平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査の結果の分析


児童生徒意識調査の結果の分析

1 学校生活 

学校での生活は楽しいと感じている児童生徒の割合は、小学校・中学校とも8割を上回っている。[図1]
「学校は楽しい」、「落ち着いて勉強することができている」と回答している児童生徒ほど、ともに正答率が高くなっている。[図3][図6]

「なにか困ったことがあったとき、先生に相談しますか」の問いに、「相談しない」、「どちらかといえば相談しない」と回答した児童生徒の割合は、学年が上がるにつれて高くなっている。[図9]

ただし、先生に相談する児童生徒の割合は、各学年とも年々増加している。[図7]


 

ここでは、[学校適応]と[友達関係への志向性]の2つのカテゴリーからなる設問を通して、児童生徒の学校生活についての調査結果を述べる。具体的には、学校生活の楽しさ、勉強に対する興味、学習状況や教師との関係、友達をつくることについての考えなどの設問について分析した。

(グラフ中の20年度調査結果については、12月に調査を実施しての結果である。)



 
「学校での生活は楽しいですか」という設問について
 

「学校での生活は楽しいですか」という設問については、「楽しい」と回答した児童生徒の割合は、小学5年57.3%、中学1年65.9%、中学2年55.3%になっている。「どちらかといえば楽しい」と回答した児童生徒の割合を合わせると各学年とも8割を上回っている。

この設問について前年度調査と比較すると、「楽しい」、「どちらこといえば楽しい」と回答した児童生徒の割合は 、中学1年と中学2年についてはあまり変わっていないが、小学5年ではやや下回っている。[図1]


同一児童生徒の経年比較で見ると、「楽しい」、「どちらかといえば楽しい」と回答した児童生徒の割合は、小学6年から中学1年にかけては5.0ポイント増加しているが、中学1年から中学2年にかけては5.9ポイント減少している。つまり、小学6年から中学2年にかけては0.9ポイントの減少である。[図2]


 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「楽しい」、「どちらかといえば楽しい」と回答した児童生徒の正答率が高くなっている。以下、だんだんと正答率は低くなっている。[図3]



 
「あなたは学校で落ち着いて勉強することができていますか」という設問について
 

「あなたは学校で落ち着いて勉強することができていますか」という設問については、「できている」と回答した児童生徒の割合は、小学5年33.9%、中学1年36.2%、中学2年30.2%になっている。「どちらかといえばできている」と回答した児童生徒の割合を合わせると、各学年とも7割を上回っている。

この設問について前年度調査と比較すると、「できている」、「どちらかといえばできている」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも大きな変化は見られない。[図4]

 


同一児童生徒の経年比較で見ると、「できている」、「どちらかといえばできている」と回答した児童生徒の割合が小学6年から中学1年にかけては5.5ポイント増加しているが、中学1年から2年にかけては7.1ポイント減少している。つまり、小学6年から中学2年にかけては1.6ポイントの減少である。[図5]


 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「できている」と回答した児童生徒の正答率が最も高くなっている。以下、だんだんと正答率は低くなっている。[図6]


 
「学校での生活は楽しいですか」と「あなたは学校で落ち着いて勉強することができていますか」という設問の関連性について
 


この2つの調査から、「学校生活の楽しさ」と同様に「落ち着いた学習への取り組み」と学力の定着には関係があるといえる。また、共通して小学5年から中学校2年にかけて「できている」、「どちらかといえばできている」と回答した児童生徒の割合が、わずかではあるが同じような減少化傾向が見られた。このことは、発達の段階や学習内容など様々な原因が考えられるが、課題として受け止めるべきである。小学校と中学校の接続については、学校区単位での児童生徒にかかわる情報交換や授業交流などの小中連携の取組をなお一層進めていくことが重要であると考える。
また、落ち着いて学習に取り組むことができる環境を整えることや、そのための指導体制づくりに学校全体で取り組むことが、学力向上に向けての足掛かりとなる。

 
「なにか困ったことがあったとき、先生に相談しますか」という設問について
 

「なにか困ったことがあったとき、先生に相談しますか」という設問については、「相談する」、「どちらかといえば相談する」と回答した児童生徒の割合は、小学5年52.8%、中学1年47.3%、中学2年31.4%であり、学年が上がるにつれて低下する傾向が、本年度の調査においても見られた。また逆に、「相談しない」、「どちらかといえば相談しない」と回答した児童生徒の割合は、小学5年26.9%、中学1年27.2%、中学2年40.8%であり、学年が上がるつれて、高くなっている。

この設問についての経年比較をすると、「相談する」、「どちらかといえば相談する」と回答した児童生徒の割合は各学年とも年々高くなり、逆に「相談しない」、「どちらかといえば相談しない」と回答した児童生徒の割合が各学年とも年々低くなっている。[図7]



 


同一児童生徒の経年比較で見ると、「相談する」、「どちらかといえば相談する」と回答した児童生徒の割合は、小学6年から中学1年にかけて3.7ポイント増加しているが、中学1年から中学2年にかけては、10.6ポイント減少している。つまり、小学6年から中学2年にかけては、6.9ポイントの減少である。

また逆に、「相談しない」「どちらかといえば相談しない」と回答した児童生徒の割合は、小学6年から中学1年にかけて5.4ポイント減少しているが、中学1年から中学2年にかけては、10.2ポイント増加している。つまり、小学6年から中学2年にかけては、4.8ポイントの増加である。[図8]


 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、各学年とも明らかな特徴は見られない。[図9]


児童生徒の発達の段階に応じて児童生徒と教師が良好な関係を保つことは大切なことである。教科担任制となる中学校においても、学級担任のみならず、教師が個々の生徒とのよりよい関係を構築する工夫が必要であろう。


 
「あなたにとって、友だちをつくることは大切ですか」という設問について
 

「あなたにとって、友だちをつくることは大切ですか」という設問については、「大切だ」と回答した児童生徒の割合は、小学5年82.2%、中学1年85.9%、中学2年81.5%になっている。「どちらかといえば大切だ」と回答した児童生徒の割合を合わせると、各学年とも9割を上回っている。

この設問を前年度調査と比較すると、「大切だ」、「どちらかといえば大切だ」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも大きな変化は見られない。 [図10]

 


同一児童生徒の経年比較で見ると、「大切だ」、「どちらかといえば大切だ」と回答した児童生徒の割合が小学6年から中学1年にかけては大きな変化は見られないが、中学1年から中学2年にかけては、やや低下している。[図11]


 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、小学5年と中学2年では、「大切だ」と回答した児童生徒の正答率が最も高くなっており、以下については全体的に正答率が低くなっている。中学1年では、同様の傾向は見られないが、「どちらかといえば大切でない」、「大切でない」と回答した生徒の人数の割合は0.6%と小さいため、比較する際には注意が必要である。[図12]

 

「友だちといっしょにいるほうが、ひとりでいるより楽しいと思いますか」という設問については、「よくそう思う」と回答した児童生徒の割合は、小学5年72.5%、中学1年74.7%、中学2年66.9%となっており、中学2年が他学年に比べて低くなっている。しかし、「ときどきそう思う」と回答した児童生徒の割合を合わせると、各学年とも8割を上回っている。
この設問を前年度調査と比較すると、全体的な傾向に大きな変化は見られない。
[図13]


同一児童生徒の経年比較で見ると、「よくそう思う」と回答した児童生徒が中学1年から中学2年にかけて6.9ポイント減少している。[図14]

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「まったくそう思わない」と回答した児童生徒の正答率が低くなっている。[図15] ただし、図14に示しているように「まったくそう思わない」と回答した児童生徒の人数の割合は、いずれの学年においても3%前後と小さいため、比較する際は注意が必要である。


最終更新日:  2011-1-31