単元構想 授業の実際 まとめ TOP
結果と考察
  意欲的に自分の意見や考えを相手に伝えようとする力や,相手の考えを理解した上で更に自分の考えをまとめて表現する力をはぐくむための単元を通して,以下のことが分かりました。

 考えや気持ちを整理し,論理的に述べるためのスキルを有効活用することと,ALTとJTEによる即時的で適切な助言やスクリプトへの加除修正をフィードバックすることによって,学習への関心・意欲・態度を高めることができました。
 表現活動の繰り返しと,ペアのパートナーと「表現の共有」をすることによって,表現の能力の高まりを見ることができました。
 物事を多角的にとらえて考え,その内容を授受する活動を通して,相手の話を聞いたり自分の考えや気持ちを伝えることの大切さに気付くなど,コミュニケーションへの関心・意欲・態度の高まりを見ることができました。

 考えや気持ちを整理し,論理的に述べるためのスキルの習得と学習への関心・意欲・態度の高まりについて
 本研究では,mappingを使用して考えや気持ちを整理し,論理的に述べることに取り組みました。表現活動の冒頭にmappingによって述べたい内容を整理することにより,相手に何をどのような順序で伝えるのかが明確になり,分かりやすい文章を書くことへの意欲につながりました。 【生徒の感想より】
 mappingを初めて知った。これまで作文を書くときは,ほとんど思い付いたことから書いていた。しかしmappingを知っていれば,まとまった文章で伝えたいことをつながりよく伝えることができる。どんどん使っていきたい。
 mappingを使って文章を書いたら,話題についてより深く理解できることが分かった。自分にとってとても役に立つことを学んだ。自分の意見をはっきりと書き表すことができたし,何より英語の楽しさが分かった。自分でも繰り返してもっとやってみたい。ほかの教科でも応用できると思う。
 文章を書く際に,思い付きで書いていくよりも,mappingなどで自分の考えをしっかりと整理して書いた方が,自分らしい答えを求めていくことにつながると思う。よい勉強になった。

 ALTとJTEの即時的で適切な助言やスクリプトへの加除修正をフィードバックすることによる学習意欲の高まりについて
 辞書の使用場面で,ALTとJTEが適切な表現の選択を具体的にアドバイスをしたり,即時的に質問に答えたり,言いたいことをくみ取ってフィードバックしました。生徒たちの個のニーズに応じた指導助言によって表現活動における学び方を身に付けさせることで,学習意欲の高まりを見ることができました。
【生徒の感想より】
 どうしたら自分の考えを伝えることができるか,辞書や先生方に教
 えてもらいながらがんばった。し
 っかりと自分の考えや気持ちを
 伝えることができる力を付けて
 いきたい。
 辞書を使ったり,ALTの先生
 に添削してもらったりして,知
 っている単語を組み合わせて
 いるけれど新しい表現や文章を
 たくさん学んだ。
 とにかく何度も辞書を引いた。お
 かげで辞書を引くのが速くなったし
 教科書では学べない,いろいろな表現を知ることができた。 

 表現活動の繰り返しとペアのパートナーとの「表現の共有」による,表現の能力の高まりについて
 表現活動の繰り返しや,ALTとJTEによる加除修正の入ったスクリプトの清書の繰り返し,ペアのパートナーとの「表現の共有」の繰り返しにより,生徒作品の語数や文章の数が増加し,使用語彙が変化するなどといった,表現力の確かな高まりを見ることができました。

 物事を多角的にとらえて考え,その内容を授受する活動によるコミュニケーションへの関心・意欲・態度の高まりについて
 自分の考えを伝えたり相手の考えを理解したりといった考えや気持ちを伝え合う活動の中に,異なる視点から物事を考え見つめることや,自分とは異なる立場の意見を聞いたりする過程を設けることは,コミュニケーションへの興味・関心・態度を育成することにおいて,有効であることが分かりました。
【生徒の感想より】
 友達の意見を参考にして自分の意見を書く大切さを知りました。
 相手の考えや気持ちを聞くことで,自分の考えや気持ちとの違いを考えることができてよかった。今後は,自分の考えだけでなく,相手の考えも受け入れようと思う。
 違う立場の人の意見をしっかり聞くのは大切だな,と思った。将来の生活で役に立つと思う。
 相手の考えを聞くことや,自分の考えを相手に伝えることは,とても重要だと分かった。相手の考えを聞き,立場を理解し,自分の意見と比べること(学習過程)は,相手の意見を自分の考えに取り入れることができるので,よいと思う。今後もこういうことを(日常の学習で)取り入れようと思う。
 自分の考えとは違う意見をたくさん聞いたことが,本当に楽しかった。どの意見も納得できるものばかりだったし,(活動を通して)自分の意見もどんどん変わっていった。
 今回のように,違う立場の意見を考えたり聞いたりする学習を重ねていけば,人種差別や男女差別や戦争がなくなるかもしれないと思うのは,僕だけかな。
 role playで活動し,意見を発表し合ったことで,より広い視野で1つのことについて考えることができてよかった。
 将来は,日本語や英語だけでなく,いろいろな国の言葉で,自分の気持ちを伝えていきたい。
 実は英語が苦手です。でも,文を作って,考えや気持ちを伝え合ったり,理解しあう活動は,本当に面白くて楽しかった。

参考文献・参考サイト
  ・文部省           『中学校学習指導要領解説−外国語編−』 平成11年 東京書籍 
  ・中嶋洋一 著       『英語のディベート授業30の技』 1997年 明治図書 
  ・三浦孝 他著       『ヒューマンな英語授業がしたい』 2006年 研究社
  ・佐藤雅彰 佐藤学編著 『公立中学校の挑戦』 2003年 ぎょうせい
  ・Jeremy Harmer     『The Practice of English Language Teaching』 
                              2001年 Pearson Education Limited 
   トニー・ブザンのマインドマップ 日本公式サイト:ブザン・ワールドワイド・ジャパン株式会社
                    
      http://www.mindmap.ne.jp/   2007/1/24