|
この節では、きょうだい数、家族の接し方、家族に対する意識についての質問から児童生徒の学習動機についての調査結果を述べる。
|
|
「日ごろ、家の人はあなたにどのようにしていますか。」(複数回答)という設問については、すべての学年において「よいことをすると、ほめられる」、「よくないことをすると、きびしくしかられる」と回答した児童生徒の割合が高く、いずれも全体の5割を上回っている。しかし、学年が上がるにつれて「よいことをすると、ほめられる」と回答した児童生徒の割合が低くなる傾向が見られる。
この設問を前年度調査と比較すると、小学5年では「よくないことをすると、きびしくしかられる」と回答した児童生徒の割合は低くなっている。中学1年では特に「よくないことをすると、きびしくしかられる」、「よいことをすると、ほめられる」、「自分のことは自分でしなさいとよくいわれる」、「勉強しなさいとよくいわれる」と回答した児童生徒の割合は低くなっている。中学2年でも「よくないことをすると、きびしくしかられる」、「よいことをすると、ほめられる」と回答した児童生徒の割合が特に高くなっている。[図1]

|
|
同一児童生徒の経年比較で見ると、小学6年から中学1年にかけては「自分のことは自分でしなさいとよくいわれる」5.8ポイント、「よくないことをすると、きびしくしかられる」4.5ポイント、「勉強しなさいとよくいわれる」1.7ポイントと、それぞれの項目に回答した児童生徒の割合は増加している。また、中学1年から中学2年にかけては「勉強しなさい」が5.4ポイント増加している。[図2]

|
|
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、明らかな特徴は見られないものの、「自分にかまうことはほとんどない」と回答した児童生徒の正答率は低くなっている。[図3]

児童生徒の発達の段階に応じた家族の対応とも考えられるが、学年が上がると児童生徒の「家の人からほめられる」という意識が低くなっていくことは気になる点である。家族との温かなかかわりは生徒にとって自己有用感を喚起するなどのよい影響を及ぼすであろう。
「自分にかまうことはほとんどない」と回答した児童生徒は少数ではあるが、これらの児童生徒に対して、教育相談などの個別の対応が望まれる。
|
|
「家の人といっしょにいるほうが、ひとりでいるより楽しいと思いますか」という設問については、「よくそう思う」と回答した児童生徒の割合が小学5年68.7%、中学1年54.8%、中学2年43.6%になっている。「ときどきそう思う」と回答した児童生徒の割合を合わせても、学年が上がるにつれて、低くなる傾向が見られる。
この設問を前年度調査と比較すると、「よくそう思う」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも高くなっている。また、中学校では「どちらでもない」と回答した生徒の割合はやや低くなっている。[図4]

|
|
同一児童生徒の経年比較で見ると、「よくそう思う」と回答した児童生徒は、中学1年から中学2年にかけては9.2ポイント減少している。小学6年から中学1年にかけては全体の傾向として大きな変化は見られない。[図5]

|
|
回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、明らかな特徴は見られないものの、「まったくそう思わない」と回答した児童生徒の正答率は低くなっている。[図6]

「まったくそう思わない」と回答した児童生徒については、保護者との面談などを通して家族とのかかわり方を把握して、必要に応じて教育相談などの対応が望まれる。
|