思いや意図をもって音楽表現する児童を育む歌唱の授業を提案します!!

 ♪〔共通事項〕を意識した授業にしてみよう

 表現「歌唱」の活動で〔共通事項〕をどう指導していくのか?

  〔共通事項〕は、表現や鑑賞の活動の中で関連付けて指導し、〔共通事項〕に示す内容のみを扱う学習にならないようにすることが大切です。
ここでは、特に「歌唱」の共通教材を例にあげて、〔共通事項〕と関連させた指導の例を紹介します。
指導に当たっては、音楽を特徴付けている要素や音楽の仕組みが生み出す音楽のよさや面白さ、美しさなどを感じ取ることができるような指導を工夫することが必要です。

                       
 
手掛かりにさせたい
〔共通事項〕
「共通教材」を使った指導の例
 

旋律

第3学年 「ふじ山」 (文部省唱歌  厳谷小波 作詞)
<ねらい>    旋律の上行形(だんだん上がっている)を感じ取って、表現を工夫するようにする。
<指導内容>
@ 階名で歌わせる。
A 楽譜を見せて、音符が1音ずつ上がっていることを確認する。
  ♪「かみなりさまを下に聞く」 
  ♪「ふじは日本一の山」
B どんな感じで歌ってみたいのかを考えさせる。
   例:なめらかな感じで気持ちも高まりながら、だんだん強く歌おう。
      最後は、曲の山を感じてのびのびと歌ってみよう。

第3学年 「春の小川」 (文部省唱歌  高野辰之 作詞 岡野貞一 作曲)
<ねらい> 旋律の続く感じと終わる感じを感じ取らせるようにする。
<指導内容>
@ 階名で歌わせる。
A 旋律の同じ所と、違う所を見つけさせる。
  ♪「春の小川は さらさらいくよ」  ミソラソ ミソドド ララソミ ドレミ
  ♪「きしのすみれや れんげの花に」  ミソラソ ミソドド ララソミ レミド
B 旋律の続く感じ、終わる感じがするのは、どちらか考えさせる。
 
楽譜を見せたり旋律線を書かせたり、手で1音ずつ高さを示したりして視覚的に示すと、旋律が分かりやすくなります。
 

強弱

第4学年 「とんび」 (葛原 しげる 作詞   梁田 貞 作曲)
<ねらい> 強弱の変化を感じ取り、表現を工夫させるようにする。
<指導内容> 
@ 繰り返し出てくる「ピンヨロ〜」という歌詞に着目させる。
A 楽譜を見せて、旋律の繰り返しにも気付かせる。
B 「ピンヨロ〜」と鳴いているとんびの様子を想像して、強弱を考えさせる。
  ♪「ピンヨロ〜」 「ピンヨロ〜」  ♪「ピンヨロ〜」 「ピンヨロ〜」  
  例:○親子で呼びかけあうように、強く、弱く、強く、弱く歌ってみる。
    ○近くにいるときと遠くにいるときの様子を表すように、強く、強く、弱く、弱く歌って
     みる。
 
強弱を感じ取らせたり、表現の工夫をさせたりする際には、音の大きさや音量のような数値で表されるものだけでなく、曲の各部分を相対的に見て強弱を工夫することも必要です。
音色とかかわって、力強い音、優しい音など音の質感によって強弱が表されることもあります。
 

問いと答え

第2学年 「かくれんぼ」 (文部省唱歌  林 柳波 作詞  下総 皖一 作曲)
<ねらい> 旋律が互いに呼応する関係にあることを感じ取り、いろいろな形式で歌って楽しませるようにする。
<指導内容>
@ 問いと答えになる部分を全体やペア、グループなど形式を変えて歌ってみる。
   ♪問い「もういいかい」 ⇒ 答え「まあだだよ」    一人で ⇒  みんなで
  ♪ 問い「もういいかい」 ⇒ 答え「もういいよ」   一人で ⇒  みんなで
 
一人が歌いかけそれに大勢に答えて歌ったり、グループ同士で呼応したり、いろいろな形式が考えられます。音の強弱などを関連させて表現させると、より面白さが増すでしょう。
 

音楽の縦と横の
関係

第6学年 「ふるさと」 文部省唱歌  高野 辰之 作詞  岡野 貞一 作曲)
                   教育芸術社の楽譜
<ねらい> 音の重なり(縦)や音楽における時間的な流れ(横)を聴き取り、その面白さや美しさを感じ取らせるようにする。
<指導内容>
@ 高音部と低音部に分かれて歌う練習をする。
   ♪「夢は今も めぐりて」
A 2つのパートを合わせて歌ってみる。
「夢は〜」の部分が、高音部と低音部では、異なるリズムで始まり、あとは、リズムを同じにして、調和的に進行していることに気付かせます。
録音をしたり、歌い手と聴き手に分かれて聴き合うなどして、自分たちの歌声を客観的に聞く機会を設けると、そのよさや面白さに気づくことができると思います。
 
      

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最終更新日:2011-03-30