「意思決定を取り入れた討論型の学習」に取り組んでみませんか!

              
実践事例6 小学校第6学年 「明治の国づくりを進めた人々」 その2
 
単元について
  学習指導要領の内容(1)キ「黒船の来港、明治維新、文明開化などについて調べ、廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い、欧米の文化を取り入れつつ近代化を進めたことが分かること』を受けて設定している。
    本単元のねらいは、幕末から明治初期にかけての日本の国づくりを調べることで、我が国が欧米諸国の文化を取り入れて、近代化政策を進める中、社会の変化とそれらに関わる人物の願いや思いを考えることである。明治維新になり、廃藩置県や地租改正などの諸改革を行い、近代国家としての政治や社会の仕組みを整え、我が国の近代化が進められてきた。それらを成し遂げていく中に、大久保利通や板垣退助などの国づくりに活躍した人物の願いや思いに迫り、歴史事象を多面的に読み取る力、これからの日本の在り方について考える力を高めたいと考える。
  児童は、歴史学習に対して興味が高く、教科書や資料集の内容だけではなく、歴史上の人物のエピソードや時代と時代のつながりなど、歴史の奥深さに触れることを楽しみにしている。絵画資料を用いた指導を心掛けているため、当時の様子を想像できるようになってきた。しかし、論題を基に話し合う学習では、自分なりの答えや考えをもつことができる児童は少ない。
  指導に当たっては、 現在の日本の状況から明治維新期の政策について検討し評価させることで、維新期の日本の在り方を基にして、これからの日本の在り方について考えさせたい。そこで、 まず、江戸時代後期から明治維新期の社会の変化に興味をもたせる。次に、日本の近代化へ向けた政策とその成果や課題、それに加えて、政策を推し進めた人物の願いや思いを関連付けさせることで、明治維新期の近代化を捉えさせたい。最後に、現在の日本の状況と明治維新期の日本の状況を照らし合わせ、明治維新期の政策を評価させることで、進むべきこれからの日本像を考えさせたい。
単元の目標
  江戸時代から明治維新期における日本の姿について資料を活用して調べ、新政府が行った政策による社会の変化とそれらの政策に込めた人々の願いが分かり、明治維新期の日本の変化を政策から評価することで、これからの日本の在り方について、根拠を明確にした自分の考えを表現できるようにする。 
単元の評価規準
社会的事象への
関心・意欲・態度
社会的な
思考・判断・表現
観察・資料活用の
技能
社会的事象についての
知識・理解
黒船の来航、明治維新、文明開化、大日本帝国憲法の発布とそれに関わる人物の働きに関心をもち、意欲的に調べている。
○歴史を学ぶ意味やよりよい社会の在り方について考えようとしている。

幕末、明治維新、維新後の日本の状況や政策、それに関わる人物の働きや願いを考え、追究している。
○社会の変化が大きい日本の在り方について自分の考えを言語などで適切に表現している。
文化財、地図や年表、その他の資料を活用して、幕末、明治維新、維新後の日本の状況や政策、それに関わる人物の働きや願いについて必要な情報を集め、読み取っている。
○必要な情報として調べたことを図や表にまとめている。
我が国が欧米の文化を取り入れつつ、諸政策を行い、近代化を進めたことや、それに関わる人物の働きや願いを理解している。
単元の指導計画(全7時間)
過程
主な学習活動
教師の指導・支援
時配







江戸時代の寺子屋と明治時代の小学校の絵図を見て、相違点を見付ける。
○黒船来航から国内が混乱して、若い武士たちが江戸幕府を倒すまでの様子について調べる。
○絵図にある先生の服が洋服であることなどから、明治時代の特徴として、欧米化したことに気付かせる。
○外国からの圧力で不平等条約を結ぶことになったことをきっかけに、倒幕と新政府創設への流れを、西郷、大久保、木戸の働き掛けや願いとつなげさせ、時代の変化を意識させる。
 明治時代になり、世の中はどのように変化し、どのような人物が活躍したのだろうか。《学習問題T》 
調

欧米で学んだ大久保利通らが、どのような国づくりをしたのかを調べる。 富国強兵を成し遂げようと、官営工場、徴兵令、地租改正を行い、西洋化と国力増加を推進したことに気付かせる。
江戸時代の世の中の様子と明治の世の中の様子の違いを「日本橋近くの様子」の絵図から調べる。 明治維新の政策により、人々の暮らしも西洋化し、文明開化といわれる急激な変化について、絵図を基に捉えさせる。
政府の改革に不満をもつ人々の行動について調べる。 ○西南戦争のような反乱から、言論による主張へと変化し、国民の意思を反映させるために国会開設へと動く流れを、西郷隆盛と板垣退助を中心にまとめさせる。
○伊藤博文が作った大日本帝国憲法と明治政府の国づくりについて調べる。 ○維新終末として、大日本帝国憲法制定と国会の仕組みを調べさせることで、伊藤博文を中心にどのような国づくりを行ったのかを捉えさせる。






明治維新期の日本の状況を整理し、現代における日本の状況と合わせ、明治維新は成功したかどうかについて自分の考えをもつ。
                  (意思決定1)
明治維新による日本の様子と江戸時代の日本の様子を整理させる。
○平成維新期といわれる現在の日本を、明治維新期の日本を例として、改革推進の是否の討論へと促す。

論題 明治政府の政策は、成功、失敗のどちらであろうか。《学習問題U》

○討論により、明治維新の政策の成功か失敗かを考えることで、現在の日本の改革推進の是否について、自分の考えを見直す。
                 
(意思決定2)
○明治維新期の政策と社会の状況を整理し、「国民」、「政府」の立場から明治維新期の政策について成功か失敗かの意見文を書かせる
 
実践事例紹介ページに戻る

Copyright(C) 2015 SAGA Prefectural Education Center. All Rights Reserved.