研究テーマ「児童生徒の社会的な見方や考え方を深める」の、「社会的な見方や考え方」とは、社会生活を営む中で社会的事象は決して単独で存在することなく、何らかの形で他の社会的事象とかかわって存在しているということを認識し、そのような見方や考え方で社会的事象にかかわることができる資質・能力であるととらえることにしました。
そこで、子どもたちに「社会的な見方や考え方」を養うために、本研究では、意思決定型の学習を取り入れることにしました。意思決定型の学習においては、行動案や解決策を検討するためには、資料の分析や話し合いによる検討などが必要です。授業の中では、「目指す社会」を意識させた上で、解決策の選択において判断を迫る授業を展開したり、解決策の是非がそれぞれどのような社会を選択したことになるのか、「目指す社会」を考えさせ、意識させたりするなどの学習活動が考えられます。
例えば、学習の中で「社会福祉に使う目的で消費税を引き上げる」という政策の検討をするとします。消費税は所得の多い少ないにかかわらず、買ったものに対して同じ割合で課税されるので、国民は、消費活動の上では、公平な立場で税を支払うことになります。税率が上がるので税負担は増えますが、安心した老後を約束されたり、健康を害したときなどの医療費などについても不安がなくなったりします。つまり、「国民全員が一律に負担をしなければならないが、いざというときに安心な社会」ということになります。更に考えを進めていくと、「お互いがお互いを支えあう社会」「共生の社会」などというように「目指す社会」が見えてきます。そして、どのような社会を目指していることになるのかを子どもたちにイメージさせることにつながっていきます。