これからの算数科学習指導について提案します!

これからの授業に役立つ授業プラン

この授業プランについて  

  改訂された学習指導要領では、算数的活動のより一層の充実と、基礎的・基本的な知識・技能を活用することを通して思考力・判断力・表現力を育成することが求められています。また、その手立てとして、算数の知識を基に発展的・応用的に考えたりする活動や考えたことを表現したり、説明したりする活動等が示されています。

   そこで、本研究では、知識・技能を活用することを通して数学的な思考力・判断力・表現力を育むための算数的活動を取り入れた授業の実践例を提案することとしました。
[ 授業提案1 ]

単元名  「比とその利用」(啓林館 小学校6年上)  総時間数 8時間

 
詳細指導案
  この学習単元では、問題解決的な学習の中で、作業的・体験的な活動や応用する活動を通して、学習し、身に付けたものを活用するとともに、学び合いの学習過程において、自分の考えを表現する活動や友達に自分の考えを説明する活動を取り入れながら、数学的な思考力・判断力・表現力の育成を目指しています。
1 単元の目標
  比の意味を理解し、それを用いて2つの数量の割合を表すことができるようにする。また、比の値や等しい比について知り、比を簡単にすることや比を使った問題を解くことができるようにする。
2 単元の評価規準
(1)
2つの数量の割合を簡単に表せる比のよさに気付き、それを用いようとする。
【算数への関心・意欲・態度】
(2)
割合と比を関連付けてとらえ、考えたことを筋道を立てて表現し、比を用いて考えている。
【数学的な考え方】
(3)
2つの数量の割合を比を用いて表したり、等しい比を見つけたり、比を簡単にしたりすることができる。
【数量や図形についての技能】
(4)
比の意味や性質、表し方を理解している。
【数量や図形についての知識・理解】
3 単元とその指導について
(1) 教材観
  2つの数量A、Bの割合を表す方法は、次の2つがあります。
ア ある数量Bを基にして、それを比べる数量AがBの何倍にあたるかを1つの数で表す。
イ 2つの数量A、Bを同じ基準となる大きさを基にして、Aはそのいくつ分、Bはそのいくつ分とみられるかを2つの数の組で表す。
 アの方法は、第5学年で学習する割合の考え方です。本単元においては、このアの割合の表し方の理解の上に、割合を表す新しい方法としてイの比の学習を行います。比は、2つの数量の大きさを比較し、その割合を表す場合に、どちらか一方を基準量とすることなく、簡単な整数の組を用いて表すことができます。具体的には、A:Bという比の表し方とその意味、比の値、及び等しい比の意味と性質を理解させることをねらいとしています。本単元では、第1時と第2時において、牛乳と市販のボトル入りのコーヒーを用いてコーヒー牛乳を作る活動を行います。これは児童にとって身近な飲み物を取り扱うことで、日常生活の中で比を活用するよさをより感じさせるためです。
 比の学習は、この後は比例の学習へとつながり、比例関係を捉える際に用いる関数の考えを身につけさせる意味でも重要な内容です。また、比は、日常生活の様々な場面で用いられていて、日常生活の中で比が使われているものを探したり、比を活用して課題を解決したりする活動を取り入れることも重要です。
(2) 指導観
 指導に当たっては、第5学年で学習した「割合」の学習と関連付けて指導することから2つの数量の割合を簡潔に表せる比のよさを味わわせ、理解させることをねらいます。また、「等しい比」の学習では、伴って変わる2つの数量の関係を捉えていく活動も大切です。さらに、比を利用して問題解決を図る際には、これまでの既習の知識や技能(本単元においては主に「比の値」「等しい比の性質」)を用いて考えさせます。また、数学的な思考力・判断力・表現力を育む学習プリント(佐賀県教育センター)や日常生活の中から比が使われている場面を探したり、調べたりする活動も重視します。このことで、比についての関心や理解を深めさせるとともに、生活の中で比を積極的に活用していく態度を養うこともねらいます。
(3) 算数的活動について
 本単元においては、自分の考えたことを言葉、式、図、表、グラフなどを使って表現する活動、自分の考えを表現したものを使って説明する活動を通して、互いの表現を比較・検討し、関連付けて考えさせます。これにより、割合の考えから比の考えへとつなげて考え、比の意味や表し方を理解することをねらいとしています。また、第2時で、児童が授業で吟味し、導き出した割合でコーヒー牛乳を作り、第1時の課題のコーヒー牛乳と同じ味になるかを確かめる体験的な活動や、身の回りで使われている長方形の用紙(B5〜B3)が同じ形である理由について、比を活用して考える応用的な活動を通して、日常生活の中にある比のよさやおもしろさに気付かせ、学習したことを生活の中で活用していく態度を育成することもねらっています。
4 単元計画(全8時間)
小 単 元
学習のめあて
時数
中心となる学習活動
(位置付けた主な算数的活動)
評価規準
比と比の値
牛乳とコーヒーの量の割合を、2つの数を使って表す方法を考えよう。
《1/8の展開》


・牛乳とコーヒーの量の割合の表し方を考える。

(探究的な活動)
(説明する活動)
・割合の学習を基にして、牛乳とコーヒーの混ぜた割合を考えている。
【数学的な考え方】
・比の意味と表し方を理解している。
【数量や図形についての知識・理解】
コーヒーを基にして前時と同じ味のコーヒー牛乳を作ろう。
《2/8の展開》


・牛乳とコーヒーの比を使って、コーヒーを基にしたときに牛乳の量が何倍になっているかを考える。

(説明する活動)
(作業的・体験的な活動)
・比の表し方を基にして割合を求め、割合と比の値を関連付けて考えている。
【数学的な考え方】
・比の値を求めることができる。
数量や図形についての技能
等しい比
比を比べてみよう。
《3/8の展開》


・長さの異なる2本の棒とその影の長さの比を比べる。

(探究的な活動)
(説明する活動)
・等しい比の意味や性質を理解している。
【数量や図形についての知識・理解】
等しい比を探そう。
《4/8の展開》


・比の性質を使って、できるだけ小さな整数の比になおす。

(探究的な活動)
(説明する活動)
・等しい比の性質を利用して、できるだけ小さな整数の比にすることができる。
数量や図形についての技能
比を使った問題
比や比の値を使って、砂糖や小麦粉の重さを求める方法を考えよう。
《5/8の展開》


・比の基にする量を求めたり、比の値を使ったりして、比の一方の数量を求める問題を解く。

(応用する活動)
(説明する活動)
・比の考えを使って、身近な問題を進んで解決しようとしている。
【算数への関心・意欲・態度】
・2つの数量のうち一方の値が分かっているとき、比の考えを使って他方の値を求めている。
【数学的な考え方】
比や比の値を使って、リボンの分け方を考えよう。
《6/8の展開》


・比の基にする量を求めたり、比の値を使ったりして、全体をきまった比に分ける問題を解く。

(応用する活動)
(説明する活動)
・比の考えを使って全体の割合を求め、問題を解決している。
【数学的な考え方】
比の考えを使って、三角形の面積の比が1:2になる理由を考えよう。
〜 「数学的な思考力・判断力・表現力を育む学習プリント」(佐賀県教育センター)を使って〜
《7/8の展開》


・ある三角形を、面積が1:2の比になるように、2つの三角形に分割する直線を引き、その直線の引き方でよい理由を考える。

(表現する活動)
(説明する活動)
・比の考えを使って、三角形の面積の比が1:2になる理由を筋道を立てて考えている。
【数学的な考え方】
辺の長さに目を付けて、同じ形かどうかを調べよう。
《8/8の展開》


・身の回りで使われている長方形の用紙(B5〜B3)が同じ形である理由を等しい比の性質や比の値を使って考える。

(応用する活動)
(説明する活動)
・長方形が同じ形かどうかの判別に、等しい比の性質や比の値を活用している。
【数学的な考え方】
・身近な生活の中で、比が活用されているかどうかを進んで考えようとしている。
【算数への関心・意欲・態度】

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