平成22年度佐賀県小・中学校学習状況調査Web報告書

Web報告書もくじⅣ  児童生徒意識調査の結果の分析


Ⅳ 児童生徒意識調査の結果の分析

4 生活習慣

読書の時間について、「まったく読まない」、「10分より少ない」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも3割以上を占めている。[図1] また、各学年において、読書する時間が長くなるにしたがって、正答率も高くなっている。[図3]

テレビやゲームなど、学校から帰ったあと自由に過ごす時間が3時間以上である児童生徒の割合は、小学5年15.8%、中学1年17.0%、中学2年19.5%であり、学年が上がるにつれて増加している。[図4]

朝食を毎日とると回答した児童生徒の割合は、各学年とも8割以上である。[図10]また、朝食をきちんととっている児童生徒ほど正答率が高く、学習面にも良い影響を与えていると思われる。[図12]


 

この節では、読書時間、テレビやゲームなど自由に過ごす時間、就寝時刻、朝食や家の手伝いの頻度、情報収集の手段など生活習慣全般についての設問から、児童生徒の生活習慣についての調査結果を述べる。

 

 

「学校の授業以外に読書をする時間は、まんがや雑誌をのぞくと、1日にどのくらいになりますか」という設問については、「10分以上30分より少ない」と回答した児童生徒の割合がすべての学年において最も高く、 小学5年34.3%、中学1年39.3%、中学2年36.4%になっている。 「1時間以上」と回答した児童生徒の割合は小学5年11.6%、中学1年10.6%、中学2年12.0%になっており、各学年の約1割を占めている。また、「まったく読まない」と回答した児童生徒の割合は、学年が上がるにつれて、高くなっている。

同一学年の経年比較をすると、小学5年と中学2年では、少しずつ「30分以上,1時間より少ない」「1時間以上」と回答した生徒の割合が高くなり、読書の時間が増えている。中学1年においては、昨年度と比べると、「まったく読まない」「10分より少ない」と回答した生徒の割合は少し高くなっていて、わずかではあるが読書の時間が減っている。[図1]


 

同一児童生徒の経年比較を見ると、「1時間以上」と回答した児童生徒の割合は、中学1年から中学2年にかけて1.7ポイント増加している。しかし、小学6年から中学1年にかけては、「まったく読まない」又は「10分より少ない」と回答した児童生徒の割合が5.2ポイント減少するなど、読書をする時間は増加傾向にあったが,中学1年から中学2年にかけて「全く読まない」と回答した生徒が5.9ポイント増加し,中学1年と比べて読書する時間が増えた生徒より,読書をしなくなった生徒の割合が高くなっている。[図2]

 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「まったく読まない」と回答した児童生徒の正答率が最も低く、小学5年と中学1年では読書する時間が長くなるにしたがって、正答率も高くなる傾向が見られる。中学2年では、「10分以上、30分より少ない」「30分以上、1時間より少ない」と回答した児童生徒の正答率が高くなってはいるが、全体的には同様の傾向が見られる。[図3]



読書をする時間と全教科平均正答率との関連が見られることから、小学校段階で家庭での読書習慣を確立させ、中学校に上がっても継続して読書ができる環境を整えることが大切である。また、各学校において10分間読書や家庭との連携を工夫することが望まれる。


 

「テレビやゲームなど、学校から帰ったあと自由に過ごす時間は、読書の時間をのぞくと、1日にどのくらいになりますか」という設問については、「3時間以上」と回答した児童生徒の割合は、小学5年15.8%、中学1年25.5%、中学2年28.1%になっており、中学1年と中学2年で一番多くを占めている。また、学年が上がるにつれて、時間が増えている。

同一学年の経年比較をすると、小学5年と中学2年では、2時間以上と回答した児童生徒の割合が、少しずつ低くなっているが、中学1年では、前年度調査と比較するとやや高くなっている。[図4]



 

同一児童生徒の経年比較で見ると、2時間以上と回答した児童生徒は、小学6年から中学1年にかけては3.1ポイント、中学1年から中学2年にかけては4.2ポイント増加しており、学年が上がるにつれ、テレビやゲームなど、自由に過ごす時間が増加している。[図5]


 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年で「1時間以上2時間より少ない」又は「2時間以上3時間より少ない」と回答した児童生徒の正答率が高くなる傾向が見られる。また、すべての学年において「まったくない」と回答した児童生徒の正答率は最も低くなっている。[図6]


「まったくない」と回答した児童生徒の部活動や家庭での状況が把握できないが、「3時間以上」と回答した児童生徒は学習だけでなく、就寝時刻など家庭での基本的な生活習慣にもよくない影響を及ぼしている可能性がある。学校から帰宅後、就寝までの限られた時間の中で、自律的にテレビやゲームの時間を考えられるように指導することが大切であろう。

 

「夜は何時くらいに寝ますか」という設問については、小学校では「午後9時から10時までの間」と回答した児童の割合が最も高く、小学5年52.6%になっている。また、中学校では「午後10時から11時までの間」と回答した生徒の割合が最も高く、中学1年47.3%、中学2年38.2%になっている。午後11時以降と回答した児童生徒の割合は、学年が上がるにつれて、高くなっている。

同一学年の経年比較をすると、中学校では11時までと回答した児童生徒の割合は高くなっており、11時以降と回答した生徒の割合は逆に低くなっている。小学5年では、10時までと回答した児童の割合は、高くなっており、10時以降と回答した児童の割合は逆に低くなっている。[図7]



 

同一児童生徒の経年比較を見ると、全体として学年が上がると就寝時刻は遅くなることが明らかである。小学6年から中学1年にかけては、10時以降と回答した児童生徒の割合は8.1ポイント増加している。中学1年から中学2年にかけては、11時以降と回答した児童生徒の割合は23.8ポイント増加している。[図8]



 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、小学5年では「午後9時から10時までの間」、中学1年では「午後10時から11時までの間」、中学2年では「午後11時から0時までの間」と回答した生徒の正答率が最も高くなっている。また、特に中学校において「午後9時より前」又は「午前1時より後」と回答した児童生徒の正答率は低くなっている。[図9]


家庭学習の時間や読書時間、テレビやゲームなど自由に過ごす時間を考えると、就寝時刻が早ければよいというわけではないが、極めて遅い就寝時刻は、学習面において悪影響を及ぼしている可能性があると考えられる。


 

「朝食をとりますか」という設問については、「毎日とる」と回答した児童生徒の割合は、小学5年88.5%、中学1年86.7%、中学2年86.1%になっている。「週に5~6回とる」と回答した児童生徒の割合を合わせると、各学年とも9割を上回っている。

同一学年の経年比較を見ると、全体的な傾向として大きな変化はみられない。[図10]


同一児童生徒の経年比較を見ると、全体的な傾向として大きな変化は見られない。
 [図11]

                 

 


回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、すべての学年において「毎日とる」と回答した児童の正答率が最も高く、朝食をとる日数が減るにしたがって、正答率も低くなっている。
ただし、図10を見たら分かるように「まったくとらない」又は「週に1~2回とる」と回答した児童生徒の人数の割合は、いずれの学年においても3%未満と小さいため、比較する際は注意が必要である。[図12]

朝食をとることが,学習面にもよい影響を与えていることが考えられる。これからも家庭と連携し、食事をとることの大切さについての啓発をしていくことが望まれる。

 

「家の手伝いをどのくらいしていますか」という設問については、「毎日している」と回答した児童生徒の割合は、小学5年34.4%、中学1年29.4%、中学2年24.2%になっており、すべての学年で最も高くなっている。「毎日している」と回答した児童生徒の割合は、学年が上がるにつれて低くなり、逆に「まったくしていない」と回答した児童生徒の割合は高くなっている。

同一学年の経年比較をすると、「毎日している」と回答した児童生徒の割合は、すべての学年において少しずつ高くなっている。また逆に、「まったくしていない」と回答した児童生徒の割合は、各学年とも低くなっている。[図13]



 

同一児童生徒の経年比較を見ると、学年が上がるにつれて「毎日している」と回答した児童生徒の割合は低くなり、逆に週2日以下と回答した生徒の割合が高くなっている。[図14]



回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、明らかな特徴は見られない。[図15]

このことから学年が上がると部活動や学習に多くの時間を費やすために、家の手伝いを「まったくしない」と回答した児童生徒の割合が高くなる傾向がうかがえる。生活体験を豊富にするためには、各家庭において責任をもたせた家での仕事や役割を決め、習慣化を図れるように学校と家庭とが連携して啓発していくことも大切である。

 

同一児童生徒の経年比較を見ると、中学1年から中学2年にかけて,「インターネットを利用する」と回答した児童生徒の割合は6.9ポイント,「友人の話を聞く」は7.9ポイント増加している。その他の項目については大きな変化は見られない。[図17]



  「世の中のいろいろなできごとを知ったり、情報を得たりするため、ふだん行っていることは何ですか」(複数回答)という設問については、学年が上がると「友人の話を聞く」、「インターネットを利用する」と回答した児童生徒の割合が高くなる傾向が顕著に見られる。「テレビのニュース番組を見る」と回答した児童生徒の割合は、小学5年66.0%、中学1年83.9%、中学2年86.7%になっており、各学年ともいちばん多くを占めている。

この設問を前年度調査と比較すると、中学2年では「親の話を聞く」と回答した生徒の割合はやや高くなっている。小学5年の「テレビのニュース番組を見る」「友人の話を聞く」と回答した児童の割合と、中学1年の「友人の話を聞く」と回答した生徒の割合は低くなっている。[図16]

 

回答状況と全教科平均正答率との関連を見ると、明らかな特徴は見られないが、すべての学年において、「とくに何もしない」と回答した児童生徒の正答率は低くなっている。[図18]

これら2つの結果から、学年が上がるごとに、インターネットを利用し情報を得ることができる児童生徒の割合が増加していることがうかがえる。また、正答率との関連を見ると、わずかではあるが、インターネットを利用する児童生徒の正答率が高い傾向にあることが分かる。逆に「とくに何もしない」児童生徒の正答率が低いことも分かる。いろいろな手段で情報を得るスキルと習慣を身に付けさせることが重要であると言える。


最終更新日:  2011-1-31