私たちは新学習指導要領に基づく授業づくりを行っていく必要があります。そこで、ここでは、新学習指導要領の全面実施に向けて、知っておきたいこと、考えておきたいこと、準備しておく必要のあることについてまとめます。
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新学習指導要領が目指すもの
  〔改訂の基本的な考え方〕
@ 「生きる力」という理念の共有 C 確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保
A 基礎的・基本的な知識・技能の習得 D 学習意欲の向上や学習習慣の確立
B 思考力・判断力・表現力等の育成 E 豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実
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この中から教科の授業づくりにつながるものに焦点を絞ると以下のようになります。
基礎的・基本的な知識・技能の習得 言語活動の充実 を通して実現すること。
思考力・判断力・表現力の育成 学習過程の明確化
主体的な学習態度の育成 学習の系統性の重視
〔国語科に求められていること〕
国語に対する関心を高め、国語を尊重する態度を育成すること
実生活で生きて働き、各教科等の学習の基本ともなる国語の能力を育成すること
言語文化に親しむ態度を育成すること
〔国語科改訂の要点は…〕
自ら学び、課題を解決していく能力の育成を重視し、指導事項については学習過程が一層明確化された。
「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の各領域の内容に言語活動が具体的に例示され、指導事項を言語活動を通して指導することが一層重視された。
指導内容を系統的・段階的に上の学年につなげるとともに、螺旋的・反復的に繰り返しながら学習し、能力の定着を図るために、重点を置くべき指導内容を明確にし、その系統化が図られた。
伝統的な言語文化に関する指導の重視や読書活動の充実が求められている。
漢字指導や書写の指導の改善が求められている。
  〔中学校国語科では…〕
  社会生活に必要な国語の能力の基礎を身に付けることを目指し、
発表、討論、解説、論述、鑑賞などの言語活動を行う能力
を身に付けること。
基礎的・基本的な知識・技能を活用し、他者と相互に思考
を深めたりまとめたりしながら解決していく能力
が求められています。中学校国語科の授業づくりにおいては、新学習指導要領の基本的な考え方を踏まえ、これらの能力を生きて働く言語能力として育成する必要があります。
  わたしたちはこのことを受けて、「生きて働く言語能力」を「実生活の様々な場面において、生徒自身が直面した課題を主体的に解決することに資する国語の能力」ととらえ、「生きて働く言語能力の育成を目指した国語科学習指導の在り方−言語活動の充実を通して−」をテーマに研究を進めてきました。
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言語活動を位置付けた授業づくり
   新学習指導要領において、言語活動の充実は各教科を貫く重要な改善の視点です。特に国語科では、各教科等で言語活動を行う能力を育成していく必要があります。そこで、本研究では、言語活動を単元に位置付けた授業づくりについて考えてきました。その中で、新学習指導要領全面実施に向けて準備しておいていただきたい授業づくりに関する留意点を以下のようにまとめました。
  授業づくりのポイント
  〔年間を見通した意図的・計画的な指導〕
   各学年で行われる3領域1事項の指導は、年間を見通し、意図的・計画的に行う必要があります。例えば、「読むこと」領域の説明的な文章の指導において、年間で2つの教材を取り上げて単元を構成する場合には、2つの単元で同じ指導事項を指導するのではなく、それぞれの単元で指導事項を重点化し、それに即した適切な教材を選択していきます。その際、学習者の実態に応じて、不十分なものについては、次の単元でも取り上げて指導するといった柔軟な計画が必要です。また、新学習指導要領では各学年の系統的・段階的なつながりが重視されています。学年を見通すことと同時に、各学年のつながりも意識した計画的な指導をする視点をもつことが求められています。
  〔言語活動を通して指導する指導事項の明確化〕
   本来、言語活動は総合的なものであるため、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の各領域の能力が相互補完的に活動を支えています。このような言語活動の機能を十分に理解し、単元の授業を通して身に付けさせたい力を明確にした上で、単元に位置付けることが大切です。
  言語活動の考え方
  〔言語活動を単元に位置付けること〕
   言語活動を適切に単元に位置付けるためには、指導事項と言語活動の特性を踏まえて設定をすることが大切です。新学習指導要領には、各領域ごとに言語活動例が示されていますが、これはあくまでも例なので、目の前の生徒の実態をしっかりと把握し、その課題の解決に適した言語活動を単元に位置付けなければなりません。
  〔言語活動の充実〕
   国語科においては、発達の段階に応じた言語活動を行う能力を育成することが求められています。中学校国語科において、社会生活の場面を想定した言語活動を単元に位置付けることは社会生活に生きて働く言語能力の育成につながると考えます。各領域の能力が相互補完的に活動を支える言語活動の機能を十分に理解し、課題解決につながる活動になるよう工夫することで、活動は充実したものになります。また、生徒の意欲を喚起し、主体的な学習態度の育成を図ることにもつながります。
  〔言語活動を通して生きて働く言語能力の育成を目指すために〕
   そこで本研究では、言語活動の充実を通して、生きて働く言語能力を育成するために、次の点に留意した従業づくりの提案をしていくこととしました。
身に付けさせたい力を明確にし、生徒が自分の問題として取り組むことができるような課題を設定することを重視する。
社会生活の場面を想定し、学習内容の系統性に配慮しながら重点を置くべき指導事項を明確にした活動を設定する。
相手、目的や意図、多様な場面といった条件を明らかにするとともに、生徒が学習の見通しをもったり、学習を振り返ったりすることができるような工夫をする。
   以上の考え方を反映させて提案した授業づくりの視点やそれに基づく授業モデル、具体的な授業展開案については、こちらをご覧ください。
新学習指導要領のねらいに対応した授業づくり
「生きて働く言語能力」の育成を目指した授業づくり
「授業に役立つ実践研究」サイトトップ (授業展開案)
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新しい評価の考え方
   学習指導要領の改訂に伴い、平成22年3月に中央教育審議会が「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」をまとめ、「生きる力」に基づく学習を評価する考えと実践方策が提言されました。同年5月にはこれに基づいた通知も発出され、四観点の維持とともに、評価活動の工夫が求められることとなりました。わたしたちも、新学習指導要領全面実施に向けて、学習評価についても考え、準備しておく必要があります。
  〔新しい評価に関わるキーワード〕
 

画像目標に準拠した評価

画像指導と評価の一体化

 目標に準拠した評価とは、設定した指導目標が言語活動を通して身に付いたかどうかを確認するために行うものです。学習指導要領の指導事項には、生徒が具体的にどのような活動の中で何をできるようになったら、その指導目標を達成できるかということが明記してある訳ではありません。ですから、位置付けた言語活動の中で、身に付けるべき力を具体化していく必要があります。身に付けるべき力を具体化することができれば、私たちが行う指導も具体的になっていくので、指導と評価の一体化も図られることとなります。
  〔参考資料〕
  ◆文部科学省 『小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要領の改善等について』 平成22年 5月
◆国立教育政策研究所 『評価規準の作成のための参考資料(中学校)』 平成22年11月
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その他
   学習指導要領の改訂に伴い、教科書も変わります。新学習指導要領のねらいに対応するため、教材や配列の大幅な改編が行われることが考えられます。改編のありようについては、中学校に先駆けて発行された小学校の教科書が参考になります。
〔参考資料〕
◆小学校国語科のページにリンク
   

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