○学習指導案    小学校第6学年 「 社会科 」


1  単元名 「戦後の日本のあゆみ」 (平成19年12月実施,27名)
授業実践者:冨永和重
2 単元とその指導について
  戦後,1955年から1970年代初頭までの約20年間を,高度経済成長期と呼んでいる。この時期の経済成長率は,年平均10%に達し,国民総生産はわずか15年で4倍以上に拡大した。この世界に例を見ない経済成長によって,日本の国民総生産は資本主義国の中でアメリカについで第2位となり,日本は「経済大国」に発展していった。
  この時期,国民の生活は大きく変化した。「三種の神器」と呼ばれる電気洗濯機,電気冷蔵庫,白黒テレビが急速に普及し,更に,1970年代以降には「3C」と呼ばれるカラーテレビ,自家用車,クーラーが普及し,物質の面で大変豊かになった。所得も倍増し,大卒の初任給に関しては,約3倍も上昇している。しかし,この豊かな生活と引き換えに様々な問題も発生した。一つは,「四大公害」をはじめとする各種の公害や,乱開発による住環境の悪化・粗大ごみの増大など,環境に関する問題を引き起こしたことである。また,二つ目は,「集団就職」や「通年出稼ぎ」等に見られるような農村から都市への大量の人口移出をもたらしたことである。このことにより都市部では過密化が起こり,農村部では「三ちゃん農業」等,今日につながる農村社会の過疎化・高齢化の原因を作ることにもなった。
  そこで,戦後から今日につながる日本のあゆみを,高度経済成長を手掛かりにとらえさせ,考えさせていく単元を設定する。高度経済成長は,国民の生活を豊かにしたとともに,様々な面で問題も残していった。それらを調べさせ,考えさせていくことは,これからの社会を担う子どもたちに,社会が進むべき方向を考えさせていくという意味において意義あることである。また,歴史は過去の出来事を扱う学習ではなく,過去は現在につながっていること,更にそれらは未来にもつながっていることを意識させるのにも適した単元である。
  児童が住む小学校の校区は,新興住宅地に当たり,核家族で生活する家庭が多い。家族のほとんどが戦後生まれであり,児童は戦中戦後の生活の話を日常的に聞いているわけではない。しかし,総合的な学習の時間で「戦争・平和」をテーマに学習し,戦争の恐ろしさ,平和の大切さについては強い思いをもつようになっており,戦後,国民が生きるために精一杯だったことにも気付いている。戦後の改革や高度経済成長が児童の今日の生活の便利さを実現することにつながっていたり,今日にも残る課題の発端の一部になっていたりすることに対しては気付いていない。
  学習への態度としては,これまで資料の中から必要な情報を見付けること,また,それに対して自分の考えをもつことの2段階で指導がなされており,単なる資料の丸写しではなく,資料をきちんと活用できる児童は多い。また,自分の考えはもつものの,それを人前で積極的に話すことに抵抗をもつ児童は多い。しかしながら,意見をぶつけ合うことに対して楽しさを感じている児童は多く,討論意思決定型の授業においては児童の積極的な発言が期待できる。社会科で討論意思決定型の授業の形態を採るのは今回が3回目である。しかし,これまでの2回は,主に自由討論による意見交換であり,立論,反論,再反論といったフォーマットで討論を行うのは今回が初めてである。文章を書くことに対して苦手意識をもつ児童が一部におり,意思決定後の判断理由を明確にさせて文章記述させる際には配慮を要する。
  指導に当たっては,終戦直後の生活の様子と高度経済成長期の生活の様子を対比させる中で,我が国がわずかな期間で復興できたことに驚きをもたせ,学習問題「日本はどのようにして戦後から立ち直っていったのだろう」を設定する。
  その後,政治の面での民主化の働きや外交面での独立の回復とアジアでの地位の確立について資料や聞き取り調査を基に調べさせていく。さらに,当時の人々の努力や他国の協力により高度経済成長が起こったことを理解させる。
  高度経済成長に結び付いた国内外の働きが整理できたところで,高度経済成長は,手放しで喜べることなのかと揺さぶりを掛ける。四大公害をはじめとする環境問題等に気付かせ,新たな学習問題「高度経済成長は今日の日本によい影響を与えたのか悪い影響を与えたのか討論を通して考えよう」を設定する。児童には,これまでの学習で獲得した情報を基に,評価するかしないかを4つの選択肢から選ばせる(第1次意思決定)。評価の基準は個人の主観になるが,それにより,高度経済成長は今日の日本のためになったとする「評価する側」,また,負の部分が多かったとする「評価しない側」に分ける。このとき,なぜそのように評価したのか理由を文章で記述させておく。
  その後,高度経済成長が今日の日本によい影響を与えたのか悪い影響を与えたのか,討論を通して集団思考することを伝える。討論に向けては,主に反論と再反論を準備させる。教師側で準備した資料や聞き取り調査を基に,根拠ある意見をつくれるように支援する。
  討論では,時間を区切って主張をさせる。主張の後は,教師側で児童の主張を解説し,双方の伝えたいことが伝わるように支援する。また,板書においても,児童の思考を整理しやすいように工夫する。
  討論を終えた後,高度経済成長を再び4つの選択肢を用いて評価させる(第2次意思決定)。その際,4つの選択肢の間も評価できるようにし,わずかな評価の違いも表せるようにする。また,どのように評価が変わったのか,また,その評価に確信をもったのかについても再び文章で記述させる。その際,説得力のある文章とはどのようなものか気付かせ,文章を作成する際の構成の仕方を視覚的に指導したり,具体的な例を入れさせたりして,判断理由を明確にして文章化させたい。

 

3 単元の目標






戦後の国内外の動きについて意欲的に調べ,よりよい社会の発展について自分の考えを表そうとしている。                               (社会的事象に関する関心・意欲・態度)
高度経済成長における影響を多面的に考察し,その功罪を判断することができる。
                                               (社会的な思考・判断)
教師が与えた資料や聞き取り調査を通して,自分の主張をまとめたり,討論を通して考えたことを論理的に文章にまとめたりすることができる。               (観察・資料活用の技能・表現)
戦後,我が国は平和的・民主的な国家になるために様々な改革を行ってきたことやその影響を理解することができる。                           (社会的事象についての知識・理解)
4 単元の計画 (全8時間)
過程 学習活動  教師の指導・支援
つかむ






もとめる









たかめる










つくる
終戦直後の日本の様子と,高度経済成長期の日本の様子を比べ学習問題を設定する。
ワークシート@(導入)






写真資料から,戦後わずかな期間でオリンピックの開催までこぎ着けたことをとらえさせ,敗戦国であった日本が国際社会の中で重要な役割を果たすようになった事をとらえさせる。
耐久消費財の普及のグラフや収入の上昇のグラフを提示し人々の生活が豊かになっていったことをとらえさせる。

    

日本はどのようにして戦後から立ち直っていったのだろう












日本国憲法の制定と戦後の改革を調べる。
ワークシートA(国内の改革)


戦後の世界の動きと日本の独立の回復を調べる。
  ・国際連合
  ・日米安全保障条約
  ・沖縄返還
ワークシートB(外国とのかかわり)
高度経済成長について調べ新たな学習問題を作る。
ワークシートC(論題設定)

















日本国憲法や戦後の改革により,どのように社会が変化するか,何を大切にしている社会なのかを考えさせ,日本が平和で民主的な国家をつくろうとしていたことをつかませる。
ワークシートの年表を整理させ,どのような動きがあったか概観をつかませる。
朝鮮戦争が朝鮮特需につながり,経済活動が活発になったことを説明する。



これまでの学習を想起させ,高度経済成長により日本が豊かになったことをまとめる。
高度経済成長は手放しで喜べることなのか,揺さぶりを掛け,高度経済成長の負の部分に気付かせる。
高度経済成長の功罪について評価させる。
  (第1次意思決定)































高度経済成長は今日の日本によい影響を与えたのか悪い影響を与えたのか評価しよう









討論の準備をする。
ワークシートD(討論準備)




討論をする。
ワークシートE(討論メモ)

討論を振り返り,高度経済成長を評価する。
ワークシートF(意思決定)
ワークシートG(判断理由記述)












立論,反論,再反論を担当する役割ごとに意見を準備させる。
立論に関しては,既に主張がある状態であるが,そのよさや問題点がより分かりやすくなるように,具体的な資料を集めさせ,立論の説得力を高めさせる。
立論,反論,再反論の時間は区切って行うが,それぞれ出された意見は,教師側で解説をし,児童の思考を整理する。
公正な判断ができるように,情報の見方・考え方を指導し,高度経済成長を評価させる。  (第2次意思決定)
判断理由が明確に伝わるような説得力のある文章にするために,望ましい文章構成の例について説明する。
5-@ 本時の学習指導 (7/8) 
(1)  本時の目標


高度経済成長の功罪についての討論において,進んで発言し参加することができる。
                                       (社会事象への関心・意欲・態度)
高度経済成長の功罪について討論を通して吟味することができる。(社会的な思考・判断)
(2) 本時の展開
児童の学習活動
教師の指導・支援 ※評価規準(評価観点)と【方法】
本時のめあてを確認する。
高度経済成長は今日の日本のためによかったのか悪かったのか討論を通して考えよう。
討論の勝ち負けではなく,高度経済成長が今日の日本のためによかったのかどうかを,討論を通して集団で思考することを確認する。
それぞれの立場から立論を行う。
  立論の様子(評価する側)
  立論の様子(評価しない側)
 【評価する側の議論の構造】
   
 【評価しない側の議論の構造】
   
それぞれの立論が述べられた後,教師側で主張を分かりやすく解説する。
   
作戦タイムを取り,反論を考える。
 
前もって準備していた反論が使えるか,また立論の中に新たに付け加えられた情報には信ぴょう性があるかなどの反論の視点を与える。
それぞれの立場から反論を行う。
  反論の様子(評価しない側)
  反論の様子(評価する側)
 


児童の発言をカードに書いて黒板に掲示し,反論を目に見える形に残す。
自分の考えを膨らませて話すことができている。(思考・判断)【発言】
作戦タイムを取り,再反論を考える。
 
児童が出した反論を教師側で類別し,どのような反論なのか確認していく。また,どのような点に再反論を行えばよいのかという再反論の視点を与える。
それぞれの立場から再反論を行う。
  再反論の様子(評価しない側)
  再反論の様子(評価する側)
 



進んで自分の考えを発言しようとしたり,意欲的に活動に参加しようとしたりしている。(関心・意欲・態度)【発言・行動観察】
自分の考えを膨らませて話すことができている。(思考・判断)【発言】
次時の見通しをもつ。 次時は本時の討論を生かして,戦後の高度経済成長を評価すること,また,その理由を文章で表現することを伝える。

5−A 本時の学習指導 (8/8)
(1) 本時の目標
討論で吟味した高度経済成長の功罪を評価し,その評価理由を文章に表すことができる。
                                              (社会的な思考・判断)
(2) 本時の展開
児童の学習活動
教師の指導・支援 ※評価規準(評価観点)と【方法】
前時の学習を振り返る。

黒板に前時の討論の流れを掲示するとともに,児童の手元にも討論の流れをまとめたワークシートを配布する。

戦後の高度経済成長を評価する。
○評価の手順  ワークシートF
@ メリットやデメリットがどの程度成立しているのかを帯グラフで表す。
              【なるなる度】
A メリットやデメリットがどの程度重要/深刻な問題なのかを○の大きさで表す。     【いいこと度/悪いこと度】
B もう一方の立場と比べて総合的に判断する。

 




















討論での立場を離れて判断することを確認する。
100本中90本が当たりのくじと1本が当たりのくじのどちらを買うか考えさせる。
くじA くじB
100本中90本が当たり 100本中1本が当たり
商品:飴玉1個 商品:ハワイ旅行
この例からメリットとデメリットの量と質の両面から総合的に考える必要性を感じ取らせる。
それぞれの主張がどの程度成立しているのか,またどの程度重要/深刻な問題なのかを考えさせるため,評価の手順を説明する。
判断は個人であるが,戸惑っている児童への支援のために,適宜グループ等での意見交換も行わせる。
第1次意思決定での評価を基準に,戦後の高度経済成長の功罪を評価させるようにする。
討論を振り返り,高度経済成長について評価する。(思考・判断)【ワークシート】

説得力のある文章の作り方について考える。
 
例文を対比させることを通して,討論の流れを生かすことの有効性,具体例を入れることの有効性に気付かせる。
【教師が示した例文】
新しい自転車を買ってほしいです。理由は今の自転車が小さくなったからです。無理をすれば乗れないことはないという意見もありますが,小さいのでバランスをくずして危険です。例えばこの前,バランスをくずしたとき,ダンプが隣を通って事故にあいそうになりました。また,サドルを高くすればよいという意見もありますが,高くすればするほど,前のめりになり,かえって危ないです。例えば,これ以上高くするとハンドルよりサドルが高くなり逆立ちしているようになります。だから新しい自転車を買ってほしいと思います
評価理由を文章で記述する。
ワークシートG
 





評価をする際に自分が重要視した議論の流れ(主張から反論・再反論まで)に印を付けさせ,それにつなげて一連の文章として表現させる。その際,説得力を高めるために,なるべく具体的な例を出させる。
討論を振り返り,高度経済成長について評価する。(思考・判断)【ワークシート】

単元全体を振り返り,「高度経済成長から学んだこと」というテーマで一言感想を書く。 自分たちの暮らしと経済の成長,環境の保護等を視野に入れさせ,短くまとめさせる。
※ 資料等
指導案
(指導案PDF版は,授業実施前に作成したものであり,本ページの指導案とは多少異なる)
ワークシート@(導入) ワークシートA(国内の改革)
ワークシートB(外国とのかかわり) ワークシートC(論題設定)
ワークシートD(討論準備) ワークシートE(討論メモ)
ワークシートF(意思決定) ワークシートG(判断理由記述)
6 授業の考察
  • 本単元では,戦後の日本の復興の様子をつかませていく中で,高度経済成長にスポットを当て,その功罪を評価するという討論・意思決定型の学習を試みた。意思決定場面において子どもたちが判断理由を明確にする事ができるよう,研究のポイントを次のように設定した。
    @主張を整理したり吟味したりするために,情報を視覚化・図式化
    A公正に判断させるための,情報の見方・考え方についての指導の工夫
    B説得力のある判断理由にするための文章の書き方の指導の工夫
    そこで,この研究のポイント3点について授業を考察する。
    @主張を整理したり吟味したりするために,情報を視覚化・図式化したことについて
    主張を視覚化・図式化する際は,データ・理由付け・結論の3つに分け表した。
    図式化には,(図1)のように,イギリスの分析哲学者,スティーブン・トゥールミンの議論レイアウトを援用した。
               ワークシートC(論題設定)
                (図1)
    このことにより,双方の立場の議論の構造をつかませやすくなったり,根拠(データや理由付け)の部分を批判的に検討するなど,反論や再反論を考える視点をもたせたりすることにつながった。
    2時間の討論の準備の時間を経て,実際の討論の場面で出た反論,再反論は以下のとおりである。
    【評価する側の主張】  
     
    【評価する側への反論】
    ・外国と比べると収入が少ない。
    ・外国と比べると物価が高い。
    ・昔と比べ物価が高くなった。
    【評価する側の再反論】
    →日本は世界で9番目に収入が多い国である。
    →テレビ,ビデオ,ティッシュなどは安い。
    →電気製品など安くなったものもある。
    【評価しない側の主張】   
     
    【評価しない側への反論】
    ・環境基本法など,環境を守る厳しい法律がある。
    ・公害からよみがえり,美しい環境を取り戻しているところもある。
    ・リサイクルが進んでいる。

    ・学校環境ISOなどみんなで協力している。
    【評価しない側の再反論】
    →みんなが守らないと意味がない。

    →公害の苦情は増えている。
    →今でも公害病で苦しんでいる人がいる。
    →リサイクルをするには,石油などのエネルギーを使う。
    →リサイクルはみんながしないと意味がない。
    →(再反論なし)

    上記のような討論の流れとなり,議論が大きく外れることもなく,よくかみ合うことができた。また,データの部分で証拠の必要性に気付き,特に反論では具体的な資料を用いての反論をすることができていた。このことにより,討論を通して,高度経済成長の功罪についてより考えを深めることができたと思われる。
    【討論における感想】




    今日討論をして高度経済成長のことがいろいろ分かりました。
    いろいろな人の意見が聞けてとても楽しかった。初めて自分の意見を真剣に話すことができた。またやりたい。
    私は今日の日本にはよい影響を与えた側の方に入っていたけど,確かにみんな(相手)の意見を聞くと悪い影響を与えたということも間違いではないと思いました。


    A公正に判断させるための,情報の見方・考え方についての指導の工夫について
    公正な判断を行わせるために,主張を「データ」「理由付け」「結論」の3つに分け,その中の「データ」と「理由付け」それぞれを吟味し,総合的に判断させるようにした。「くじ引き」を例に挙げ,「当たる確率」と「当たる商品」の違いを基に説明し,メリットやデメリットの発生具合とその重要性/深刻性の両面から総合的に考える必要性を感じさせたことは児童に,判断の視点を与えることになり効果的であった。

    メリットやデメリットがどの程度起こりうるかを判断させる際,「なるなる度」という名称の帯グラフでその発生具合を表現させた。児童は元々の立論が反論により,その発生具合が減ぜられ,再反論によりどの程度回復するかを悩みながらも判断していた。このことは公正に判断することにつながっていたと考えられる。
    ワークシートF(意思決定)

    メリットの重要性やデメリットの深刻性の判断は○の大きさで表現させた。理由付けの部分に対する反論等はなかったが,判断する際,身近な例を取り上げ,豊かな生活ができることはどの程度重要か,また,環境を壊すことはどの程度深刻な問題なのかを考えさせ判断させた。最初は環境を守ることに意識が傾いていた児童が多かったが,身近な例(雨の日に車で送ってもらうことは,環境よりも豊かな生活を採っている)を前に,児童も悩みながらその価値の大きさを判断していた。 
    ワークシートF(意思決定)


    B説得力のある判断理由にするための,文章の書き方の工夫について
    判断理由を記述する際に,説得力をもたせるために,@結論A理由(結論を導いた思考の過程)B具体例の3点を記述するよう指導した。第1次意思決定の時より明確な判断理由を挙げることができる児童は大幅に増えた。
    ワークシート(A児)
    ワークシート(B児)
    ワークシート(C児)
    しかし,文章の記述には個人差が大きく出た。もっと時間を取って,きめ細やかな指導を行うとともに,今後も繰り返し指導していく必要性を感じた。


    第7時の討論終了後のアンケートで唯一考えが深まらなかったと回答した抽出児Dついては,第8時の意思決定場面で討論の流れを確認する際,本人の反応を確かめながら授業を行った。

    D児の第8時の判断理由の内容を見ると,討論で出た意見が生かされており,討論で出た内容が整理され,判断材料として使われていることが分かる。

    第4時に行った第1次意思決定の判断理由よりも,第8時に行った第2次意思決定の判断理由の方が明確になるとともに,記述にも説得力が見られるようになった。
      【D児の第4時の判断理由】
     
      【
    D児の第8時の判断理由】