主張を図式化するとは
  本研究では,主張を図式化するためにトゥールミンモデルを援用する。トゥールミンモデルとは,イギリスの分析哲学者スティーブン・トゥールミン(Stephen Toulmin)が提唱した議論レイアウトである。
  トゥールミンモデルでは,結論を支える根拠を「データ」と「理由付け」に分けて,「結論」「データ」「理由付け」の3つを議論の基本要素として図式化する。
  @「データ」(Data:以下D)      
  A「結論」(Claim:以下C)       
  B「理由付け」(Warrant:以下W)  
結論を導くための証拠の部分
データから導き出される結論
データから結論への結び付きの妥当性を表すもの

図1 議論の構造の例
  図1の議論の構造は,事実判断の構造である。具体的なデータを基に,[交通量が多いと事故が起こりやすい」という理由付けをし,「危険である」という判断をしている。この事実判断自体が,データ:Dとなり,新たな結論:Cを導く価値判断の構造へと進めることができる。(図2)
図2 価値判断の構造
価値判断の構造では,理由付け:Wに,価値的言明(〜は,よいことだから/よくないことだから)が入る。

  本研究では,価値判断を行わせるため,理由付けに価値的言明が入るような価値判断の構造で議論を構成する。その際,データの部分は,メリットやデメリットを示すようにさせる。(図3)

図3 本研究での議論の基本構造
  このように図式化することにより,子どもたちに議論の構造をつかませやすくする。

《参考文献》
 ・足立 幸男   『議論の論理』 1984年 木鐸社