研究のまとめ(○成果と△課題)

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主張を整理したり吟味したりするために,情報を視覚化・図式化する。









最初の立論をデータ・理由付け・結論に分け,図式化したものを用いた。このことにより,双方の立場の議論の構造をつかみやすくなった。また,反論を考える視点ももつことができた。

板書において,児童生徒が出した反論をカードに書き掲示した。このことにより,出された意見を整理したり,再反論の視点を与えたりするのに役立った。また,再反論を行う視点をもつことができ,討論が大きくそれることはなかった。

本研究では,教師側で情報を視覚化・図式化して主張を整理したり吟味したりした。今後,児童生徒自らが視覚化・図式化して整理・吟味することができるような手立てについて研究する余地がある。

A
公正に判断させるために,情報の見方・考え方について指導する。











1つの主張に対し,メリットやデメリットの発生具合やその重要性/深刻性と分けて考えさせることにより,メリットやデメリットの量と質の両面から総合的に判断させることにつながった。

討論後,メリットやデメリットの発生具合を振り返らせた。そのことにより,最初の立論のメリットやデメリットがどの程度起こりうるものなのか反論や再反論と関連させることにより,判断することができた。

討論後,メリットやデメリットの重要性や深刻性を考えさせた。小学校では,子どもたちの生活経験を基に,中学校では,討論の中での反論や再反論と関連させることにより,判断することができた。

小・中学校ともに価値(メリットやデメリットの重要性や深刻性)についての吟味がまだ足りなかった。今後,価値についてもより深く吟味させるような手立てについて工夫する余地がある。


B 説得力のある判断理由にするために,文章の書き方を指導する。








判断理由として重要と判断するもの(主張から反論・再反論まで)に印を付けさせることで,それらをつなげて一連の文章表現をすることができた。

反論や再反論等を結び付けたり,討論の中で出てきた具体的な例を付け加えたりして文章化させることにより,討論の前と比べて説得力のある判断理由を述べることができた。

今回は教師側で文章のまとめ方を示したが,本来はもっと多様な文章の作り方があると思われる。それらを児童生徒が自由に生き生きと表現できるような工夫を考えていかなければならない。