2 研究の概要
2 指導と評価の一体化を図るための構想
(1)授業づくりの工夫
評価について,学習指導要領の総則では,次のように示しています。

(10)児童のよい点や進歩の状況などを積極的に評価するとともに,指導の過程や成果を評価し,指導の改善を行い学習意欲の向上に生かすようにすること。

具体的な活動や体験を通して, 「自立への基礎を養う」ことを究極の目標とする生活科では,評価を児童一人一人の自己実現に生かすことを基本にして,その在り方を考えていく必要があります。ここでは,児童のよさや成長をその児童なりの関心の高まり,活動の広がりや深まり,気付きの広がりや深まり,実践的な態度ととらえ,認め,励まし,伸ばすために適切な指導ができるように工夫していきます。
広い目の評価について 基本の目の評価について 長い目の評価について
(1)授業づくりの工夫
指 導 評 価 一体化 一人一人を伸ばす
 

・明確な目標,評価規準

・学びが広がり,深まる単元構成

・よさや成長を実感させる場の設定

・評価規準の具現化・重点化

・多様な評価方法の工夫

・評価記録簿の工夫

・指導に生かす

・指導計画の改善に生かす

・関心を高める

・活動を広げる・深める

・気付きを広げる・深める
一人一人のよさや
成長を生む授業構想
一人一人のよさや
成長を評価する
一人一人のよさや成長を生かす
生活科の基礎・基本
自立への基礎
(1)授業づくりの工夫
ア ねらいが明確な授業
生活科の特質を踏まえ,学習指導要領に示されている生活科の基礎・基本を大切にした授業づくりを行います。児童の実態をもとに,目標の具現化・重点化を図りながら,評価規準を設定し,指導計画に位置付けていきます。具体的な活動や体験を通して,どのような児童の姿を目指していくのかを明確にすることで,一人一人のよさや成長がとらえやすくなり,それらを大切にした指導ができると考えます。
イ 学びが広がり深まる単元構成
児童が思いをもって対象や環境に繰り返しかかわりながら,学びが広がり深まるような単元構成を行います。繰り返しかかわることを通して,自らの気付きを生かしながら,かかわり方を考えたり工夫したりできるようにすることが大切です。
ウ よさや成長を実感させる場の工夫
学習過程の中に,対象や環境へのかかわり方の工夫や気付きについてアピールし合い,互いによさを認め合う場として,交流の場を位置付けます。
交流を通して,「いいね。」「上手にできるようになったね。」と認め合うことで,児童は,これまで気付かなかった互いのよさや成長に気付くことができます。
自分自身のよさや成長の実感は,新たな活動へのやる気と自信につながります。また,友達のよさや成長への気付きは,自分自身の活動をもう一度振り返るための情報として生かすことで,さらに活動を広げ深めることができます。
(1)授業づくりの工夫
ア 評価規準の具体化・重点化〜「基本の目」の評価
生活科の目標,内容のねらいを具体化し,目指す児童の姿を明確にすることは,授業づくりの重要な要素であるとともに,より客観的な評価を行うことができます。また,重点化を図ることで,評価規準が精選され,日常的に評価を行うことができます。
イ 多様な評価方法の工夫〜「広い目」の評価
一人一人のよさや成長を評価するためには,より多様な情報を収集することが必要です。そのためには,評価の方法を工夫していくことが大切になってきます。
ウ 評価記録簿の工夫〜「長い目」の評価
一人一人の成長には,個人差があります。一単位時間の授業後,しばらくして現れてくることもあります。一単位時間の評価はもちろんのこと,単元を通して,学期,学年を通して,長いスパンで成長の様子を評価していくことが大切です。そのためには,日常的な評価記録を累積していく補助簿が必要です。できるだけ簡単に記入でき,成長の様子をとらえやすい形式を工夫をしていきます。
(1)授業づくりの工夫
さて,授業中の児童の姿が見えてきたら,私たち教師は,どのようにかかわっていけばよいのでしょう。
見取ったよさや成長を,児童一人一人の指導に生かすことはもちろんのこと,指導計画の改善に生かしていくことも大切です。
ア 児童一人一人の指導に生かす
児童一人一人の思いや願いを受容しながら活動を見守り,タイミングを逃さず価値付けや活動の方向付けを行うことが大切です。また,授業の中で,その児童に直接言葉で,全体の場で,児童のカードなどにつける教師からのコメントで・・・と方法は様々ですが,そのよさや成長を児童自身が実感できるようにしたいものです。
イ 指導計画の改善に生かす
児童の思いを生かしながら,活動を広げたり深めたりするためには,環境の構成や指導計画の改善を行っていくことも大切です。さらには,授業を実践する上で気付いたことや途中で工夫・修正したことをメモしておき,カリキュラム改善に役立てていきます。
(1)授業づくりの工夫
それでは,実際の授業の中では,一人一人のよさやを成長をどうとらえ,評価していけばよいのでしょう。
評価の3つの観点とその趣旨に照らし合わせて考えてみましょう。
関心の高まりや活動の広がりや深まり,気付きの広がりや深まりをとらえるためには,具体的な活動場面における児童の動作や言葉が手掛かりとなります。それらをできるだけ多くもつことで,よさや成長が捉えやすくなります。
児童の動作や言葉を手掛かりに,問いかけたり対話したりしながら,児童の思いや気付きを引き出していきましょう。カードの中の一文に込められた思いや,遊びの工夫の陰にある対象や環境への気付きが見えてきます。
いろいろな情報を結びつけながら,評価していくことが大切です。
ア 関心を高める実践事例1
イ 活動を広げる・深める実践事例2
ウ 気付きを広げる・深める実践事例1・事例2
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