単元名・教材名・対象生徒・教材観   指導観・指導目標・評価規準・単元計画 

指導観

 生徒は,古典と現代との共通性や,古典に自分たちと同じような心情が描かれていることに気付かず,その魅力を見出せないことがある。
 生徒の興味の対象である恋愛が古典の中でも行われ,恋愛を巡って様々な思いや行動が生まれる点に,時代を越えた共通性があることを理解させて,古典への関心を深めさせたい。
 古典の確かな読みのためには,文法や語彙の習得が必要だが,逐語訳を中心とした読解指導では,古典への関心をそぐおそれがある。今回は,語注を付けた補助プリントを使うことで,内容理解のための文法や語彙面での抵抗感を減らし,古典のとらえ方と古典への関心を広げることを中心に指導を行いたい。


指導目標

(1)

古典と現代の作品に,共通した人間の姿(心情)が描かれていることに気付かせ,古典への関心を深めさせる。
(古典:オ)

(2) 物語の構造や恋愛におこる様相に注目させ,場面の状況や登場人物の心情を読み深めさせる。
(古典:イ,ウ)

(3) 基本的な修辞法,文法事項を理解させる。
(古典:ア)


評価規準

(1)

作品を一般化してその特徴をとらえ,他の作品との共通性を見いだそうとしている。

(2) 本文の内容を踏まえ,他者の考えを参考にしながら,登場人物が書くべき手紙の内容を考えている。

(3) 登場人物の心情や場面を読み解く上で重要な修辞法,文法事項に気を付けて作品を読んでいる。


単元指導計画(全6時間)

学習活動

評価の規準と評価の方法

1.『電車男』における恋愛話の構造と魅力を生み出す設定を考える。

2.古典作品に恋愛の場面が多くあることを振り返る。


1.主題を踏まえて話を,整理している。
 [ワークシート・発表]

1.『好色五人女』の概略を確認する。

2.『好色五人女』−前半−を音読する。

3.お七の人物像を本文から読み取る。


4.2人が出会う状況を確認する。






3.説明・言動の描写に沿って,人物像をまとめている。
 [ワークシート・発表]

4.日常生活での秩序と対比しながら,この場面の混乱した状況を説明している。
 [ワークシート・発表]


1.『好色五人女』−後半−を音読する。

2.吉三郎の人物像とお七の想いが読み取れる箇所を確認する。


3.(1)2人の恋愛において障害となったものを考える。

 (2)作品の恋愛構造と作品の魅力を考える。




2.登場人物についての描写に気を付けながら,人物像と気持ちをまとめている。
[ワークシート・発表]

3.2人の立場や場面の状況を踏まえて,話を整理している。
 [ワークシート・発表]


1.『源氏物語』の作品概略を確認する。

2.『源氏物語』−桐壺−を音読する。

3.登場人物の人間関係やそれぞれの思いを考える。





3.根拠となる記述を押さえて,人間関係や思いをまとめている。[ワークシート・発表]

1.『源氏物語』−桐壺−(後半)の場面で,桐壺の更衣を取り巻く状況と生まれた皇子の立場,帝の思いを考える。

2.登場人物の立場や心情を考え,桐壺の更衣との関係を踏まえて,帝への手紙を書く。

1.新たな登場人物の発言を理解し,追いつめられている桐壺の状況をとらえている。[ワークシート・発表]

2.登場人物ごとの違いを考えて,手紙を書いている。[手紙]
1.登場人物の立場や心情を考え,桐壺の更衣との関係を踏まえた帝への手紙を班内で推敲する。
2.古典世界から現代に至るまで,人間の心情に共通性があることを考える。

1.班内で他の意見を参考にして,帝への手紙の内容を推敲している。[手紙・観察] 
2.3作品の恋愛を比べ,共通する点をまとめようとしている。[観察]


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