児童は、高学年になると自分の表現を大事にするようになり、表現活動に対して自分の思いや願いを強くもつようになります。また、自分にとって興味のある活動を一層深めたいという気持ちも強くなります。しかし、教師の歌唱指導には、
・ただ歌わせるだけの歌唱指導
・教師の一方的な指示のみで歌わせる指導
等の課題があるといえます。
そこで、児童が自らの思いや意図を実現するために思考・判断し、歌唱の表現を工夫することができるような授業となるように指導方法の改善を図ることが重要となります。
平成20年1月の中央教育審議会の答申の音楽科改善の基本方針においても以下のことが示され、学習指導要領の改訂が行われました。
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音楽のよさや楽しさを感じるとともに、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする力を育成することを重視する。 |
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音楽に関する用語や記号を音楽活動と関連付けながら理解することなど表現と鑑賞の活動の支えとなる指導内容を〔共通事項〕として示し、音や音楽を知覚し、そのよさや特質を感じ取り、思考・判断する力の育成を一層重視する。 |
そこで、本研究では、音楽を特徴付けている要素や仕組みを手掛かりとした学習活動の工夫を通 して、音楽を聴き取り、感じ取りながら、思いや意図をもって音楽表現する児童を育む歌唱指導の在り方について提案します。