平成24年度の調査で明らかになった課題として、文章の内容を的確に押さえ、読み取ること、目的や意図に応じて、情報を取り出して読み取ったことを基に自分の考えをまとめることがあげられる。
これらの課題を解決するためには、以下に示すような指導の工夫改善を図っていくことが大切である。
(ア) 系統的・段階的な学習内容の定着
児童の発達の段階を踏まえた学習の系統性を重視し、学校・学年ごとに、具体的に身に付けさせるべき能力の育成を目指し、重点的な指導を行うようにする。
例えば、「読むこと」では、説明的な文章について、以下の点を意識しながら指導改善を図っていくことが大切である。
○低学年では、時間的な順序や事柄の順序などを考えながら読むことができる。
○中学年では、目的に応じて、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え、文章を読むことができる。
○高学年では、目的に応じて、文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり、事実と感想、意見などとの関係を押さえ、自分の考えを明確にしながら読んだりすることができる。
これらのことを学習するためには、6年間を見通して指導事項を身に付けさせていく必要がある。これらは、当該学年の指導に限らず、次の学年でも螺旋的・反復的に繰り返しながら学習させていくことで、能力の定着が更に図られていくものと考えられる。
(イ) 日常生活に生かせる言語活動の充実
「話す・聞く」「書く」「読む」の各領域では、日常生活で必要とされる記録、説明、報告、紹介、感想、討論などの言語活動を工夫し、その充実を図っていくことが重要となる。学校や児童の実態に応じて、課題に応じて必要な文章や資料等を取り上げ、基礎的・基本的な知識・技能を活用し、相互に思考を深めたりまとめたりしながら解決していく活動を多く取り入れていく必要がある。そのためには、以下の点を意識しながら指導改善を図っていくことが大切である。
○低学年では、見たことや知らせたいことを記録し説明や紹介をしたり、体験したことを報告したりすることができる。
○中学年では、調べたことや観察・実験したことを記録・整理し、説明や報告にまとめて書き、資料を提示しながら発表することができる。
○高学年では、目的に応じて自分の立場から解説や意見、報告を書き、理由や根拠を示しながら説明することができるとともに、自らの言語活動を振り返ることができる。
これらの指導の充実を図ることが、日常生活の中で生きて働く言語能力につながっていくものと考えられる。
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