小学校・学級活動

学級活動実践例  (中学校第2学年で実施) 指導案はこちら
題  材 「食糧問題について考えよう―地域の食材を見直そう―」
ねらい  日本が多くの食糧を輸入していることを知り,地域で採れる食材のよさに気付き,食生活に生かそうとする態度を育てる。
授業の
ポイント
 日本の食生活の変化を示し,日本の食糧自給率や農業従事者が減っていることに気付かせる。食糧輸入の増加により,食の安全の問題や世界的に見た食の不平等,自然環境の変化などが起こっていることを知らせ,これらの問題を解決する方法について考えさせたい。
 展開の部分では,食料生産に携わる地域の方や学校栄養職員の講話などを取り入れ,食材に込められる思いを感じとらせながら,地域食材のよさや「地産地消の考え方」に気付かせていく。このような活動を通して,自分の食べ物に関心をもち,大切にしようとする姿勢も育てたい。
○事前の活動:地域で採れる食材(特産物)について調べさせておく。(教科の時間でもよい)
○事後の活動:地域食材を用いた給食献立(調理)を考える活動を家庭科の授業で扱う。
     家庭科授業「地域食材を使った献立作成と調理実習」での取り組みはこちら
授業の実際 段階 生徒の活動と生徒の反応 教師の指導・支援 資料など
活動の
開始
@朝食の献立例を基に,日本の食糧の自給率(現状)について知る。

A外国産の食べ物が増えていくことによる問題点を考える。
食べるものがなくなり,食べられなくなる。
・食べ物への不安がある(ポストハーベスト)
・日本(独自)の食べ物がなくなる。
・輸入額がどんどん増える。

B本時の学習目標を知る。
 地域で採れる食材のよさについて考えよう。
・パン,オムレツ,サラダ,牛乳についてどれくらいの自給率か考えさせ,自給率について理解させる。


・世界の食糧自給率や日本の推移,農業従事者数の推移の資料を提示して考えさせる
・ポストハーベストについては,軽く触れる程度にする。







・Aについて,そのような状況にならないための1つの方法として,地域の食べ物を食べていくことに触れながら,目標を提示する。
・献立例と自給率
・食パン(実物)

・自給率の推移(グラフ)
・農業従事者の推移(グラフ)
活動の展開 C地域で採れる食材にはどんなものがあるか知る。

D地域で採れる食材を使用した「給食:ふるさと食の日」の意味や生産者の思いに気付く。

【学校栄養士の話を聞く】

【地域の生産者の方の話を聞く】

E地域で採れる食材を利用するとどんな点でよいのか考える。
・安心して,食べられる。
・輸送の費用が掛かからない。
・輸送のためのエネルギーが掛かからない。
 (→環境への付加をおさえる)
・生産者の様子がよく分かる。
・自給率を上げることにつながる。

・事前に調査した結果を担当の生徒に発表させる。








・栄養士より「ふるさと食の日」について,給食献立を基に説明する。
今日の給食で,地域のものは・・・です。
地域の生産者の方の顔が分かる食べ物は,安心できて,とても新鮮です。みんなの体に合うように,地域の食べ物(外国産ではなく)を使うようにしています。・・
   栄養士の話の様子

・生産者より農産物への思いを伝えてもらう。
農業は天候に左右されて大変。・・・
給食にメロンを出すことが決まったら,農薬は使わないようにしている。安全なものを食べてほしいと思うから・ ・。中学生のみんなには,給食を残さず,たくさん食べてほしいです。・・・
   生産者の話の様子

・栄養士や生産者の声から,生徒が感じたことや気付いたことを基にまとめる。

・生産物の写真












・生産者の方々の写真

・今朝地域から届いたとれた新鮮な食材


活動



F本時の授業で学んだことや自分の生活で生かしたいことを考える。
・いろいろな人がかかわって,自分の食事
 がきているので,もっと大切にしなけれ
 ばいけない。
・地元の食材を使うことが,自給率を少しで
 も上げることになることが分かってよかっ
 た。

・自分の今までの食事の仕方を振り返って,気付いたことをまとめさせ,発表させる。

ワークシート
授業を
振り返って
○生徒の感想より
・地元の特産物を給食や家庭で食べると,自給率が少しずつでも増えていくことが分かった。
・輸入してきた食べ物や違う県のものを食べるより,地元産の食材を使った食べ物が安心,安全で体にいいことが分かった。
・地産地消をしていこうと思いました。それで,少しでも自給率が上がるといいと思います。

○授業者より
 導入段階で,生徒の実態(7割程度が朝食にパンを食べている)に合わせ,パンを用いて日本の食糧自給率を示したが,興味を引き分かりやすくなった。また,その際に食糧自給率の推移のグラフと農業従事者の推移のグラフを重ね合わせると分かりやすいと思われる。 食糧自給率については,他教科等で扱われることが少ない内容であるので,この題材で取り上げることは意義のあることだと考えられる。 学校栄養職員と生産者の話は,生徒にとって新鮮で興味深く聞くことができる内容であり,気付かせたり考えさせたりするのに効果的であった。
 この授業では「地産地消」の考えを重点的に取り上げるが,食材の輸入に伴う輸送エネルギーや季節はずれの食糧生産に伴う施設エネルギーについても,地球環境を保全する視点から触れるようにしたい。

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