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国語科授業の「あったらいいな!」を形にします。

 平成21年度「全国学力・学習状況調査」の結果とこれからの指導に向けて

平成21年4月21日に実施された「全国学力・学習状況調査」の結果が8月末に文部科学省から提供されました。その結果を基に、本県の結果とこれからの指導についてお知らせします。
  調査は、教科に関する調査(国語・算数)と質問紙調査(生徒質問紙と学校質問紙)で構成されています。また、教科に関する調査は、主として知識に関するA問題と、主として活用に関するB問題から構成されています。ここでは、主に教科に関する調査の結果について紹介します。
平成21年度「全国学力・学習状況調査」の中学校国語(3年生)の調査結果について
本県の中学3年生の平均正答率は平成19年度の調査開始から着実に伸びを見せています。今年度は、A問題(主として「知識」に関する問題)、B問題(主として「活用」に関する問題)ともに、標準偏差の全国との比が1.00となりました(佐賀県・全国とも公立学校のみ)。しかし、設問ごとにみていくと、平均正答率において、全国平均との差が-1以上開いた設問もあり、更なる指導の工夫・改善が必要と考えられます。
  佐賀県教育センターでは、知識・技能の定着をサポートする学習プリントや活用にかかわる学習プリントを定期的に作成し、提供していきます。ぜひご覧になり、ダウンロードして使っていただけたらと考えています。
○ A問題(主として「知識」に関する問題)での佐賀県と全国の正答率
項目
平成21年度
平成20年度
佐賀県
全国
全国との比
佐賀県
全国
全国との比
話すこと・聞くこと 86.5 86.8 1.00 78.3 80.1 0.98
書くこと 62.9 64.6 0.97 52.1 55.2 0.94
読むこと 74.5 75.7 0.98 69.3 71.0 0.98
言語事項 76.4 76.0 1.01 75.3 75.2 1.00
※「全国との比」とは、佐賀県全体の平均を全国平均(=1.0)と比較してみたものです。小数第三位を四捨五入しています。
○ B問題(主として「活用」に関する問題)での佐賀県と全国の正答率
項目
平成21年度
平成20年度
佐賀県
全国
全国との比
佐賀県
全国
全国との比
話すこと・聞くこと
書くこと 73.2 72.5 1.01 46.3 46.7 0.99
読むこと 74.5 74.5 1.00 59.1 60.8 0.97
言語事項
61.6 60.5 1.02
※「全国との比」とは、佐賀県全体の平均を全国平均(=1.0)と比較してみたものです。小数第三位を四捨五入しています。
設問ごとの分析結果とこれからの指導に向けて [主として「知識」に関するA問題]



設問番号


全国との差
[-2.4]

〈分析結果と課題〉
  文章を書く際に、主語と述語を適切に対応させて書くことに課題があります。「この絵は」と「この絵の特徴は」という主語の違いによって、異なった述語をとることが十分意識されていないものと考えられます。
《これからの指導に向けて》
  推敲の場面をはじめとして、文章を書く際には、常に、主語に対して述語が適切であるかどうかを意識して記述させるよう指導する必要があります。


                                              
設問番号
5 一

全国との差
[-2.3]
〈分析結果と課題〉
  自分の意見を伝えるために、適切な材料を選ぶことに課題があります。設問における提案には「昼休みに」「学級全体で」「運動をすること」という三つの要素があることを十分にとらえられていなかったものと考えられます。
《これからの指導に向けて》
  自分の考えを提案する文章を書く際には、内容を具体的に示すとともに、提案の根拠について十分に意識することが大切であり、このことを指導することが重要です。
設問番号
5二


全国との差
[-0.9]

〈分析結果と課題〉
  自分とは異なる立場の意見を取り入れて、説得力のある文章を書くことに課題があります。提案する内容と異なる立場の意見であることは理解していますが、それを取り上げて書く理由についての理解が十分でないものと考えられます。
《これからの指導に向けて》
  提案する文章を書く際には、自分がこれから提案しようとする内容と同じ立場の意見だけではなく、異なる立場の意見も取り入れて、文章の説得力を高めることが大切です。そのためには、根拠の適切さや取り上げるべき反論について考えさせる指導の必要があります。

                                       
言語事項 設問番号
7一



全国との差
[-4.7]

〈分析結果と課題〉
  短歌の形式に従って意味のまとまりをつかむことに課題があります。設問に示された短歌に二つの意味のまとまりがあることをとらえることができず、形式的に上の句と下の句で分けたものと考えられます。また、文語調の文章に慣れていないために「さむし」で切れることが理解できなかったものと考えられます。
《これからの指導に向けて》
  短歌を読む際には、言葉のつながりや意味のまとまりなどの点から句の切れ目について考え、作品の基本的な構造をとらえることが大切です。そのためには、作者の視点や物事のとらえ方などを手掛かりとして、短歌全体の内容を考えさせる指導が必要です。
  近・現代短歌や俳句の中にも、文語表現が使われることがあります。そのことを理解させることが重要です。その上で、身の回りにある文語表現に関心をもたせたり、古典の学習と関連付けたりすることによって、文語調の文章に親しむよう指導する必要があります。
設問番号
7二
全国との差
[-3.4]
〈分析結果と課題〉
  短歌における語句の意味を理解することに課題があります。
《これからの指導に向けて》
  短歌をはじめ、文章を的確に理解するためには、文脈における語句の意味を正確にとらえることが重要であり、この指導が必要です。
設問番号
8三
全国との差
エ[-2.1]
ウ[-2.0]
イ[-1.4]
〈分析結果と課題〉
  語句の意味を理解し、文脈の中で適切に使うことに課題があります。
《これからの指導に向けて》
  語句の指導においては、語句そのものの意味を指導するだけでなく、多様な言語活動の中で適宜注意を促して、知識の定着を図ることが大切です。例えば、聞き慣れない言葉に出会ったら、積極的に使い方を確かめるように指導することが大切です。「いつかは使ってみたい言葉」を書きためておく習慣を付けるなどの指導も有効です。
設問ごとの分析結果とこれからの指導に向けて [主として「活用」に関するB問題]
読むこ
設問番号
1二

全国との差
[-1.0]
〈分析結果と課題〉
  表現の仕方や文章の特徴をとらえ、子ども図書館案内図に表れている工夫として当てはまらないものを選択することに課題があります。 
《これからの指導に向けて》
  表現の仕方や文章の特徴に注意して読むことは、文章の内容に対する理解を深めることに役立ちます。生徒の身近にあるパンフレットや広告、説明書などは、相手意識や目的意識が明確であるため表現上の工夫が読み取りやすくなっています。また、イラストや図表などを文字と組み合わせて作成されているものも多くあります。それらの効果を考えながら、必要な情報を的確に読み取っていくことが大切となります。

                           
設問番号
2一

全国との差
[-2.3]
〈分析結果と課題〉
  文章の展開をとらえ、第一段落の役割として適切なものを選択することに課題があります。
《これからの指導に向けて》
  説明的な文章を読む際には、文章の構成や展開をとらえ、一つ一つの段落の役割を正しくとらえさせることが重要です。段落の役割には、例えば問題や課題などについて述べる、集めた材料などについて分析する、それらをもとに自分の考えや意見を述べるなどがあります。なお、段落の役割をとらえるには、接続関係を明示する言葉などに着目させる指導も大切です。
設問番号
3二

全国との差
[-1.4]
〈分析結果と課題〉
  構成上の特徴を手掛かりに詩を解釈し、内容の説明として適切なものを選択することに課題があります。  
《これからの指導に向けて》
  詩を読む際には、特徴的な語句、比喩や反復などの表現技法、副詞や文末表現の働きなどに着目し、詩に書かれた内容や表現について、感じたり考えたりすることが重要です。その際、生徒同士で、詩から読み取ったものの見方、感じ方、考え方などについて、詩の中の表現を根拠として話し合うような学習が必要です。

                                          
〈参考〉国立教育政策研究所Webページ      http://www.nier.go.jp/index.html                                       
以上のように分析及び考察を行いました。
詳しい結果や指導のアイディアなどを知りたい方は下記のリンクを参照してください。
○調査結果の詳細は 〜佐賀県教育委員会Webページ   http://www.pref.saga.lg.jp/web/_29984.html
○平成21年度全国学力・学習状況調査結果を踏まえた実践アイディア集 
  〜国立教育政策研究所Webページ         http://www.nier.go.jp/09jugyourei/09_chuu_jugyourei.pdf

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最終更新日: 2010-03-11