社会的な見方や考え方を深める社会科学習に取り組んでみよう!

社会科 実践事例その1 小学校第3学年

1 単元名 
  学校のまわりはどんなようすだろう 〜循誘公民館の利用者がふえるアイデアを考えよう〜
                                                          【B:問題発見型】
                         
 
2 教材観
 循誘公民館は、地域の活動の拠点となる公共施設であり、 館長には「心豊かな循誘の町作りをしたい」という願いがある。
 利用者が、昨年は1万8千人であったので、今年は2万人を目標に、利用しやすい公民館になるように職員一同努めている。
 循誘公民館について考えることで、地域に目を向けた考え方や地域に対する愛情を育てることは意義あることと思われる。
 
3 児童観
 半数以上の子どもが、お楽しみ会やお話会に参加したり、保護者の話し合いに同伴したりすることで公民館を利用 した経験 がある。
 公民館で行われているサークルや催し物を知る児童は少ない。また、地域住民のつながりの場や生涯学習としての公民館の役割を知る児童も少ない。
 町探検の学習で、学校周辺の特徴をとらえることができている。
 社会的な見方や考え方としては、3年生の7月という段階で、社会科の学習の経験が少ないため、いろいろな立場をとらえることは難しい。
 
4 指導観
 循誘公民館の利用者を増やすアイデアとして最もよいアイデアを決定させることで、地域に目を向けた考え方をもたせる。
 循誘公民館のよさを見付けたり、館長の願いを聞いたりする見学を行い、「循誘公民館の利用者が増えるアイデアを考える」という学習問題を設定する。
 新しい公民館のよさを写真で調べたり、保護者や地域の人、学校関係者に公民館にほしいアイデアについてインタビューなどをしたりする調べ活動を設定する。
 調べたことを基に、循誘公民館の利用者が増えるアイデアを出させる。
 学級全体の話し合いによって絞り込まれた2案について観点を基に話し合い、アイデアを個人で決定させる。
 循誘公民館についての話し合いを通して、「これからの循誘の町」の姿を考えさせる。
 
5 単元の総括目標
 循誘公民館の利用者を増やすアイデアを考える学習を通して、公民館の取り組みや公共施設の役割について理解させ、地域の町づくりの中心ともいえる公民館について考えさせる。
 
6 単元の評価規準
関心・意欲・態度
思考・判断
技能・表現
知識・理解
地域の公民館である循誘公民館に関心をもち、進んで調べようとする。 公民館の利用者が増えるアイデアを「たくさんの人が利用できる(有効性)」「しあわせな気持ちになる(幸福)」などの観点から考えることができる。 アイデアの理由(地域性、循誘公民館の特色、公民館への希望など)を調べることができる。 公民館の働きや役割について理解している。 
 
7 単元の指導計画
主な学習活動
ワークシート・資料
1 循誘公民館を見学し、敷地内の様子や公民館の働きを調べ、館長の願いを聞く。

(2時間扱い)

ワークシート1
2 見学で学習したことを基に、公民館の利用者を増やす手伝いをすることに興味をもつ。

学習問題「循誘公民館の利用者がふえるアイデアを考えよう」を設定する。

ワークシート2
3 利用者を増やすためにどんなアイデアを行ったらよいかを、他の公民館のことを調べたり、様々な人にインタビューをしたりして調べる。

(2時間扱い)

ワークシート3
ワークシート4
4 調べたことを活用し、公民館の利用者が増えるアイデアを個人で考える。


  
5 複数のアイデアを2つに絞り込み、最も利用者が増えるアイデアを個人で決定する。
【意思決定1】

【予想される児童のプラン】

A:公民館祭りをしよう     

B:サークルをふやそう

C:ゲーム大会をしよう     

D:バリアフリーにリフォームしよう 等

ワークシート5
6 絞り込まれたアイデアを検討する話し合いを行い、利用者が増えるアイデアを決めることで、自分の考えの見直しをする。【 本時 】
【意思決定2】
ワークシート6
 
8 実践を終えて
【成果】
 意思決定を2回行い、社会的な見方や考え方を広げた姿を立場や価値の記述とした。意思決定2では、全児童(33名)が立場や価値を記述することができた。
 意思決定2では児童33名中28名が、「これからの循誘の町」について記述していた。そのうちの18名が、立場や価値を両方、またはどちらかを複数記述することができた。このことから、「目指す社会像(これからの循誘の町)」を話し合いの場で明確にすることで、一人一人の児童がそれをよりどころとし、アイデアによる公民館の姿の延長上にある社会の在り方(循誘の町の姿)を想像することができた。
【課題】
 「目指す社会像」のイメージと選択理由の記述について児童が不慣れなところがあった。徐々にではあるが、社会科の時間だけではなく、他教科においても作文の指導を工夫していく必要がある。
 記述式回答を評価するので、評価の基準があいまいになりがちである。今後は記述式回答の評価方法についても研究を進めていく必要がある。
 
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最終更新日: 2010-03-23